凱旋の余韻と、黄金の分配
シールド・ゴーレムの「核」を布に包み、俺たちは意気揚々とカランドラへの帰路を急いだ。街の門を潜る頃にはすっかり陽が落ちていたが、ギルドの灯りは煌々と輝き、夜の依頼を求める冒険者たちで賑わっていた。
アル「エリーナ、終わったぞ。シールド・ゴーレムの討伐、完了だ」
カウンターに置かれた鈍く光る核を見て、エリーナは目を丸くした。
エリーナ「……本当にもう終わらせてきたのですか? 素晴らしい腕前です、アルさん」
エリーナは手際よく手続きを進め、重みのある袋をカウンターに置いた。銀貨が触れ合うジャラリという音が、心地よく耳に響く。
エリーナ「規定の報酬と、状態の良い核の買い取りを合わせて、合計で銀貨15枚です。確認してください。……皆さん、本当に見違えるようになりましたね」
ギルドを出た俺たちは、そのまま『赤猫亭』のいつもの角のテーブルを囲んだ。
アル「よし、報酬を分配するぞ。今回は全員で勝ち取った勝利だ」
ガンテツ「ガハハ! ありがてえ! この金で、新しいハンマーの重りに馴染むように旨いもんでも食わせてもらうぜ!」
ミラ「……アンタ、それ以上食ったら体が重くなってハンマー振れなくなるよ。ま、アタシも消耗品の補充に使わせてもらうけどね」
ザイン「不条理です……! 命を懸けて泥にまみれた甲斐がありました。神よ、この労働の対価に感謝いたします」
フィオ「わーい! アル君、ありがとう! ボク、このお金でリュートの新しい弦を買ってもいいかな?」
手渡された銀貨を握り締め、誰もが満足げな表情を浮かべていた。
サイドストーリー:フィオの鼻歌と家の夢
分配を終え、シチューを待つ間、フィオが楽しげにリュートを爪弾きながら鼻歌を歌い出した。
フィオ「♪~お家を買ったら何をしよう? 広いお庭にお花を植えて、みんなでお昼寝、幸せだね~」
セシル「……お庭、か。あそこなら、君が持ち帰ったあの『種』を植えるスペースもあるかもしれないね。あ、もちろんザインに怒られない程度の範囲でだけど」
ザイン「当然です。私の安眠を妨げるような食人植物を植えるなら、私は玄関で聖水を撒き続けますからね!」
そんなやり取りを笑いながら聞きつつ、アルは共通資金の入った袋の重みを確かめた。
仲間が増え、装備が整い、そして家を買い、その先には誰も知らない未発見の遺跡が待っている。
一人の農夫だった頃には想像もできなかった景色が、一歩ずつ、確実に現実のものとなっていく高揚感を、アルは噛み締めていた。




