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クトゥルフ短編集  作者: 異次元からの猫
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時計

アンティークの時計ってかっこいいですよね。

 少し前に死んだ祖父は、アンティークの収集が趣味だった。

 アンティークドール、ランプ、飾り棚、イス、テーブルと何でも集めていたようだ。遺品を整理していたら色々と出てきた。

 その中には、形の歪な冠や、継ぎ目が無いが何か入っているらしき箱、ソケットらしきものが三つついた円筒形の入れ物など、用途が解らない物も紛れていた。

 そのなかで、針の外された腕時計を見つけた。そして、一目惚れしてしまった。

 腕時計は箱のなかに入っており、銀色の鍵の形をした針も側に入っていた。


 知り合いの時計職人に修理を依頼し、一週間ほどで動くようになり手元に戻ってきた。

 ただ、時計職人が急に老いてしまったのが気になる。別人かと思った程だった。不思議に思ったが、時計の修理が大変だったと言うことから、気苦労で老いてしまったのかと思い、修理代に色をつけておいた。


 その日から、ほとんど肌身離さず腕時計をつけ続けた。

 ある時、声が聞こえるようになる。それは、自分のすぐ近くで囁いているようで、ネジを巻け、時を食えと言っているように聞こえた。

 そして、私は夢を見るようになる。それは、時間に取り残されたもの達の夢。初めは何を意味しているのか、何があるのか解らなかった。

 何度か見るうち、次第に周りが見えるようになった。そこに現れるもの達のなかには、祖父のコレクションもあった。流れる時の川を監視する犬達、その流れを岸辺に立って眺める、取り残されたものたち。

 そして、取り残された物のなかに腕時計を着けた自分の姿もあった。

 それを知覚した瞬間、犬がこちらを向く。その粘着性にギラつく、緑色の瞳。生有るもの全てを憎み、妬む気配。圧倒的不浄の存在。それに睨まれた瞬間、叫び声を上げて飛び起きた。


 起きた瞬間、反射的に腕時計を見てしまう。

 そして、部屋の隅から時計目指して飛び出している、不浄なるその姿も…。


 それは、ネジを巻いた者の時を食い、着けたものに与える、許されざる時計の話。

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