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間幕 小国の王と緑の魔王

 それは四方の大王国とは別に小さい王国での出来事。


「西のイーラは第一王子の謀反により混乱中、また第一王子は北のマージェス、南のザーテルに兵を動かし、兵は一命を取り留めたものの王子は赤の魔王の手によって命を落としました……――計画通りに進んでおります、ヴァーザ様」


 ヴァーザと呼ばれた魔族は耳元で囁かれたその言葉に「あぁ」とだけ言うと一人の人物へと目を向ける。その視線の先にはこの小王国の王が居座っていた。


「ベルナード王よ、どうか我々緑の魔族――緑魔の力になって頂きたい。我々は知の神の片割れ、故に争うことは得意ではない。たった今、赤の魔族―赤魔がイーラ国の第一王子の命を奪ったとの報せが来た、我々にとっても赤魔は邪魔な存在。イーラ国第一王子を討った赤魔を討伐すれば――ベルナード王、あなたの実績と共に国を広くすることが出来ましょう!」


 ヴァーザは高らかに小王国の国王ベルナードに言いつけた。


「第一王子が討たれたというのはまことか!いやしかし……仮にそれが本当だとして敵を討つとしても我が国には魔族を討てるほどの手練はいない。ヒュベール国は――潰れたのだったな、そうじゃなくても最大勢力を抱えるザーテル国に行けば良かろう」


「ザーテルへ行けばたちまち我々は討伐されるでしょうそれを避け、女が国を占めるマージェスは討伐には向かず、イーラは今や大混乱の中……対抗する術としてあなたの国を選んだのです。英雄の血は滅多に現れない――そこで我々は異界の者をこちらへと呼び、赤魔を討って頂こうと思うのです。ただ――……」


 魔族では異界の者を召喚することは出来ない事を告げると腑に落ちたのかベルナードもあっさりと赤魔討伐に協力する事を選んだ。

 召喚の方法を伝え、ほかの要件、自分達は討たないで欲しいという事を伝えるとヴァーザ一同、緑魔達はその場を去った。


「魔王であるヴァーザ様が自ら出る必要もなかったでしょう……人族など脅せば応じるというものを」


「脅しては反感を買い、いつ牙を向けられるか気が知れん。だから、最初は信用を売るのだ――あちら側から裏切られんようにな。それに人族は愚かだ、欲に目がなく、情になりやすい上に脆い。極めつけに己をよく犠牲にし、各々が信じる『正義』の為ならば他を気にしない。私は彼らが赤魔を討つ助言を、討つべき理由を唱えてるだけでいいのだ」


 イーラ国の謀反は我々緑魔が最初で最後の人類へ与える危害であってあとは人類に任せておけば勝手に人類と共に赤魔は滅び我々の目的は達成される、とヴァーザは説いた。


「我々が直接手をかける必要はない、異界の者が『鏖殺騎士』と赤の魔王を討つ時を待てばいいのだからな」


 そう言いながら緑の魔王ヴァーザ・ゲール=ダザナイトは自分の玉座に座った。

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