第一章 ある男の中学生時代-11
この物語は、
僕が「日本を変えたい」と思ったところから始まっています。
介護の現場で、うつと闘いながら、
何度も「もう無理だ」と思った日々。
でも、そこで諦めきれなかったのは、
僕と同じように苦しんでいる人が、
まだまだたくさんいると思ったから。
だからこそ、
僕はボランティアのつもりで筆を取っています。
広告も入れず、書籍化されるまでは、
すべて無料で公開します。
金銭的な見返りを求めているわけじゃない。
ただ、
この物語が、
誰かの心に小さな光を灯せたら。
「俺も、少しだけ頑張ってみよう」と思えるきっかけになれたら。
それが、
僕の「日本を変える」ための、
小さな一歩です。
無料で読める分、
どうか、
この言葉を、
心の奥で受け取ってほしい。
日比谷幸助
2026年1月某日
部活は、毎日とても充実していた。同学年の中では、小学生の時から卓球クラブに所属していた「後藤」と「澤入」の二人の下に、常に位置するようになっていた。時たま、総当たりで、運よく二人に勝つこともあったが、「まぐれ当たり」に近いものだった。彼らの方が技術的に、間違いなく強いと自分でも認識していた。勝ってしまったことを、逆に引け目を感じるくらいであった。ただ、その二人がいるお陰で、自分のレベルが引き上げられていることは間違いない事実であった。
たまに、外部の大会に出たり、交流戦と称し、他校の選手と試合をしたりした。控え組とやる時は、大体は勝利するのだが、レギュラー陣と試合をすると、勝ったり負けたりを繰り返していた。負けた時は、常に悔しかった。明らかにレベルの違いを感じた時もあったし、勝てそうな相手だと認識していても、思いのほか粘られ、逆転負けを喫することもよくあった。その度、何故負けてしまったのかを考えた。明らかな技術不足のこともあったし、接戦の際は、明らかにメンタルが折れ、負けてしまうこともあった。貴也は決して特別な選手ではなく、勝負の世界は、甘くはなかった。
いつも、放課後の一九時になると、部活もそろそろ終わりだ。この時、久石譲の「Summer」が常に流れていた。この曲が流れると、一日の終わりだ。そして、野外で活動している野球部やサッカー部、テニス部やソフトボール部などが一斉に室内に戻ってくる。卓球部が使用している食堂の入り口には、有線電話が置かれていて、家に電話をかけるために集まってくる。貴也も、部活が終わると、有線電話を使用して、自宅に電話を掛けていた。たまに、クラス中で、少し気になっていた女子に会うことがあって、声を掛けられることがあり、妙に甘く、切ない時間だった。もちろん、生徒会の鈴木先輩に叶わぬ「恋」をしていた。それでも、当時、付き合うのは、「同世代」という思い込みがあった。当時はそんな固定概念を持っていた。今になって思うと、年齢の差は、全く関係のないものだと痛感させられる。
貴也の「恋」は、思い返すと、「一目ぼれ」が多かった。基本的に、会った瞬間に、ほぼ決まっていた。多少は「面食い」というのもあったのだろうが、逆に言うと、一度好きになってしまったら、その思いは、いつまでも変わらなかった。それが普通の感情なのかどうか分かる術もないが、それが、貴也の恋愛観だった。
クラスには三〇人の生徒がいて、それぞれ、男子一五人、女子一五人だ。もちろん、貴也が一番気になっていた女の子がいた。ソフトボール部の女子の「石田」さんと言う方だ。可愛らしい方だった。なんとなく茶目っ気があり、惹かれる存在だった。知らずに見ていることも多かったと思う。ただ、自分からはなかなか声はかけられなかった。それに、その方はよく男子からはモテていて、恋愛少女だった。恋に奔放で、貴也にとっては「高嶺の花」の存在であった。




