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『ネットスキル大戦』  作者: ネコロビン


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21/28

第21話 止まる

『ネットスキル大戦』


第3部 日本VSオーストラリア


第4話 止まる


一つ。


ハル。


もう一つ。


レン。


二つの照準。


設定済み。


《DOUBLE》


ノアが。


引き金を引いた。


「ハル!」


レンには見えている。


0.5秒後。


一発目。


ハル。


二発目。


自分。


「左!」


ハル。


《SPEED》


消える。


一発目。


空を切る。


レンは右へ。


二発目。


砂を弾いた。


「よし!」


ハルの声。


「だから喜ぶな!」


レンが撃つ。


ノア。


塹壕の角へ。


消える。


「逃げた!」


ハルが追おうとする。


レン。


「待て!」


「また!?」


「また!」


レンは塹壕の上を見る。


静か。


ノア。


見えない。


ジャック。


見えない。


エミリー。


見えない。


クロエは。


田所とアヤが追っている。


レンが息を吐く。


「リアム落とした」


「はい」


「今はそれでいい」


「ノア倒せます」


「どうやって?」


ハルが止まる。


「速く動いて」


「さっき当てられただろ」


「次は避けます」


「二発とも?」


「……」


「一発避けても二発目が来る」


ハル。


自分のHPを見る。


《76%》


「レンさんは見えるんですよね?」


「見える」


「だったら――」


銃声。


遠い。


レンの顔が変わる。


通信。


『三枝!』


アヤの声。


返事。


ない。


表示。


《SAEGUSA HP 54%》


三枝。


『……大丈夫』


レン。


「何があった?」


『狙撃』


エミリー。


まだ生きている。


まだ。


こちらを見ている。


*


数秒前。


三枝は。


岩場を移動していた。


リアムを落とすために。


射線を変えた。


その場所。


砂煙。


少しずつ。


薄くなっていた。


三枝は気づいていた。


だから。


すぐ移動するつもりだった。


一歩。


その時。


風が止んだ。


砂が落ちる。


視界が。


開ける。


遠く。


岩の上。


小さな光。


「――」


エミリー。


伏せている。


動かない。


《FOCUS》


三枝が走る。


銃声。


一発。


背中。


《HP 54%》


「っ!」


岩陰へ。


転がる。


エミリーは。


追撃しない。


ただ。


次の場所へ移動する。


*


「FOCUS」


三枝が通信で言う。


『止まってから撃ってる』


レン。


「何秒?」


『分からない』


「精度は?」


『今の距離で当てた』


「十分だな」


ハル。


「僕なら当たりません」


レン。


「そういうこと言うと当たるぞ」


「でも止まって狙うんですよね?」


「だから?」


「止まってる場所まで行けば」


レンがハルを見る。


「お前さ」


「はい」


「何でも走って解決しようとするよな」


「速いので」


「知ってる」


通信。


田所。


『クロエ見つけた!』


銃声。


レン。


「そっち優先!」


*


塹壕。


クロエ。


走る。


田所。


追う。


アヤは。


別の通路。


二手。


クロエが角を曲がる。


田所。


「逃がすか!」


曲がる。


いない。


「また!?」


分岐。


右。


左。


田所が止まる。


通信。


「アヤ!」


『見えてない!』


足音。


左。


田所が銃を向ける。


誰もいない。


「……」


右。


影。


田所。


振り向く。


クロエ。


発砲。


田所。


岩壁へ。


《TADOKORO HP 41%》


「くそっ!」


クロエ。


逃げる。


だが。


その先。


アヤ。


「いた」


クロエが止まる。


前。


アヤ。


後ろ。


田所。


「挟んだ!」


クロエ。


周囲を見る。


逃げ道。


ない。


田所。


「今度こそ――」


上。


砂。


ぱら。


田所が見る。


塹壕の縁。


ジャック。


「下がれ!」


発砲。


田所。


避ける。


アヤも壁へ。


その一瞬。


