第26話 第4部 アメリカVSロシア 第2話 見えている
『ネットスキル大戦』
第4部 アメリカVSロシア
第2話 見えている
ミハイル。
スコープ。
デイビッド。
胸。
照準。
「ウォーカー」
引き金。
銃声。
デイビッドの視界。
岩陰。
マーカス。
エマ。
ルーク。
オリヴィア。
その向こう。
岩壁。
一瞬。
何かが光った。
「――!」
横へ。
銃弾。
肩。
《DAVID HP 82%》
「っ!」
デイビッドが岩陰へ転がる。
ルーク。
「デイビッド!」
「大丈夫」
肩を見る。
18%。
持っていかれた。
マーカス。
「どこだ?」
デイビッドは。
さっき見えた場所を見る。
遠い。
対岸。
岩山。
「対岸」
エマ。
すぐスコープ。
《SCAN》
岩。
岩。
岩。
「見えない」
デイビッド。
「もう移動した」
*
ミハイル。
銃を持つ。
立つ。
走る。
数十メートル。
別の岩。
伏せる。
《ZOOM》
再び。
遠く。
アメリカ。
「移動完了」
ニキータ。
『了解』
《PING》
五つ。
位置。
「まだ固まってる」
エカテリーナ。
《TRACE》
薄い痕跡。
「一人だけ右へ動いた」
アリーナ。
『どれくらい?』
「十二メートル」
「十分」
*
オリヴィア。
岩から。
別の岩へ。
走る。
「このままじゃ何も――」
銃声。
「!」
岩陰。
滑り込む。
弾丸。
後ろ。
外れた。
オリヴィア。
「外した!」
だが。
弾丸。
わずかに。
軌道が変わる。
「――!」
背中。
《OLIVIA HP 61%》
「っ!」
倒れる。
ルーク。
「また曲がった!」
デイビッド。
「アリーナ」
マーカス。
「位置は?」
オリヴィア。
岩陰へ這う。
「分からない!」
エマ。
「撃った瞬間だけでも見えれば……」
《SCAN》
探す。
中腹。
岩棚。
いない。
別の岩。
いない。
ルーク。
「こっちは五人で一人も見つけられないのに」
銃弾。
岩。
「向こうは全部見えてるみたいじゃねえか!」
デイビッド。
黙る。
全部。
見えている。
本当に?
*
「移動する」
デイビッド。
マーカス。
「どこへ?」
「北側の岩壁」
ルーク。
見る。
巨大な岩。
「全員?」
「全員」
エマ。
「移動中に撃たれる」
「ここにいても撃たれる」
オリヴィア。
「それはそう」
デイビッド。
「マーカス」
「了解」
マーカス。
前へ。
《GUARD》
「俺が先」
ルーク。
「頼もしいねえ」
「後ろから押すなよ」
五人。
走る。
*
ニキータ。
《PING》
五つの点。
動いた。
「全員移動」
エカテリーナ。
地面に残る。
五本の痕跡。
「北」
ニキータ。
「岩壁へ向かってる」
イリヤ。
『見えた』
ミハイル。
『こっちも』
アリーナ。
『誰から?』
ニキータ。
「先頭」
マーカス。
三人。
同じ答え。
*
無音。
《MARCUS HP 88%》
「来た!」
次。
銃声。
《GUARD》
《MARCUS HP 79%》
さらに。
別方向。
《HP 70%》
マーカス。
走る。
「全部俺かよ!」
ルーク。
「人気者!」
「代われ!」
「嫌だ!」
マーカス。
《GUARD》
切れる。
表示。
消える。
「切れた!」
デイビッド。
「散れ!」
五人。
左右へ。
その瞬間。
狙撃。
ルーク。
《HP 67%》
エマ。
《HP 58%》
マーカス。
《HP 52%》
オリヴィア。
《HP 44%》
デイビッド。
岩へ。
滑り込む。
全員。
何とか。
岩壁の下へ。
静かになる。
誰も喋らない。
五人。
