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冒険者アル  作者: テステス
5章 ミラ
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盟友への密談と「影」の精算

朝食後、アルは一人でギルドへ向かい、入り口で仲間と談笑していたチャックを呼び出した。人目のない裏路地へ移動すると、アルは昨晩の出来事と、ミラの過去について手短に説明した。


アル「……というわけだ。今夜、街の外の古い物見櫓でそのバルトロって男と会うことになった」


チャックは黙って話を聞いていたが、バルトロの名を聞いた瞬間に顔をしかめた。


チャック「……物見櫓か。穏やかじゃねえな。だがアル、なぜギルドに通さねえ? エリーナに言えば、正式な警備隊や応援を出してくれるはずだぜ」


アル「情報が漏れるのが怖いんだ。相手は裏社会の組織だろ? ギルドのどこに耳があるかわからない。正式な報告をして、逆にミラを追い詰めるようなことにはしたくないんだ」


アルは懐から、布に包んだ銀貨5枚を取り出し、チャックに差し出した。


アル「これはパーティの共有資金から出す。個人的な依頼として、俺たちのバックアップをしてくれないか。もしそのバルトロって男に懸賞金がかかってたなら、それは全部あんたたちの取り分にしていい。俺たちはただ、ミラの過去を清算して、あいつを守りたいだけなんだ」


チャックは銀貨には手を触れず、しばらくアルの目を見つめていた。やがて、彼はふっと短く息を吐くと、アルの手を押し戻した。


チャック「銀貨5枚か……俺たち『風の犬』を動かすには、ちと安すぎるが……『友人』の頼みなら話は別だ。金は後でいい。その代わり、もし懸賞首だったら遠慮なく俺たちが頂くぜ。……いいかアル、これは『仕事』じゃねえ、俺たちの貸しだ。必ず生きて帰って返せよ」


チャックは力強くアルの肩を叩くと、ニヤリと不敵に笑った。頼もしい「影」の援軍を取りつけたことで、今夜の決戦に向けたアルの心に、確かな勝機が芽生え始めた。


サイドストーリー


路地裏での密談を終えた後、チャックは自分のパーティメンバーに声をかけた。


チャック「おい野郎ども、今夜は少し『夜遊び』に行くぞ。獲物はかなり手強いが、懸賞金は山分けだ。アルたちのケツをしっかり守ってやれよ」


チャックの仲間たち「へっ、英雄様の後始末か。そいつは高くつきそうだぜ」「アルには貸しを作っておいた方が、後で美味い酒が飲めそうだな!」


口では悪態をつきながらも、彼らは手際よく武器の整備や暗視用の薬の準備を始めた。一方、アルは宿に戻る道すがら、ミラの震えていた背中を思い出し、拳を固く握りしめた。

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