クロエが。


横の通路へ。


「またか!」


ジャック。


塹壕へ飛び降りる。


クロエと合流。


田所。


「二対二だ!」


アヤ。


「行ける!」


ジャックが。


田所を見る。


《MARK》


表示。


《TARGET》


《TADOKORO SHINGO》


田所。


「……付いた」


アヤ。


「マーク?」


「たぶん」


ジャック。


「クロエ」


「うん」


二人。


下がる。


田所。


「逃げるぞ!」


追う。


アヤも。


続く。


ジャックは。


振り返らない。


ただ。


田所のマーカーを見ている。


位置。


距離。


速度。


全部。


「もう少し」


クロエ。


「どこまで?」


「次の分岐」


「了解」


田所。


追う。


角。


曲がる。


その瞬間。


クロエが。


横から撃った。


《TADOKORO HP 28%》


「っ!」


田所。


撃ち返す。


クロエ。


《HP 49%》


アヤ。


「慎吾!」


ジャック。


反対側。


発砲。


アヤ。


伏せる。


田所。


理解する。


「俺の位置で……」


ジャック。


「そうだ」


「クロエにタイミング教えてたのか」


「位置が分かれば十分だ」


田所。


「便利だな!」


ジャック。


「地味だろ」


「地味にうぜえ!」


田所が突っ込む。


*


レン。


通信を聞く。


田所。


HP28%。


三枝。


54%。


アヤ。


71%。


ハル。


76%。


自分。


79%。


オーストラリア。


リアム。


脱落。


クロエ。


49%。


残りは。


ほぼ削れていない。


日本が一人多い。


なのに。


押している感じがしない。


ハル。


「行きましょう」


「どこへ?」


「田所さんたち」


レン。


少し考える。


「……行く」


「SPEED?」


「俺を置いてくな」


「じゃあ普通に?」


「それも遅い」


ハル。


「どうすれば?」


レンが塹壕から出る。


前。


砂漠。


岩場。


遠く。


田所たちのいる塹壕。


「先に行け」


「いいんですか?」


「ただし」


ハルが構える。


レン。


「真っ直ぐ走るな」


「分かってます」


「同じ場所を目指すな」


「はい」


「砂煙見られてると思え」


「はい」


「ノアがいたら?」


ハル。


少し考える。


「逃げる」


「よし」


「レンさんが来るまで」


「もっとよし」


ハル。


笑う。


《SPEED》


消える。


砂。


一気に舞う。


だが。


今度は。


直線じゃない。


右。


左。


砂丘の陰。


岩。


止まる。


また。


《SPEED》


別方向。


レン。


「……学習早いな」


走り出す。


*


エミリー。


照準。


ハル。


追えない。


消える。


止まる。


消える。


砂煙。


複数。


「面倒」


狙うのをやめる。


別。


レン。


普通に走っている。


「こっち」


照準。


合わせる。


だが。


すぐには撃たない。


《FOCUS》


身体。


止める。


呼吸。


消える。


照準の揺れ。


小さくなる。


レン。


走る。


エミリー。


待つ。


まだ。


まだ。


*


レンの視界。


一瞬。


変わる。


0.5秒後。


胸。


弾丸。


「!」


横へ。


銃声。


回避。


レン。


走り続ける。


「そこか!」


エミリー。


もう移動している。


レン。


「面倒だな……」


通信。


三枝。


『エミリー?』


「たぶん」


『位置分かった?』


「一瞬」


『方向だけ』


レンが伝える。


三枝。


『了解』


レン。


「撃ち返せる?」


『やる』


*


エミリー。


次の岩。


伏せる。


《FOCUS》


再び。


止まる。


だが。


今度は。


遠く。


別の照準。


三枝。


エミリーが止まる場所を探している。


「……」


三枝。


待つ。


エミリー。


まだ動かない。


三枝。


「見つけた」


照準。


発砲。


エミリー。


肩。


《EMILY HP 72%》


「っ!」


《FOCUS》


解除。


エミリー。


岩陰へ。


三枝。


「入った!」


レン。


「ナイス!」


三枝。


