暗躍する者たち
暗闇渦巻くう空間。そこは岩壁に敷き詰められ、包囲されたような頑丈の鉄壁のような場所。その場所には鉄格子扉があるだけのわずかな小部屋がいくつもある。
そこは地下の監房だった。
普段は罰を受けた生徒が入れられる監房。だが、しかし今は違う。
その監房の牢屋にはチャラい感じの青年と大柄な巨体の二人の男が収監されていた。
容疑は国家反逆罪および殺人未遂罪など関連する多く。
彼らがその多くの罪を犯した原因は軍事学校に向かう途中のフェリーを襲撃したからだ。
彼らは一切口を割ることはなく時来るまで監獄でただひたすら待ち続ける。
「口を割るまでなんどでもいるから覚悟するんじゃな」
「ケッ、国家の犬風情がほざくな。俺らの計画はまだ終わっちゃいない」
「貴様らこそここがどこか、わすれるでないぞ? ここは国の秘匿基地。このような場所でのテロ行為など無意味。なぜなら、すぐに無力化できるからじゃ」
「それはどうかな? 秘匿軍事研究基地局管理長――井出熊雄大佐殿」
井出熊雄は細めた眼を鋭きぎらつかせ、その瞳には十分な殺気が満ちていた。
60過ぎのおっさんとは思えないほどの鋭き眼光だった。
この殺気をただの通常の一般人が見れば卒倒するレベルのものである。
だけれど、その眼光を受けた囚人のチャラ男、御堂昴、大貴族のボンボンは嘲笑った。
「あー、そうか。学生には研究所ではなく学校としてるんだったっけなぁーケヒヒ」
「……目的はなんじゃ?」
「言うかよ。さっさと消えな」
井出はそのまま監房部屋を出ていくと入れ違うように一人の白衣の男とスーツ姿のまるで売人のような格好をした長身痩躯のメガネの男が目の前から歩いてきていた。
白衣の男は学校内では研究部門兼医療担当の管理を任されている軍人、丸山修三中佐。
メガネの男は学校内では生徒の勧誘および外部との提携を掛け持つ軍人であり、親伝手で辰也を学校に招き入れた張本人、狩野芳樹中佐だった。
「丸山中佐狩野中佐、なにようじゃ?」
二人は敬礼を行い、上司たる井出に監房部屋に用があることを言う。
「彼らには外部との接触がった疑いがあるんです。ですから、吾々が内部告発者の情報を直接聞き出そうかと思いまして」
「わしゃ、この新規開発の自白剤の投与じゃよ。その研究実験には囚人は持って来いじゃろ」
丸山は手に持っていたトランクを掲げる。
丸山のいつもの悪い癖のような言い方はあたりまえのことであり対して井出は動じずに暗黙の了承をした。
二人とも監房に入ってく後姿を眺め井出はそのままその場所を後にした。
******
丸山と狩野は監房に入ってさっそく囚人の3人組に近づいた。
丸山の方は含み笑いをもらしながら握っていたトランクを置き中から注射器を取り出す。それを牢屋のカギ穴に注射針を差し込み注射器の中の液体を流し込むと鍵はほどなくして解錠される。
「ありがとうございます、アルスさん」
「いえいえ」
丸山はさっき井出に応じていた時とは全く異なった若い人のような声色で御堂に受け答えた。
丸山は顔を握るとそのマスクを引っぺがす。
中から現れたのは白銀の髪に青い瞳をした外人の少年のような容姿をした男。
実際の年齢は20代であり青年なのだ。
傍らにいる狩野は薄ら笑みを浮かべながら「さて、どういたしますか?」と質問する。
「そうだね、狩野君のおかげで外部から多くの実験体を呼びこめた。計画進行のためには彼が要となるが未だに彼は目覚めに兆候が見られない。せっかく例の能力の投薬の実験体にしたのにね」
「あなたも無茶をいたします。もし、彼が死んでいたらどうしたのですか?」
「うん? それならそれで仕方ないで終わりだし他の子を実験体にするだけ。僕は国の命令で動くただの兵士だよ」
「さようですか」
狩野はさっそくと手に持っていたトランクを開けて中の銃器類を収監された3人の男に手渡した。
「よし、計画の話戻すけどまずは内部から瓦解させていこうか。そうだね、まず手始めにここの上役たちを始末するよ。最初のターゲットは井出熊雄だよ」
その言葉を聞いてその場の者たちが全員銃を懐にしまい頷いた。




