重装甲の番人と、粉砕の三重奏
カランドラから歩くこと約二時間。崩れかけた石造りの塔の入り口で、その「番人」は静かに俺たちを待っていた。
『侵入者ヲ排除……防衛機構、起動』
くぐもった機械音と共に、瓦礫と同化していた巨体が立ち上がる。
「シールド・ゴーレム」。表面を分厚い鉄板で補強された石の身体と、自身の背丈ほどもある巨大な鉄の盾を構えた、まさに動く城壁だ。
アル「来るぞ! 斬撃は通らない、ゴードンの武器の威力を試す絶好の的だ!」
ゴーレムが鈍重な足取りで踏み込み、巨大な鉄盾を横薙ぎに振るう。まともに受ければ全身の骨が砕ける一撃。だが、ガンテツは逃げずに大盾を構え、その衝撃を真正面から受け止めた。
ガンテツ「ガハハハ! 軽い軽い! この程度の打撃、あの遺跡の『花咲く石っころ』の理不尽な重さに比べりゃあ、欠伸が出るわい!!」
ガンテツが受け止めて生じた一瞬の硬直。その隙を見逃さず、アルが地を蹴った。
槍の穂先ではなく、重金属の錘が仕込まれた「石突」を前方へ構え、遠心力を乗せてゴーレムの膝関節の鉄板を思い切り殴りつける。
ガァンッ!! という鐘を叩いたような轟音が響き、分厚い鉄板が大きく拉げてゴーレムが体勢を崩した。
ミラ「アタシの得物も、いい仕事しそうじゃないか!」
体勢を崩したゴーレムの背後にミラが跳躍する。彼女が振るったアーマーピックの鋭い嘴が、装甲の隙間である首元の石の関節に深々と突き刺さった。そのまま梃子の原理で強引に抉じ開けると、内部の魔力回路が火花を散らして千切れ飛ぶ。
セシル「雷撃よ、回路を焼き切れ!」
フィオ「♪~鉄の巨人もイチコロさ、ボクらのハンマー、ドドンがドン!」
セシルの雷魔法が開いた装甲の隙間に直撃し、フィオの歌が俺たちの筋力を一時的に底上げする。
ゴーレムが機能不全を起こし、動きが完全に停止した瞬間――。
アル「ガンテツ、トドメだ!!」
ガンテツ「おうよォォ!! 砕け散れェッ!!」
ガンテツの身の丈ほどもある巨大なウォーハンマーが、空気を裂いてゴーレムの頭部へ叩き込まれた。
鉄と石でできた頑強な頭部が、まるで熟れた果実のように爆散し、シールド・ゴーレムは凄まじい地響きと共に完全に崩れ落ちた。
サイドストーリー:後衛の余裕と不条理
土煙が晴れた後、砕け散ったゴーレムの残骸を見て、ザインが顔を引きつらせていた。
ザイン「……なんと野蛮な。剣や魔法の美しい交差など微塵もない、ただの物理的な破壊活動ではありませんか。私の出番が全くないのも不条理ですが、あのハンマーで殴られるゴーレムに少し同情してしまいましたよ」
フィオ「えー? ザインもあの分厚い本(聖典)の角で叩けば、少しは装甲をへこませられるんじゃない?」
ザイン「神聖な教典を鈍器扱いするなど、神への冒涜です! 絶対にやりませんからね!」
冗談を言い合う後衛組の平和な空気を背に、アルは自分の槍の石突を見つめた。
「対オートマタ用」の打撃戦術は、完璧に機能した。これなら、あの遺跡の「青い絨毯の番人」たちとも正面から渡り合える。確かな自信が、アルの胸に宿っていた。