『お前が位置出したからだ』


「もっと褒めて」


『嫌だ』


*


塹壕。


田所。


ジャック。


至近距離。


撃つ。


ジャック。


横へ。


田所。


追う。


アヤ。


クロエを狙う。


クロエ。


壁。


跳弾。


砂。


ハルの声。


「着きました!」


クロエが振り向く。


「え?」


塹壕の上。


ハル。


「上!?」


《SPEED》


飛び降りる。


クロエ。


撃つ。


ハル。


消える。


狭い塹壕。


壁。


角。


クロエ。


追えない。


「どこ!?」


アヤ。


「後ろ!」


クロエが振り返る。


ハル。


銃口。


発砲。


《CHLOE HP 27%》


もう一発。


クロエ。


横へ。


《HP 11%》


「っ!」


ジャック。


見る。


ハル。


「クロエ!」


田所。


「よそ見すんな!」


発砲。


《JACK HP 76%》


ジャック。


後退。


ハル。


クロエへ。


あと一発。


クロエ。


逃げる。


《SPEED》


ハル。


追う。


その時。


銃声。


遠い。


ハル。


肩。


《HARU HP 51%》


「え?」


速度。


落ちる。


クロエ。


逃げ切る。


ハル。


「誰?」


レン。


まだ。


遠い。


0.5秒先。


見えない。


撃たれた後。


通信。


三枝。


『エミリーじゃない!』


なら。


ノア。


でも。


《DOUBLE》ではない。


一発。


レンが周囲を見る。


岩。


砂丘。


塹壕。


「誰だ?」


*


ジャックが。


笑った。


田所。


「何だよ」


ジャックは答えない。


通信。


短く。


「ナイス」


返事。


『どうも』


知らない声。


いや。


まだ。


日本側が。


まともに姿を見ていない男。


ノアでもない。


エミリーでもない。


リアムでもない。


クロエでもない。


田所の顔が変わる。


「……五人目?」


ジャック。


「やっと気づいたか」


*


レン。


止まる。


オーストラリア代表。


ジャック。


エミリー。


リアム。


クロエ。


ノア。


五人。


「……いや」


全員。


もう出ている。


ハル。


「レンさん?」


レン。


「今のノアだ」


「でも一発でした」


「DOUBLEを使わなかっただけだ」


ノア。


遠く。


岩陰。


銃を下ろす。


《DOUBLE》は。


使わなくてもいい。


普通に撃てる。


ハルが。


少し笑った。


「なんだ」


レン。


「何?」


「普通にも撃つんですね」


「当たり前だろ」


「DOUBLEばっかりだと思ってました」


レン。


黙る。


ハルを見る。


「……俺も」


二人。


一瞬。


笑う。


その時。


強い風。


砂。


舞い上がる。


一気に。


視界が消えた。


「来た」


ハル。


「砂煙」


数メートル先も。


見えない。


レン。


「ハル、動くな!」


「はい!」


通信。


田所。


『こっちも見えねえ!』


アヤ。


『ジャック見失った!』


三枝。


『狙撃できない!』


オーストラリア側も。


同じ。


視界。


ゼロ。


銃声も。


止まる。


一瞬。


戦場が。


静かになった。


風だけ。


砂だけ。


レンは。


銃を構える。


見えない。


0.5秒先。


見る。


何も。


変わらない。


未来を見ても。


砂。


「……そりゃそうか」


見えないものは。


0.5秒後も。


見えない。


その時。


ハル。


「レンさん」


小さな声。


「何?」


「これ」


足元。


砂。


その先。


巨大な裂け目。


風で。


今まで見えなかった。


峡谷。


レンは。


下を見る。


深い。


かなり。


深い。


ハル。


「向こう側に行くなら、回らないとダメですね」


レン。


谷底を見る。


「……」


ハルが。


嫌な予感を覚える。


「レンさん?」


レンは。


まだ下を見ている。


「いや」


少し笑った。


「回らなくていいかも」


「え?」


砂煙の向こう。


オーストラリア側の銃声が。


また始まった。


レンは。


峡谷の縁に立った。


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