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クトゥルフ短編集  作者: 異次元からの猫
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霧の山

この間、草津に行ってきました。

その時、霧の山に登りました。

仲間の誰かが言った。

霧がかった山に登るのも、幻想的で楽しそうじゃないか。

危ないから止めようと言う僕の意見は、チキンだなの一言で片付けられてしまった。一人で待っているわけにもいかず、四人全員で霧の山を登ることになった。

と言っても、ロープウェイを使い、そこから山頂まで数十分の道のりだが。


ロープウェイを降りる頃には、すっかり霧が晴れていた。言い出しっぺは残念がっていたが、それよりも抜けるような空の青と、紅葉直前の木々の深い緑のコントラストが目に飛び込んでくる。晴れて良かった。何だかんだ言って、全員景色を楽しめている。

その最高の天気のまま、山頂にあるエメラルドグリーンの大きな湖も見ることが出来た。


そのまま、山頂の土産物屋で昼を食べ、同じ道を進んで帰ることになった。

その帰り道にまた霧がかかってくる。


太陽の光を反射しているのか、少し眩しい。まるで、霧自体が発光しているかのようだ。

そう思いながら周りを見ていると、霧の一部が本当に発光して見えてくる。しかし、そんなことはあるはずがない。太陽光を反射しているんだ。白く光るはずだ。


あんな、不吉な色に光輝く訳がない。


僕が目を離せずにいると、仲間の一人が同じことに気づく。よりにもよって、言い出しっぺだ。案の定、ちょっと見てくると言って不吉に輝く霧の元に向かってしまう。…僕が止める間もなく。


そして、それに触れた瞬間、恐ろしい叫び声を上げその場に倒れてしまった。

叫び声を聞き付け、先行していた二人も慌てて戻ってくる。

そのせいで、僕たち三人は見てしまうのだ。



―まるで生き物のように霧が覆い被さって行くのを


―不吉に輝く霧に包まれたそいつの足が少しずつ溶けていくのを


―何よりその霧と同じ色に輝き出すのを



もはや、霧に飲まれているそいつを助けようとも思わない。僕たちはなりふり構わず逃げ出した。


後日、誤魔化しながら捜索願いを出したが、見つからないだろう。

あいつはあの光る霧の一部になってしまったのだから。

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