杞憂
■ 本作について
本作は 世界観設定・アイディア構築・プロット立案をすべて著者自身が行っており、執筆の補助ツールとしてAIを活用しています。
■ 活用の具体的な範囲
自己規範にのっとり制作という一面はありつつも執筆であることは放棄しない方針です。
興味があればこちらをご覧ください→ChatGPT活用の具体的なイメージ[https://note.com/makenaiwanwan/n/nc92cf6121eb3]
■公開済エピソートのプロットを公開中
「主体性・創造性・発展性・連続性」を確保している事の査証が目的です。
https://editor.note.com/notes/n52fb6ef97d70/edit/
■ AI活用の目的とスタンス
本作は 「AIをどこまで活用できるか?」を模索する試み でもあります。
ただし、創作の主体はあくまで自分 であり、物語の本質やキャラクターの感情表現にはこだわりを持っています。
また、すべてを自身の手で執筆される方々を心から尊敬しており、競合するつもりはありません。
「クランの構成メンバー数――百三十四名……これほどの規模だとは思わなかったわ」
「第八学園の学生を丸ごと配下にしていると考えれば妥当な人数だな」
「何を呑気なことを……」
風呂上がりの熱はすっかり冷めていた。
ソフィアの濡れた金髪は、ヘアゴムで雑にまとめられている。
世羅が居候するようになってから、彼女は毎日シャワーを浴びるようになった。
以前は、平日だろうが仕事があろうが、数日程度は平気で風呂をキャンセルする人種だったのに。
浴室から戻り、赤いジャージに袖を通したソフィアは、手慣れた動きでパソコンを操り始めていた。
すでに十分ほど経っている。
「あなたの聞き間違いや、杞憂って可能性もゼロではないけれど?」
ソフィアの声は冷静だった。
現実的な可能性として、ギャングクランから決闘を仕掛けられる理由は薄い。
確かに世羅と賞金稼ぎを行っていたが、正体を悟られるような“しくじり”はしていないはずだった。
直近のギャング狩りで、顔を見られたかもしれないとは世羅も言っていた。
だが、それだけで即座に報復へ発展するのは考えにくい。
彼女は、もっと別の理由があると読んでいた。
そして、その読み自体は間違っていない。
ただ、実際には。
すべては多湖の恋慕からくる“不条理”が生んだ決闘への道筋だった。
知性と理屈を重んじるソフィアにとって、想像もつかない流れ。
「そうは言ってもな、“先生”。明日か、明後日か……それがいつかは知らないが。実際に仕掛けられたら、もう“事”だぞ」
世羅の言葉に、ソフィアは深くため息をついた。
「はぁ……言われなくても、わかってるわよ。これだけのギャング集団と決闘……それ自体が、もう“事”なんだから」
当然、命の保証はない。
「仮に生き残れたとしても……私や、あの娘たちがどんな仕打ちを受けるか、考えたことはある?」
ソフィアはふと天井を見上げた。
世羅の配下となってから、彼女はそれなりに“特別な扱い”を受けてきた。
彼に対して嫌悪感はない。むしろ、ある程度の好意もある。
だが、日常の雑務を強要され、生徒と教師という関係も有名無実となり、隠していた住処にも居座られた。
本来の裏の仕事、彼女の本性(いまはそれを語るときではない)にも支障が出ている。
そして、何より“夜”の相手。
世羅相手ならまだいい。だが、ギャングの配下となった先に待つ運命は、想像するだけで背筋が寒くなる。
それでも、逃げることはできない。
世羅に属している以上、彼のクランが決闘を仕掛けられれば、それは自分自身にも降りかかる。
それが、変異島のルールだった。
「私が命に代えても守る」
世羅はソファーに寄りかかり、組んだ足をぶらつかせながら告げた。
一見すれば中性的な彼の佇まい。
だが、その声は不思議と揺るぎなく、力強く、何気なかった。
「……なに? 精神論?」
ソフィアは皮肉めいた口調を装ったが、声はわずかに上擦っていた。
頬が熱い。不意に聞かされた“男の台詞”に、内心戸惑っている自分がいた。
「事実だ。決闘には負けん」
世羅は平然と答える。ソフィアは理屈屋だ。
感情を脇に置き、ただ“仕事”に徹するよう訓練されてきた。
だが、世羅の理屈なき“覚悟”に、心が引き寄せられそうになる。
何より、“信じてしまいそうな自分”に、ソフィアは驚いていた。
「勝てると思ってるの?」
正しい答えを期待していたわけではない。
ただ、世羅がどう返すのかを聞きたかった。
「勝つ――仮に勝てなくても、敵は全員道連れにする」
その言葉には、一片の迷いもなかった。
世羅は、月乃も、ヤミ子も、ソフィア自身も奪わせない。
そのためなら死んでもいいという覚悟――だが、優しさではない。
純粋な、剥き出しの“独占欲”だった。
だが、それゆえに、裏がない。ソフィアは知っている。
目の前の少年は、本気で自分を、自分たちを、欲しているのだと。
(問題は、私だけじゃないってことだけど……)
心の奥で、そんな苦笑がわき上がる。
「ソフィア」
名前を呼ばれて、ソフィアはビクリと肩を揺らした。
「……えっ? な、なに?」
考えごとに没頭していたせいで、すっかり世羅の存在を忘れていた。
「本当に決闘を仕掛けてくるかはわからんが……準備は怠るな」
静かな声だったが、言葉には確かな重みがあった。
最悪を想定して備える。それは本来、ソフィア自身が提案すべきことだった。
だが、世羅は既にそれを理解していた。
逆に諭される形になったことに、ソフィアはすこしだけ心をザワつかせる。
(……この程度で動揺してたら、この人の相手なんて務まらないわね)
気持ちを切り替え、ソフィアは問いかけた。
「ええ……わかった。でも、具体的にはどうするの?」
世羅はソファーに深く体を沈め、足を組み替える。
そして、挑発的な笑みを浮かべながら言った。
「それを考えるのは“先生”の仕事だろ?」
目の下の隈も相まって、嫌味なほど憎たらしい顔。
ソフィアはちいさく溜息をついた。
「もう……じゃあ、できることはやるけど」
諦め半分、覚悟半分。
「予算は?」
何をするにも、スコアがかかる。
喧嘩も、決闘も、準備も、全部だ。
「好きなだけ」
「借金苦のあなたが、それを言うの?」
呆れたソフィアに、世羅はちいさくクククと笑う。
もはや笑うしかないという顔だった。
「できるだけ予算は抑えるけど、タダってわけにはいかないからね……一応、建て替えておくけど、ちