明日の獲物と夕暮れの作戦会議
せっかくギルドにいるのだから、明日の朝の混雑を避けるためにも、今のうちに次の依頼の目星をつけておくことにした。
夕暮れ時の掲示板前は、仕事を終えて戻ってきた冒険者と、夜の仕事を探す者たちで程よくバラけている。
アル「まだ少し時間もあるし、明日の分の依頼書を見ておこうぜ。朝イチで来ても、いい仕事は早い者勝ちだからな」
セシル「いいね、アル。今の僕たちの資金なら、明日も同じような手堅い雑用をこなすか、少しだけ報酬の良い街周辺の素材集めに手を伸ばすか……」
セシルは眼鏡のブリッジを押し上げながら、掲示板の羊皮紙を一枚ずつ丁寧に確認していく。
ガンテツ「 おいおい、若造ども! 終わった仕事の後にすぐ次の仕事の心配とは、随分と勤勉じゃねぇか! だが、わしの腹はもう限界だぞ。早くエールを流し込ませてくれ!」
ザイン「ガンテツさんの言う通りですよ。私はこの不浄なるネズミの気配が染み付いた法衣を一刻も早く脱ぎ捨て、安らかな休息という名の功徳を得たいのです。明日のことは、明日神に祈れば良いではありませんか」
ミラ「……アンタら、少しは将来の不安ってものがないわけ? アタシはアルの意見に賛成だよ。寝床が確保できたからって、安心するのは三流のすることさ」
ミラは呆れたように肩をすくめながらも、セシルの隣に立って、何か割の良い仕事の紙がないか目を光らせている。
セシル「……うん。明日は『街の東にある薬草畑でのゴブリン避けの柵の補修』か、『西の森での低級スライムの粘液採取』あたりが狙い目だね。どちらも危険度は低く、報酬は今日と同じか少し良いくらいだ。明日、エリーナさんに詳細を聞いて決めよう」
アル「よし、それでいこう。これで明日の朝、焦らなくて済むな」
サイドストーリー
俺たちが掲示板の前で話していると、受付業務をひと段落させたエリーナが、カウンターの中からこちらを興味深そうに見ていた。
エリーナ「……ふふっ。あのパーティ、最初は子ども2人だけでどうなることかと思ったけど、案外長生きするかもしれないわね。足元をしっかり見てるわ」
同僚の職員「でも、Dランク以上の討伐に行かないと、いつまで経っても底辺のままですよ?」
エリーナ「いいのよ。冒険者なんて、生きて帰ってくるのが一番の才能なんだから。……さて、明日は彼らにどの依頼を回してあげようかしら」




