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異世界を8世界ほど救ってくれって頼まれました。~本音で進む英雄譚~(仮)  作者: 八神 凪
World2

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2-8 色気より……



 「おう、お前等か」


 「何か変わった話は無いかな? あ、バーボンで頼む」


 俺はギルドの奥にあるバーのカウンターに座り、マスターに話しかける。慣れた感じで指を一本立てて注文をすると――


 「何カッコつけてるのよ? お酒は飲めないでしょ」


 綾香にツッコまれた。


 「着いて来たのかよ……マスター、オレンジジュース二つだ」


 「はは、旦那がこれだと苦労するな」


 「ホントですよ。で、面白い情報はありますか?」


 と、俺と同じことを尋ねる綾香。チェイロと合流してから二日ほどしか経っていないのだが、冒険者として魔物を倒してお金を稼ぎつつ、怪しいヤツがいないか、情報が無いかを探っているのだ。主人公を狙う刺客について何も知らないからである。

 ただ、チェイロがすでに合流していることからいつの間にか殺されている、ということがないのが救いだろう。

 

 前の世界での参考だけど『いつもと変わったこと』があれば、そこから調査していくと行きつくかもしれないと考え、大雑把ながら情報収集に専念していると言う訳である。


 「旦那じゃないよ……」


 「まあいずれそうなるんだろ? あの金髪の姉ちゃんはどうした?」


 「フィリアはチェイロと部屋で話しているわ。ありがと」


 オレンジジュースを出してもらい、綾香が一口飲む。俺もくいっとグラスを傾けると、マスターが語り始めた。


 「……今日はお前達が好きそうな話がある。昨日、見かけない男女二人組が町長の屋敷に現れて『領主を出せ』と言ってきたらしい。領主が町長の屋敷に居る訳がないのにな……おかしなやつらだと、町長からギルドに監視依頼が出たらしい」


 「へえ。どうしてまた領主を探しているんだろうな」


 刺客ならチェイロを探すはず……その二人組は関係ないかな。そう思っていると、綾香は興味を持ったのかマスターへ続きを聞かせろと尋ねる。


 「その二人組ってどんなやつらなの?」


 「やけに図体のでかい男と、目つきの悪い女って話だ。観光って話らしいけど、町長の屋敷を尋ねるとか怪しいよなあ」


 「確かに……見かけたら声をかけてみようかしら」


 「あんまり危ないことに首つっこむんじゃないぞ? まあお前さん方は強いみたいだからいいけど、油断はするなよ」


 「ありがとう。お代、ここに置いとくよ」


 俺と綾香はギルドを後にし、夜道を歩く。


 「勘だけどその二人組、怪しいわね」


 「マジか。領主を探しているならチェイロとは関係なさそうな気がするけど……」


 「甘いわね陽。意外と事件は繋がっているものよ。明日は二人組を張ってみない?」


 「うーむ、ま、綾香の勘は当たるからな……手がかりも無いし、いいかもな」


 「よっし、決まり!」



 明日の予定が決まり、宿へ戻るとフィリアとチェイロにお土産を渡しながら話しかける。


 「あ、肉まんですね! ありがとうございます!」


 「こっちは春巻きね。私これ好きなのよねー。それで何か情報はあった? ま、昨日の今日じゃ何も無いと思うけど」


 チェイロが春巻きを咥えながらそう言うので、マスターから聞いた話を伝えることにする。


 「何か変な二人組が観光目的で街をうろついているらしい。で、町長に屋敷に『領主を出せ』とか言っていたらしいぞ。とりあえず俺も――」


 俺が話している途中でチェイロの顔色がサッと変わったことに気づき、俺は顔を覗き込む。


 「どうしたんだチェイロ? 春巻き、落ちたぞ?」


 「え? あ、ああ、ごめんね行儀悪くて……うん! 美味しい! ……それで?」


 俺の顔を見返すチェイロの目は鋭く、俺は一瞬怯む。そこへ綾香が続きを話す。


 「うん。とりあえず明日は町を回ってその二人組を張ってみようかなって思ってるわ」


 「賛成。臭いわね」


 「ふえ!? ちゃんとお風呂に入ってますよぅ!」


 フィリアがそんな発言をして俺達は笑い、そのまま就寝にはいる。




 ――翌日



 俺達は朝食を食べた後町へと繰り出す。町のマップはローラが出してくれるので、怪しい道を中心に歩き回る。チェイロが詳しいのでどこそこに何があるかすぐに教えてくれる。二時間ほど歩いたけど、怪しい二人組は発見できずただの散策になりかけていた。


 「こっちはあまり馴染が無いけど市場よ。見て行く?」


 「そうだな、何か面白いものがあるかもしれないし……」


 「あ、これライチですか?」


 「みたいね。中国っぽい雰囲気だと思ったけど、やっぱりそれっぽいわね」


 「中国?」


 「ああ、俺達の世界の国だ。まだうろつくし生ものは控えよう、行こうか――」


 「そこの肉団子くれ」


 と、俺が立ち去ろうと振り向いた瞬間、大男が肉団子を指差しなが口を開いていた。


 「ああ、毎度」


 「またそれかい? アンタ好きだねぇ」


 大男に声をかけたのは目つきの悪い女……こいつら、マスターの言っていたやつらだ……! 俺達には目もくれず二人で肉団子を食べながら店を離れていく。何となく顔を隠して見送ったが、少し離れたところで綾香たちに声をかける。


 「おい、例の二人組だ、追うぞ……って、何やってんだ!?」


 「え? フカヒレスープよ」


 「エビチリ、どう?」


 「チャーシューーですよー!」


 「食い気強いね君達……」


 <おデブの未来が見えますね>


 ローラの容赦ない言葉が女性陣に刺さった。


 ともあれ手がかりだ、見失わないようにしないと……!

 

週一、頑張る!


いつも読んでいただきありがとうございます!


【後書き劇場mk2】


よし、話が進んだ!


『新作控えているから頑張りなさい! 後、早く私の出番をぁおぉぉぉ』


 ちょ、くるし……!?

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