殲滅輪舞(アンコール)
昼食を終え、仮眠で頭もすっきりと冴え渡った俺たちは、ランタンの灯りの下で午後の行動方針を話し合っていた。
アル「……さて。まだ数十機は残っている。ミラ、マナ・ポーションの残りはどうだ? 午後からもう一度、同じ作戦をやれるか?」
ミラは背嚢から青く光る小瓶をいくつか取り出し、手のひらで軽くもてあそんでみせた。
ミラ「ポーションのストックは十分にあるよ。もう一回やれって言うなら、喜んでコアを抜きに行ってやるさ」
セシル「僕も賛成だ。格納庫の予備が減っているなら、補充のシステム自体に何らかの不具合や遅延が生じるかもしれない。それを確かめる意味でも、もう一度別動隊の作戦を繰り返すのが最も確実で安全な手だね」
ガンテツ「 わしらは午前と同じように、入り口で盾になって耐えりゃいいんだな!」
ザイン「ええ、望むところです! あの不条理なるメイドどもが何度押し寄せようと、我が神聖なる防壁でことごとく退けてみせましょう!」
前衛陣の頼もしい声に、アルは深く頷いた。同じ戦術を繰り返すという単純作業だが、一歩間違えれば大惨事になりかねない。しかし、今の俺たちには午前中の成功体験という確かな自信があった。
フィオ「じゃあ、午後のお歌の発表だよ! 1曲目は『灼熱砂漠の太陽賛歌』! 2曲目は『ゴーレムのお散歩』! そして3曲目は……一番テンポが速い『盗賊のステップ』! このお歌なら、ミラちゃんもタッータラタタッだよ!」
ミラ「よく分からないけど、午前中より多く解体できそうだよ」
作戦の再決行が決まった。
各々が武器の手入れを済ませ、立ち上がる。
アル「よし、いくぞ。焦る必要はない、俺たちのペースで確実に奴らの防衛線を食い破るんだ」
ミラが無言で頷き、再び天井裏の通気ダクトへと身を翻して闇の中へ消えていった。
彼女が格納庫の上空に到達するまでの数分間を測り、俺たちは制御室の扉の前に陣形を組む。
ガンテツが大盾を構え、ザインが杖を握りしめ、セシルが魔力を練り上げる。
アル「……フィオ、準備はいいか」
フィオ「 いつでも歌えるよ!」
アルは大きく息を吸い込み、扉一気に開けた。
『ガシャン、ガシャン、ガシャン!』
扉の開閉音と同時に、侵入者を感知したオートマタたちが、赤く目を光らせて一斉に制御室の入り口へと殺到してくる。
だが、俺たちに焦りはない。
生き物と違って読みやすい、奴らのいつもの動きだ。
フィオ「♪〜砂漠の太陽、ジリジリ燃える! 負けない心で立ち上がれー!!」
フィオの力強く明るい賛歌が、遺跡の通路に響き渡る。
それを合図に、ザインの白金に輝く「神聖なる防壁」が展開され、金属モップの雨を完璧に弾き返し始めた。
壁の向こう側、暗闇の格納庫でミラが再び魔力ワイヤーの解除に挑み始める気配を感じながら、俺たちは第二回の足止め防衛戦をスタートさせた。




