管理室の残滓と、積み重ねた勇気
フラワーゴーレムが崩れ落ちた後、広間には重い静寂が戻った。だが、俺たちの呼吸は驚くほど乱れていなかった。
倒れた巨大な石塊を見下ろしながら、アルは冷静に次の一手を考えていた。かつての自分たちなら、このサイズのゴーレムを前にしただけで恐怖で足がすくんでいたはずだ。
なぜこれほど落ち着いていられるのか――その答えは明白だった。
あの時、チャックと共に命がけで対峙した『蕾』の禍々しさ。あの時感じた、理不尽なまでの生命の蹂躙、死の匂い、そして精神を蝕むような絶望の淵。それに比べれば、この機械的なゴーレムの攻撃など、理屈で対処可能な「障害物」に過ぎないという自信が、全員の根底に宿っていたのだ。
アル「……よし、とりあえずこの当たりから探索するぞ!」
俺たちはゴーレムの残骸を乗り越え、広間の奥へと進んだ。そこには、蔦に覆われてはいるものの、明らかに他の壁とは異なる重厚な鉄扉があった。
ガンテツが蔦を剥ぎ取ると、扉には何かを示す古びたレリーフが刻まれていた。
扉の隙間にミラが精密な工具を差し込み、カチリと音を立てて鍵を外す。
軋んだ音と共に開かれた先には、何百年も変わらぬ埃と、当時の管理者?が遺した古い記録が眠っていた。
部屋の中央には、この遺跡全体の構造を示した「見取り図」が広げられている。
どうやらここは、庭園だったらしい。
セシルが目を輝かせて駆け寄り、地図の上に指を走らせた。
セシル「……すごい。ここにあるのはただの管理記録じゃない。この庭園を動かしている『魔力供給源』の場所と、第二層へ続く安全なルートが詳細に記されているよ!」
サイドストーリー:拭いきれない過去と前進
管理室のデスクを調べていたフィオが、当時の庭師の日記らしきものを見つけて読み上げた。
フィオ「……えっと、『王の命により、花々は常に美しく、侵入者は容赦なく排除せよ』。……うーん、やっぱり元から防衛機能付きだったんだね」
それを聞いたザインが、ふと表情を曇らせた。
ザイン「……歪んだ意志で我らを殺そうとする植物。生命への冒涜ですよこれは!」




