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冒険者アル  作者: テステス
6章 ロマン
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壁越しの轟音と小さな綻び

俺達三人は、通気ダクトを這って制御室の真上を通り抜け、素早く外の通路へと飛び降りた。


眼下に広がるのは、指揮官であるメイド長を失い、統率が乱れて右往左往している15機のオートマタと、格納庫から這い出してきた数体の予備機だ。奴らの目は赤く明滅しているものの、先ほどまでの精密な波状攻撃の面影はない。


セシル「……予想通りだ。メイド長が分断されたことで、奴らにエラーが出てるみたいだ!単調な動きしかできていないよ」


ミラ「なら、話は早いね。パパッと鉄クズに変えて、中の三人を助けに戻るよ!」


ミラの言葉を合図に、掃討戦が始まった。

セシルが広範囲の雷撃魔法を放ち、密集していた数体の関節を焼き切る。体勢を崩した個体の胸部装甲へミラのアーマーピックが吸い込まれ、魔導核を的確に粉砕していく。アルも槍を振るい、単調な突進をいなしては急所を貫き、確実に敵の数を減らしていた。


だが――。


『――ズドォォォォンッ!!!』


背後の壁――制御室の方向から、通路の床ごと揺るがすような凄まじい衝撃音が響き渡った。

戦斧が壁や大盾に叩きつけられる轟音だ。ガンテツの怒声やザインの詠唱は、分厚い扉に阻まれてここまでは聞こえない。それが逆に、アルの想像力を悪い方向へと掻き立てた。


(あの怪力だ……ガンテツの盾が砕かれたんじゃないか? ザインの魔力は持っているのか?)


アル「……くっ、早く戻らないと!」


焦りが、冷静なはずのアルの踏み込みを狂わせた。

早く残りの敵を片付けようと、アルは槍を深く突き出しすぎた。急所を外れた槍の穂先が、オートマタの硬い肩装甲に深く突き刺さって抜けなくなる。


『ガガ……ッ!』


痛覚のないオートマタは、槍が刺さったままアルの腕を両手でガッチリとホールドした。そこに、死角から別のもう1機が重い金属盆を振り下ろしてくる。


セシル「アルッ! しまった、雷よ!」


仲間を助けようとセシルも詠唱を急ぎすぎた。焦りによって魔力の収束が甘くなった雷撃は、敵の装甲を黒く焦がすだけで、動きを止めるに至らない。

振り下ろされる金属の塊。アルが歯を食いしばったその瞬間。


ミラ「馬鹿野郎、焦るんじゃないよ!!」


ミラが横から凄まじい速度で跳躍し、アルに組み付いていたオートマタの頭部へ強烈な飛び蹴りを叩き込んだ。敵の姿勢が崩れた隙にアルが強引に槍を引き抜き、後方へ飛び退く。

だが、ミラはその隙にもう1機のオートマタの殴打がミラを襲った。


ミラ「……ッ、チィ!」


アル「ミラ! すまん、俺が焦ったせいで……!」


ミラ「謝る暇があったら構えな! 中の連中は、アタシたちが死ぬ気でこの扉を閉めたんだ。ガンテツたちを信じなよ。アタシたちはアタシたちの仕事を、確実に終わらせるんだよ!」


ミラの鋭い叱咤に、アルは冷水を浴びせられたようにハッとした。

そうだ。リーダーである自分が焦って崩れてどうする。仲間を信じ、自分の役割を全うするしかないのだ。


アル「……ああ、その通りだ。セシル、ミラ。もう一度、俺の指示に合わせてくれ!」


深呼吸を一つ。アルの目に、再び冷静な光が戻る。

完全に落ち着きを取り戻した三人の連携に、もはや綻びはなかった。セシルの魔法が正確に敵の足を止め、アルの槍が死角を潰し、ミラがトドメを刺す。

数分後。通路には、完全に機能を停止したオートマタたちの残骸だけが転がっていた。


アル「――外の掃討、完了だ」


セシル「ミラの怪我は? 大丈夫かい?」


ミラ「ただの打撲さ、ポーションを飲むほどじゃない。それより、さっさと扉を開けて、あのデカブツをぶっ叩きに行くよ!」


制御室の中から響き続けていた轟音は、今もなお鳴り止んでいない。

だが、背後を脅かす雑兵は完全に消え去った。残る敵は、密室に閉じ込められたメイド長ただ1機のみだ。

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