鋼の試しと、受付嬢の慧眼
「鎧ネズミ」での試運転を終え、俺たちはその足で冒険者ギルドへと向かった。
カウンターの奥では、いつものように冷静に書類を捌く受付嬢、エリーナが俺たちを待ち構えていた。
エリーナ「あら、お帰りなさいアルさん。……おや、皆さん何か雰囲気が変わりましたね? それに、その物騒なハンマーにピック。随分と重厚な装備を新調されたようで」
エリーナの鋭い観察眼が、ゴードンの店から受け取ったばかりの新装備を捉える。俺は努めて平然を装い、カウンターに身を乗り出した。
アル「ああ、ちょっとしたツテで安く手に入ってね。性能を試してみたいんだ。……ところでエリーナ、何か『硬い敵』の討伐依頼はないかな? 例えば、ゴーレムとか……そうだな、オートマタみたいな、刃物が通りにくい相手の依頼とかさ」
さりげなく、あくまで「新しい武器を試したいだけ」という風を装って尋ねる。エリーナは少し意外そうに眉を上げた。
エリーナ「オートマタ、ですか? 珍しい注文ですね。この辺りの遺跡はとうに調査し尽くされていて、動いている個体は滅多にいませんが……。ふむ、そういえば一つだけ、古い魔導師の塔の跡地で、防衛用の『シールド・ゴーレム』が再起動して困っているという相談が来ています」
エリーナはパラパラと書類をめくり、一枚の依頼書を提示した。
エリーナ「相手は石と鉄でできた旧時代の番人です。Dランクですが、防御力だけならCランク並み。報酬は成功報酬と残骸の買い取りを合わせて、銀貨15枚ほど。どうされますか?」
アル「シールド・ゴーレムか……打ってつけだ。受けるよ、エリーナ」
エリーナ「わかりました。……でも、無理はしないでくださいね。オートマタ系を狙うなんて、まるで何か『心当たり』があるみたいで、少し心配です」
エリーナが冗談めかして微笑む。
俺は背中に一筋の冷や汗を感じながらも依頼を受けることにした。
サイドストーリー:ポーカーフェイスの限界
ギルドを出た後、ザインが大きく息を吐き出した。
ザイン「……不条理です! エリーナ殿のあの目は、まるで私の法衣の裏側まで見透かされているようでしたよ! 秘密の遺跡のこと、バレてはいませんよね?」
ミラ「あんたがオドオドしてるから怪しまれるんだよ。……でも、アル。シールド・ゴーレムか。オートマタとは少し勝手が違うだろうけど、あいつらの装甲をブチ抜く練習には最適だね」
セシル「そうだね。石と鉄の混合素材なら、ゴードンさんの武器の真価が試せるはずだ」
フィオ「♪~鉄の巨像も、ボクらのハンマーでガッシャーン! お家への道も、ドカドカ進もう!」
新しい武器の重みと、エリーナから得た確かな獲物の情報。俺たちはカランドラの門を抜け、魔導師の塔へと向かう街道を足早に進み始めた。




