望む世界へ
やるまいやるまい。と思っていたのに、ついにやっちまったぜ。
STR 13 DEX 11 INT 14 アイ 70
CON 14 APP 9 POW 6 幸運 30
SIZ 10 SAN 30 EDU 11 知識 55
うーん。始めから30台かぁ。振り直しは?…だめ…ね。
ま。それでも何とかするのが、ベテランプレーヤーってもんでしょ。俺の渾身の狂気ロールを見せてやるぜ!って、違うかぁ。
職業は無難に刑事かな?いやいや。前に出ても出なくても、減るときは減るから。だったら、対抗手段があった方が好み。うん。
決して、鉛玉を神話生物にぶちこみたいとか、深きものを三枚に下ろしたいトカデハナイヨ。
あ、名前ね。んー。どうしようかな。
水上龍司にしよう。
え?水上温泉に来てるから、水上?そっそんなこつなかとよ!
あ。はい。おっしゃる通りで。
え?龍司は?いや。龍一と司郎だから。お前らの名前を頂いて。
って、そんなこと良いから始めよう!
――龍司は繁華街の暗がりを小走りで進んでいた。今追っている事件の重要参考人の後に着いて。参考人は道案内のため、ぐんぐんと暗闇を進む。
「この先にあいつが拠点にしているバーがあるんだ。」
声まで変えるなんて、龍一の奴やるな。
「あぁ。もしも嘘だったら頭をぶち抜いてやるからな。」
あれ?俺ってこんな声だっけ?
んん?そう言えば、いつもより視点が低いかも。183はあったのに、10センチ以上下がってるかも。その代わり、筋肉質になってる気が…。
「龍司さん。着きましたよ。ここのマスターに聞けば、君村武司の足取りも掴めると思いますよ。」
その如何にもな名前。辺りにそこはかとなく漂う獣臭。奴等も気配を隠すのは上手いが、聞き耳89には逃げられない。店内からは4匹分の物音が聞こえる。
「おい、様子がおかしい。」
俺が止める間も無く、案内人は扉を開けてしまう。その扉から出てきた手に引き込まれ、僅かな物音と水を床にぶちまけるような音がして、静かになる。今度は俺の聞き耳にも聞こえないほどの静寂。
よく見なかったが、あの手はやはり奴等の手だ。
呆然としながらも頬をつねる。…痛い。
はははっ。そう言えば、龍一の奴が始める前に、スパイスだとか言って、字の読めない本を開いて気持ち悪い呪文を唱えてたっけ。
はぁ。どうやら、今流行りの転生って奴みたいだな。確かに俺も憧れていたが、出来ればイージーな所に行きたかったぜ。よりにもよって、邪神どもの蔓延るファンタジーかよ。
泣き叫びたい。現実逃避したい。でも、そんなことをしたら、この暗がりに居る不浄なる者共に食われて終わりだろう。
帰りたい。
あんな呪文で送られたんだ。きっと帰る呪文もあるはず。
それを探すことが、狂気の世界を進むことになろうとも。希望はそこにしかないんだ。
…先ずは、目の前の問題を片付けなきゃな。
異世界転生×クトゥルフ
やっちゃった。テヘペロ。
それでも、短編と言い張ります。