HPを見る。
開始から。
まだ数分。
ルーク。
「……俺たち弱くない?」
マーカス。
「今それ言うな」
エマ。
「撃ち返せてすらない」
オリヴィア。
「ロシア、全員100%」
デイビッド。
岩にもたれる。
「そうだな」
ルーク。
「そうだな、じゃないだろ」
*
エマが。
地面を見る。
「おかしい」
デイビッド。
「何が?」
「さっき散った」
「うん」
「五人別方向に」
「うん」
「なのに、ほぼ同時に撃たれた」
オリヴィア。
「三人いるからでしょ」
「違う」
エマ。
首を振る。
「三人が私たちの移動先を知ってた」
沈黙。
ルーク。
「偶然?」
デイビッド。
「五人分?」
「……ないな」
デイビッドは。
ロシア代表一覧を思い出す。
《PING》
《TRACE》
「狙撃手じゃない」
マーカス。
「何?」
「先に倒すべきなのは」
デイビッド。
「探してる二人だ」
*
五人。
今度は。
岩壁沿い。
姿を隠しながら進む。
目標。
ロシアの索敵役。
ニキータ。
エカテリーナ。
だが。
居場所は分からない。
エマ。
先頭。
スコープ。
《SCAN》
岩の隙間。
何も。
次。
何も。
次。
「待って」
全員。
止まる。
エマ。
遠く。
岩棚。
一瞬。
人影。
「いた!」
デイビッド。
「誰?」
「分からない」
「距離?」
「二百くらい!」
デイビッド。
顔を出す。
スコープ。
人影。
見えた。
その瞬間。
相手も。
動く。
ニキータ。
「アメリカ、一人確認!」
デイビッド。
照準。
もう少し。
顔。
見え――
銃声。
デイビッド。
伏せる。
弾丸。
頭上。
ミハイル。
遠距離。
援護。
デイビッド。
「くそ」
もう一度。
見る。
ニキータ。
いない。
ルーク。
「逃げた?」
エマ。
「逃げた」
デイビッド。
「いや」
岩を見る。
「逃がされた」
*
ニキータ。
走る。
エカテリーナと合流。
「見られた」
エカテリーナ。
「誰に?」
「ウォーカー」
「ZEROは?」
ニキータ。
自分の表示を見る。
スキル。
使用可能。
「来てない」
エカテリーナ。
「発動条件がある?」
「かもな」
ミハイル。
通信。
『デイビッドを撃った』
ニキータ。
「助かった」
『顔を出しすぎだ』
「探すのが仕事なんでね」
イリヤ。
『次』
ニキータ。
《PING》
表示。
四つ。
「……四?」
もう一度。
見る。
五つ。
「いや」
一つ。
他の四人から。
少し離れている。
「ウォーカーが動いた」
エカテリーナ。
《TRACE》
痕跡。
「上へ向かってる」
アリーナ。
『高所?』
「たぶん」
ミハイル。
『探しに来る』
ニキータ。
笑う。
「撃ってやれ」
*
デイビッド。
岩壁。
登る。
手。
足。
岩棚。
さらに。
上。
通信。
ルーク。
『おい、一人でどこ行く?』
「上」
『見れば分かる』
デイビッド。
登る。
『戻れ。撃たれるぞ』
「撃たれてる」
『そういう問題じゃない!』
高い。
かなり。
上がった。
デイビッド。
身体を伏せる。
スコープ。
峡谷。
一気に。
見える範囲が広がる。
「……」
右。
岩棚。
いない。
左。
細い道。
いない。
対岸。
岩。
動いた。
デイビッド。
スコープ。
「いた」
アリーナ。
ほんの一瞬。
見えた。
デイビッド。
目。
相手を捉える。
《ZERO》
表示。
変化。
《TARGET》
《ALINA MOROZOVA》
《SKILL DISABLED》
デイビッド。
笑う。
「できた」
*
アリーナ。
走る。
突然。
表示。
《CURVE》
