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異世界を8世界ほど救ってくれって頼まれました。~本音で進む英雄譚~(仮)  作者: 八神 凪
World2

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2-9 本気のピンチ!?



 ――怪しげな二人組。


 運良く俺達の目の前を横切っていった男女は恐らく今日探すつもりだった二人組で間違いないだろう。慎重に、気づかれないよう建物の影に隠れながら近づいていく。


 「ズズ……いかにもって感じね……」


 「あれが町長さんのところに来た二人組……ぱくぱく……」


 「ふんふん……もぐもぐ……」


 「まだ食ってたのかよ!?」


 フィリアにいたっては会話すらしておらず頷いているだけという状況だった。ま、まあそれはさておき、あいつらは散歩感覚で町を散策していた。


 「今日も町長のところへ行くかな?」


 「行ったとしても、騒動を起こしてもらわないと手が出せないわよね」


 「もぐもぐ……とりあえず一日つけてみましょうよ」


 「……」


 チェイロが無言で二人を睨みつけており、さっきも『領主のことを訪ねていた』という話の時表情が曇ったのが気になるが、多分聞いても教えてくれないだろう。俺達は見失わないようにそっと近づいていく。


 「どこへ行くんだろうな……?」


 「……!? ちょっと待ってここは……!」


 チェイロが焦った声をあげると同時に、路地の途中で二人組が立ち止まり振り向かずに声をかけてくる。


 「さっきから俺達をつけてきているのは分かっているんだ。出てきな」


 バレていたか……まあ、この人数ならそれも仕方ないと言えるか。俺達が路地へ姿を現すと、いかにもな破落戸もあちこちから現れた。


 「へっへっへ……路地裏に迷い込むとはお前達よそ者か? それに女を連れているな……売れば遊んで暮らせるぜ。痛い目を見たくなければよこしな」


 「それはアタシも含まれているのかしらぁ?」


 「当然だろうが!」


 「とか言って、渡したら男は殺すんだろ?」


 すると目の前の大男がヒュウと口笛を吹き、隣の女もくっくと笑っていた。そして破落戸共が俺達へ飛びかかってくる。


 「よくできました! お嬢ちゃん達にはちょーっと痛い目を見てもらうからねえ!」


 「……」


 「本当、どこにでもいるのねこういうの」


 

 ~3分後~



 「なんだこいつら!? つ、強すぎる!」


 「覚えてやがれー!」


 「おら、邪魔だからちゃんと持っていけ」


 大男が数人の破落戸を投げつけると、ヒキガエルみたいな鳴き声を出して逃げ去って行った。前哨戦としてはこんなもんだろう。


 「で――」


 <マスター伏せてください!>


 「うお!?」


 ローラの叫びで咄嗟に屈むと、さっきまで俺の頭があったところに剣が通って行った。綾香とフィリアもまったく動けなかった!? 攻撃を仕掛けてきたのは女の方で、バックステップして大男の横に戻る。


 「へえ、良く避けたね♪ やるじゃないか」


 「で、俺達に何の用だ……?」


 「いや、特に用は無いんだけど怪しい二人組が領主について聞いて回っているって話があったからあんた達が該当したんだ」


 「ハッキリ言うな。さっきもそうだが中々胆力がある。なに、俺達は人を探していてな。チェイロという娘と領主……そして、異世界の勇者だ」


 「どうしてそれを!?」


 「馬鹿、綾香!」


 綾香が驚いて声をあげると、大男は目を細め、女はニタリと口の端を上げて笑う。


 「なあにい? あんた達が異世界の勇者? あははラッキー♪ もしかしてこの中の誰かがチェイロだったりして♪」


 女の言葉にビクッと体を震わすチェイロ。その直後、またローラが叫ぶ。


 <マスター!>


 「ハッ!?」


 キィンと乾いた金属音が俺の後ろから聞こえ、振り向くと綾香がチェイロに迫っていた剣を弾いた音だったことに気付く。


 「やるじゃない♪」


 「手がしびれる……なんて馬鹿力……! 陽、前!」


 「え?」


 綾香の声で振り返ると、すでに大男が俺に拳を叩きつけてこようと迫っていた。


 「まずい!?」


 「受けたか。普通の剣ならひしゃげてもおかしくないんだがな」


 <損傷はありません。反撃可能>


 ローラが涼しげにそういうので、俺は手に唾をつけて剣を握り直すと大男に斬りかかる。


 「お前等、ユーベルの刺客だな! ボスはどこだ!」


 「言うとでも思っているのか? はああ!」


 「ぐ……!」


 「陽さん! <ライトニング>!」


 「遅いな」


 スッと杖から出たライトニングを避けながら何度も拳を俺に放ってくる! でかいくせに速いのはよくゲームとかである設定だけど、実際に対人でこれをされるとこれほど厄介とは……!


