盟友への密談と「影」の精算
朝食後、アルは一人でギルドへ向かい、入り口で仲間と談笑していたチャックを呼び出した。人目のない裏路地へ移動すると、アルは昨晩の出来事と、ミラの過去について手短に説明した。
アル「……というわけだ。今夜、街の外の古い物見櫓でそのバルトロって男と会うことになった」
チャックは黙って話を聞いていたが、バルトロの名を聞いた瞬間に顔をしかめた。
チャック「……物見櫓か。穏やかじゃねえな。だがアル、なぜギルドに通さねえ? エリーナに言えば、正式な警備隊や応援を出してくれるはずだぜ」
アル「情報が漏れるのが怖いんだ。相手は裏社会の組織だろ? ギルドのどこに耳があるかわからない。正式な報告をして、逆にミラを追い詰めるようなことにはしたくないんだ」
アルは懐から、布に包んだ銀貨5枚を取り出し、チャックに差し出した。
アル「これはパーティの共有資金から出す。個人的な依頼として、俺たちのバックアップをしてくれないか。もしそのバルトロって男に懸賞金がかかってたなら、それは全部あんたたちの取り分にしていい。俺たちはただ、ミラの過去を清算して、あいつを守りたいだけなんだ」
チャックは銀貨には手を触れず、しばらくアルの目を見つめていた。やがて、彼はふっと短く息を吐くと、アルの手を押し戻した。
チャック「銀貨5枚か……俺たち『風の犬』を動かすには、ちと安すぎるが……『友人』の頼みなら話は別だ。金は後でいい。その代わり、もし懸賞首だったら遠慮なく俺たちが頂くぜ。……いいかアル、これは『仕事』じゃねえ、俺たちの貸しだ。必ず生きて帰って返せよ」
チャックは力強くアルの肩を叩くと、ニヤリと不敵に笑った。頼もしい「影」の援軍を取りつけたことで、今夜の決戦に向けたアルの心に、確かな勝機が芽生え始めた。
サイドストーリー
路地裏での密談を終えた後、チャックは自分のパーティメンバーに声をかけた。
チャック「おい野郎ども、今夜は少し『夜遊び』に行くぞ。獲物はかなり手強いが、懸賞金は山分けだ。アルたちのケツをしっかり守ってやれよ」
チャックの仲間たち「へっ、英雄様の後始末か。そいつは高くつきそうだぜ」「アルには貸しを作っておいた方が、後で美味い酒が飲めそうだな!」
口では悪態をつきながらも、彼らは手際よく武器の整備や暗視用の薬の準備を始めた。一方、アルは宿に戻る道すがら、ミラの震えていた背中を思い出し、拳を固く握りしめた。




