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3話 新国レドベールと緑魔討伐会議 上編

 イーラ国第一王子の謀反から数日が経ち、それがきっかけとなったのかヒュベール国はイーラ国の救援を受け入れられずにいた。

 最も原因として考えられるのは国内が混乱に陥って救援する側も自分の国が優先的になってしまったのだ。

 そうなったためにグレイスは翌日、今後の救援を断った。その後、アレからずっと魔界に居座るマージェス国民とヒュベール国民の子供達や女性陣、ザーテル国に保護された男性陣にこう告げた。


「皆には済まないがあの国を一旦文字通り、崩す……あそこまで汚染されていては作物も育てまい。それにあたって必要なもの、思い出の品があるならば私が取ってくるから言ってもらいたい」


「我々が築き上げた歴史を潰すな」など批判が飛んでくるものだと覚悟していたグレイスは結果からして肩透かしをくらった。取ってきてほしいモノだけ言われ、全部運ぶとヒュベール国民は一丸となって「アダールが残した土産なんかいらない」と言っていたのだ。

 翌日、グレイスはアルシアを連れ、ヒュベール国の再建をしていた。


「汚染された水や土地ごと国一つを壊して、そこから魔術を使って再建するって……グレイス、思い切ったわね」


「出来れば、街並みを残したまま汚染された土や水を取り除ければ一番良かったんだが……イーラ国は混乱期で救援に来れる状況ではないし、他の大国には既に国民を保護してもらってるからな――俺はこれが現状打破できる得策だと思ってるし、それにこの範囲じゃ俺一人じゃとても……だから、アル手伝って欲しい」


「確かにいくら『異界者』が使う魔法でもこの範囲を完全に破壊するのは不可能ね……――というか、グレイス!あなたの魔力の方が私よりも多いんだからそれで苦労するってことはないはずよ?」


 破壊だけなら俺も苦労しない、とグレイスは苦笑気味で返す。


「あー……そうだったわね、国一つ分の建物全てを魔力行使しながら作るのは破壊よりも負担が大きい事が抜けていたわ。わかった、私が破壊を担当するから創造の方はお願いね」


 コクリとグレイスは静かに目を閉じる。


『|愚国よ、塵も残さず視界から消え去るがいい《ダルヴィート・ヴァジ・ツァール》』


 アルシアの魔術が発動すると同時にヒュベール国は汚染された土地と水は他の土地ごと抉り取られたかのように丸ごと消えた。国境線を一ミリもはみ出ずに消したのだ。


「こんなものでいいかしら、あとは創造するだけね」


「あぁ……ちょっとばかり身が削れそうだ」


 そんな文句も言いながらもグレイスはこの一瞬で大地と水を、川を創り出した。


「こんなの誰かが見たら創造神か何かと間違われそうね」


「そういうのはやめろって、いつも言ってるだろ!」


 グレイスが人族でありながら、八年も魔界に住み続けたおかげで魔族の魔力回路と青の魔王ですら敵わない魔力総量、そして不完全だが青の魔王の魔眼が宿ってる時点でもう人間離れして魔王と同等かそれ以上なのはグレイス自身が身を以てよく理解してる。


「でも、やってる事は創造神と何ら変わりないじゃない、魔法でもこうとはいかないわよ」


「出来ればこういうのは俺はしたくなかったんだ。面倒だし、アルにはからかわれるし……なにより元々住んでたみんなにとっていい思い出もそれなりあるだろうし――だから、この国の復興に妨害を加えてきた緑魔(アイツら)を許すつもりは無い」


「それもそうね、私達の『友人』に手を出したからには放って置くわけにはいかないわね……――って事だから、グレイス!こんなのさっさと終わらせてマージェス国、ザーテル国を招いて緑魔討伐の会議――始めましょ」


 ああ、そう答えたグレイスはものの数分で国を丸ごと創り変えた。数日後、グレイスとアルシアがヒュベール国を丸ごと創り変えた事が周りの国々に伝わった事で『ヒュベールの変遷』という歴史と(ことわざ)が出来た。それと同時にヒュベール国は復興を果たし、一時避難していたヒュベール国民も地元で元の生活を送れるようになった。

『人脈の国』から『腐敗の国』と呼ばれていたものを一ヶ月足らずで復興し、また赤の魔族がヒュベール国でも住み始めており、魔界とも直接繋がる門が出来たため特産物も増え、新国として生まれ変わったヒュベール国を皆は『変遷の国レドベール』と呼ばれるようになった。

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