 「そこ!」


 「む」


 こちらから攻撃する余裕はなく、フィリアの魔法も当たらないため、イチかバチかカウンター気味に狙いをつけて拳に傷をつけることができたが、


 「はあ……はあ……」


 「スタミナが切れたか」


 「うる……せえ……」


 緊張は疲労を加速させる。ギリギリのところで避けていたので知らずに疲れていたようだ。剣を持つ手が重い……綾香は大丈夫か?


 「あははは♪ 死ね! 死ねぇ!」


 「まだよ!」


 「当たらない……!」


 綾香はチェイロと共闘していたが、二人がかりで傷一つ負わせられず、むしろ綾香はズタズタにされていた。これは……まずいんじゃないか?


 「チェイロはどっちかなぁ♪ 両方死ねば分かるかな? なあんてね!」


 「きゃあああ!」


 ザクン、という肉が切れる音がなぜか鮮明に聞こえ、大男を斬り返し綾香の方を見ると――


 「綾香さん! 綾香さん!」


 「こっちじゃなかったか。なら、あんたかい?」


 剣についた綾香の血をぺろりとなめてチェイロを見据える女。地面には血まみれの綾香。一瞬、目の前が白くなり――


 「うおおおお! どけ! フィリア!」


 「は、はい!」


 「速い!」


 大男が俺を見て驚くが構っていられない! こいつは殺す、必ずだ!


 ガガガガ! キィン! ガギン!


 「なんだ、この力は!? アタシが押される……!」


 「手伝うぞ」


 「邪魔をするな!」


 「む!?」


 大男のストレートを少し首を動かすだけで回避し、太ももを斬りつける。だが、それにも怯まず膝蹴りを俺の顎へ叩きこんできた。


 「ぶっ!?」


 「とどめだよ!」


 「こっちのセリフだ!」


 女が襲い掛かってきたところへ剣を振るうと、右肩を切り裂いた。


 「勇者ってのは伊達じゃないのかい!」


 「逃がすか……!」


 俺が鼻血を拭って追撃をかけようとしたら後ろで声が聞こえてきた。


 「こっちで喧嘩だ! 誰か来てくれ、血を流しているやつもいる!」


 俺達の叫び声か、チェイロの悲鳴で人が集まってきたようだ。女は笑みを浮かべて剣を舐める。


 「皆殺しにしてやるよ……♪」


 「集まる前に殺せばいいだけだ」


 「フィリア、二人を連れて逃げてくれ。ここは俺が引き受ける」


 「そ、そんな……」


 「綾香が危ないんだろ、安全な場所で回復してやってくれ」


 「……分かりました! チェイロさん、行きましょう!」


 ヒール一回では治らないようで、何度もかけなおしていたフィリアの額にも汗が浮かんでいた。三人が移動を始めたところで、大男たちに立ちふさがる。


 「まずはあんたからかい。さっきは驚いたけど、もう体力は無さそうだね♪」


 <戦闘レベル低下。ここは退却すべきかと>


 「逃げるわけにはいかないって。背中を見せたら直後にばっさりだ」


 「良く分かっているねえ」


 ジリジリと距離を詰めてくる二人にどうするか考えていたその時――


 ボン!


 「む、なんだ!?」


 「煙玉!?」


 「小僧、こっちじゃい」


 「うわ!? な、なんだ!?」


 急に視界が塞がれたと思った瞬間、爺さんの声と共に腕を引っ張られた! なんだなんだ!?







 「チッ、逃がしたか♪」


 「顔は覚えた。少し手ごたえを感じたが、勇者。恐れるに足りず」

二か月ぶり……!? 申し訳ありません……


いつも読んでいただきありがとうございます!


【あとがき劇場】


『中々進まなかったわねえ』


新作とか書いてたのはまずかったかなあ


『8世界あるし、長い目でやっていくってのは分かるけどちゃんとやりなさいよ』


たまに正論を言う……!

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