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クトゥルフ短編集  作者: 異次元からの猫
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増税

 今日から増税だ。また、生活に密着した税金が引き上げられ、その他の税が引き下げられる気配はない。

 限界まで企業努力をしている庶民の味方だったあのチェーン店も、さすがに値上げせざるを得なかった様だ。

 これでは、貧富の差がまた拡がってしまうのではないか?


 いつこんなことになってしまったのか…。

 私が政界に入った当初は、この国を良くしていこうと言う想いが強かった様に思う。

 党首も党員もみんなで同じ方向を向いていた筈だ。

 自室に一人で過去に想いを馳せていると、一人の女の顔がふと浮かんだ。


 いつかは忘れたが、いつの間にか党首の後ろにいた、あの太ったら女の顔だ。


 その女は、ブクブクとだらしなく肥えた体をしているにも関わらず、奇妙に整った顔をしている。

 その醜い体つきと整った顔立ちの対比を見ていると、次第に気分が悪くなり、吐き気を催してくるほどだ。


 いや、それは良い。今は重要じゃない。

 問題は増税を詠っている党員の影にあの女の姿があるのだ。さらに言えば、増税に反対していた仲間たちも、彼女の影がちらついた後に増税に賛成してしまったのだ。

 …今思い返してみれば、おかしな話だ。

 彼らの身に何があったのか…。


 これは、彼女の所へ行った方が良いか…。

 一人で行くのは得策じゃ無いだろうそ増税に賛成しているメンバーはもうすでに彼女側だ。とすると、反対しているメンバーに同行してもらうべきか。


「あれぇ?何を企んでいるのかしら?」


「っ!!」


「もうっ。後少しなんだから、余計なこと考えないのっ。」


 咄嗟に振り返ろうとしたがってできなかった。

 今まで、彼女の手だと思っていた触手に捕らわれ、そのぶよぶよとした体に飲み込まれていく。

 それにつれて、自分の意思と言うものが奪われていく様に感じる。じわりじわりと消化され、ついには…


「あなたにもこの世に混沌をばら蒔く手伝いをしてもらうわね。」


 嬉しそうな彼女の声が響く。

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