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chapter 10
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基地副司令の平田大佐には、個室の執務室が与えられている。重厚な木製の天板は、木目が見事に見栄えするよう漆が仕上げられてあって、文句なしの一品だ。そのデスクには、電話とPC、決済用の書類トレーのみが定位置にあるだけで、最大限広く使えるようになっていた。彼の性格をよく表したデスク周りである。
その彼は受話器を片手に、もう片手には葉巻を手に、定時連絡を受けていた。
「それで、〝エンジェル〟はその後どうした。……うむ。それはそうだろう、白昼夢のようなものだからなぁ。しかし、そうか、動き出したか。天女様が……」
平田大佐は葉巻を一口。
深く吸って、肺に煙を充分に行き渡らせる。
「まあよい。天女様とて〝人間〟なのだ。思惑も人並みにあろう。貴官は気にせず、ただ監視の任に邁進したまえ。うむ……、ではまた。上須加調査官――」
第九話「自動人形の罠 : vs. Belarius」へ続く。




