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フェイクムーン ー偽りの楽園ー  作者: 幻燈 カガリ
第 3 章 黒き檻

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❨ 終幕 【 感情のない月 】





 蒼白き月を、ただ眺めていた。

 冷たいその天体。

 この国の神の住まう場所、だった。



「……だ、とか」



 天から落ちるノイズが、耳に入る。


「息を……い」

「……だけを」


 そこにひとつの音が重なり合う。

 耳を背けることなど出来ない絶対的なもの。

 本能なのか、人としての性、なのか。



『───なんと、


 憐れで哀しきことなのでしょうか』



 温度のなどない。

 感情もない。

 ただ一定な声音。


 その方が、私の仕える……




 ────月神。



 きっと、あの方は涙など流さない。

 そこに存在し我らの戯れ言に耳を傾け、宣うだけ。

 寄り添うということはない。


 私と月神様は違う。


 神と人は一緒ではない。



 混同してはいけないのだから。



「可哀想な子……。月神様に乞われたせいで、壊れてしまった、なんて」



 誰かと、一緒じゃない。



 長い髪が風に攫われる。


 私もその者を哀れに思ったのか、無意識に指を重ね合わせた。


 月に願うのではない。

 その者へと祈るのだ。


 もう、この世に誕生してはならぬ、と。


 月光に照らされた髪がキラキラと輝く中で、天へと浮かぶ月を見つめる瞳は深い深い闇を潜ませていた。




「……ルナ様」


 どこからか現れた顔を布で隠した聖徒。細めた目は、その者へと移る。


「ええ、わかりました」


 短く答えた私は月を今一度、仰ぐ。

 感情のない月を。


 そして、静かに背を向け、

 言われるがままに、足先をそこへ向けた。



お読み頂きありがとうございます。

ブクマや評価頂けると嬉しいです!

次回もお楽しみに☆

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