《DISABLED》
「……は?」
止まる。
ニキータ。
『どうした?』
「スキル消された」
『ZERO!?』
「そうみたい」
ミハイル。
『範囲は?』
アリーナ。
周囲を見る。
誰もいない。
「私だけ」
通信。
一瞬。
沈黙。
イリヤ。
『変えたか』
*
デイビッド。
スコープ。
アリーナ。
見えている。
逃げる。
撃てる。
だが。
撃たない。
その瞬間。
銃声。
デイビッド。
《HP 63%》
「っ!」
伏せる。
別方向。
ミハイル。
さらに。
無音。
岩。
イリヤ。
デイビッド。
「……」
ルーク。
『デイビッド!』
「生きてる」
『戻れ!』
デイビッドは。
高所から。
峡谷を見る。
一人を見つけた。
ZEROも使えた。
でも。
その瞬間。
他の二人に撃たれた。
一人を見る間に。
二人から見られる。
デイビッド。
「なるほど」
高所から降りる。
*
再合流。
五人。
岩陰。
デイビッド。
HP63%。
他の四人。
さらに削られている。
エマ。
「ZERO、変わった?」
「うん」
ルーク。
「今!?」
「アリーナだけ消した」
オリヴィア。
「どうやって?」
「見た」
「見た?」
「視界に入れて指定する」
マーカス。
「それだけ?」
「それだけ」
ルーク。
「強くない?」
デイビッド。
「見つけられればな」
誰も。
言わない。
今。
一番難しいこと。
それが。
見つけること。
エマ。
「一人見つけるために、あなたHP二十近く持っていかれた」
「うん」
「三人いる」
「うん」
ルーク。
「計算できる?」
デイビッド。
「できるよ」
オリヴィア。
「じゃあ無理なの分かるわね」
デイビッド。
「今のままなら」
五人。
黙る。
デイビッドは。
ロシア側を見る。
狙撃手。
三人。
別々の場所。
索敵。
二人。
こちらの位置を伝える。
一人を探そうとすれば。
他の二人に撃たれる。
なら。
デイビッド。
「探さなきゃいい」
ルーク。
「……は?」
「俺以外」
四人。
見る。
デイビッド。
「四人とも」
少し考えて。
言った。
「囮になって」
沈黙。
ルーク。
「もう一回言って?」
「囮」
「聞こえてたわ!」
マーカス。
「何する気だ?」
デイビッドは。
上を見る。
高い岩山。
その先。
広い視界。
「ロシアは五人で俺たちを見てる」
「だから?」
「なら」
デイビッド。
スコープを持ち上げる。
「お前ら四人に、ずっと見てもらう」
オリヴィア。
嫌そうな顔。
「私たちが撃たれてる間に?」
「俺が探す」
エマ。
「誰を?」
デイビッド。
即答。
「三人」
ルーク。
「三人?」
「スナイパー」
マーカス。
「全部?」
デイビッド。
「ああ」
ルーク。
「一人で?」
デイビッド。
「ああ」
オリヴィア。
「私たち四人が全滅する可能性あるけど」
デイビッド。
「ある」
「そこは否定しなさいよ」
「嘘になる」
ルーク。
「最悪だな」
マーカスが。
笑った。
「でも」
《GUARD》
表示。
「分かりやすい」
デイビッド。
「ああ」
マーカス。
「俺たちは?」
「走れ」
「撃つ?」
「撃て」
ルーク。
「隠れる?」
デイビッド。
「できるだけ隠れるな」
ルーク。
天を仰ぐ。
「やっぱ最悪だ」
デイビッドは。
立ち上がる。
岩山を見る。
「三人見つけるまで」
スコープ。
握る。
「死ぬなよ」
ルーク。
「それ先に言え!」
五人。
動き出した。
四人は。
狙われるために。
一人は。
狙う者を。
探すために。
デイビッド・ウォーカーの。
狩りが始まった。




