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冒険者アル  作者: テステス
6章 ロマン
155/171

名曲三首の刻限、闇に潜む別動隊

システムの全貌が見えたところで、俺たちは制御室の床を囲み、夜遅くまで具体的な作戦を練り上げていた。


セシル「――つまり、僕たちが通路で奴らを完全に破壊してしまうから、即座に格納庫から新しい個体が補充されるんだ。だったら、話は単純だよ。アル、ガンテツ、そして僕とザインで、稼働中の15機を『撃破せずに、ただひたすら足止めして時間を稼ぐ』。敵の数が15機のまま維持されている間は、格納庫のハッチは絶対に開かないはずだからね」


アル「なるほど……。前衛が15機を足止めして格納庫をロック状態にしている間に、ミラが天井裏のダクトから格納庫へ潜入する。そして、未起動のまま直立不動で眠っている予備のオートマタを、片っ端からスクラップにするってわけか」


ミラ「未起動なら反撃も警報もない、ただの動かない鉄クズさ。アタシのアーマーピックで、一番大事な魔導核を面白いように量産型からくり抜いてやれるよ」


ザインが、ギラリと目を光らせて立ち上がった。


ザイン「……素晴らしい提案です、セシル殿! つまり、あの憎き金属モップを持った不条理なるメイドどもを、私がこの神聖なる防壁で15体まとめて押し留めてみせれば良いのですね!? ああ、神よ! この試練、必ずや無傷で耐え抜いてみせましょう!」


ガンテツ「ガハハ! 頼もしいこって! だがよ、作戦の理屈は分かったが、ミラが格納庫の予備を壊し尽くすまで、わしらがどれだけ耐えりゃいいんだ? この地下遺跡にゃあ、時間を測る時計塔もなけりゃあ、砂時計もありゃしねえぞ」


ガンテツの言う通り、防衛隊がいつまでも15機を相手に無傷で耐え続けられるわけではない。限界が来る前に、ミラは作業を終えて撤退しなければ、格納庫で孤立して袋叩きに遭う。正確な「作戦時間」を全員で共有する方法が必要だった。


皆が腕を組んで黙り込む中、フィオがピョンと手を挙げた。


フィオ「はいはーい! ボクにいいアイデアがあるよ! ボクの歌を使うのはどうかな?」


アル「フィオの歌を?」


フィオ「うん! ボクが全力でみんなを応援する歌を、ここで大きな声で『3曲』歌う。ボクの歌なら、天井裏の猫ちゃんにも聞こえるはずだよ。猫ちゃん猫ちゃん!ボクの3曲目が歌い終わるまでに、格納庫の予備を15機以上ブッ壊して戻ってくる! これならどう?」


セシル「……それは盲点だったね。3曲でおおよそ20分から25分。残り時間が直感的に分かるはずだ」


ミラ「いいね。歌を聴きながら、リズムよく鉄クズを量産できそうだ。3曲目が終わるまでに、あるだけ全部のコアをブチ抜いてみせるよ」


作戦の全容は完全に固まった。

明日、フィオの第一声の歌唱と共に、このフロアの防衛システムを根底から狂わせるゲリラ作戦が決行される。


アル「よし、明日は総力戦だ。全員、今のうちに泥のように眠っておけ!」


サイドストーリー:神官の祈りと、三曲のセットリスト


作戦会議が終わり、皆が毛布に包まる準備をしている中、ザインが真剣な顔でフィオの元へ歩み寄った。


ザイン「フィオ殿。明日の命運を分ける『3曲』ですが、念のためセットリスト(曲目)を確認しておいてもよろしいでしょうか。私の神聖防壁の展開リズムに関わりますので」

フィオ「えっとね、1曲目は『荒野のウサギの行進曲』でしょ、2曲目は『星降る夜の恋人たち』で……3曲目は、一番大きな声が出る『カランドラの大宴会』!」


ザイン「……なるほど。『恋人たち』のバラード部分で敵の猛攻が予想されますが、私の信仰心とメイド人形への激しい怒りをもってすれば、バラードの静寂すらも鉄壁の防御に変えてみせましょう。どうか、最高の歌声を響かせてください」

フィオ「うんっ! ザインのバリア、期待してるからね!」


壁の向こうからは、相変わらず「ガシャン……ガシャン……」と無機質な足音が響いている。

だが、その規則正しい機械音でさえ、明日の朝には俺たちの手で完全に停止させてみせる。その確かな闘志を胸に、俺たちは深い眠りへと落ちていった。

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