表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険者アル  作者: テステス
6章 ロマン
128/171

胞子舞う回廊、石と蔦の番人

螺旋階段を下りきった先に広がっていたのは、地下とは思えないほど色彩豊かな、だが不気味な空間だった。天井付近に群生する発光菌糸が淡い光を投げかけ、そこかしこに見たこともない巨大な花や蔦が壁を這っている。


「……綺麗だけど、どこか不自然だね」

セシルが杖を構え、周囲を警戒するように見渡す。その直後、足元のタイルを突き破って太い蔦が飛び出し、殿を務めていたザインの足首に絡みついた。


ザイン「ぬわあああ!? 不条理です! 植物が獲物を狙うなど、あってはならない事態ですよ!」


蔦はまるで意志を持っているかのように、ザインを暗がりの奥へと引きずり込もうとする。アルが瞬時に槍を振るい、蔦を両断した。しかし、それを合図にするかのように、通路の奥から巨大な岩の塊が、蔦を筋肉のように纏いながら立ち上がった。


「フラワーゴーレム」だ。石の身体を植物が補強し、核となる中心部には禍々しく脈打つ巨大な蕾が見える。


アル「散開! ガンテツ、正面を受け持て! セシル、蔦の動きを止めてくれ!」


ガンテツが咆哮と共に大盾を突き出す。ゴーレムの重い石の拳が盾を叩き、凄まじい衝撃波が広間を揺らした。その隙にセシルが鋭い風の刃を放ち、ゴーレムの足元を支える蔦を次々と切り裂いていく。


ミラ「核が見えたよ、アル! 今!」


フィオの奏でるリュートが戦士たちの鼓動を早め、力を与える。アルは一気に踏み込み、飛竜骨の槍の穂先に重心を乗せた。植物の粘り気のある抵抗を突き破り、石の隙間に潜む「蕾の核」へと槍を深く突き刺す。


激しい振動と共にゴーレムが沈黙し、周囲でうごめいていた蔦も力なく地面に落ちた。


サイドストーリー:セシルの推察


戦闘を終え、アルたちはゴーレムの残骸の影で息を整えた。セシルは周囲の構造をじっくりと観察し、顎を摩りながら呟いた。


セシル「……これだけの植物が、何百年も地下で生き続けている。アル、僕の推察だけど、ここはかつて王が楽しむために作られた『地下庭園』だったんじゃないかな。フィオの歌にあった『箱庭』という言葉も、それを指しているのかもしれない」


アル「庭園……? こんなに物騒な化け物がいる場所がか?」


セシル「放置された魔法の防衛機構が、長い年月で暴走し、植物と融合してしまったんだろうね。……もし庭園なら、この先には管理用の部屋や、王が休息を取った豪華な広間があるはずだ。そこにお宝が眠っている可能性は高いよ」


その言葉に、ザインは「庭園ならもう少し清潔にしておいてほしいものです」と毒づきながらも、聖水で汚れを拭い、奥へと続く扉に視線を向けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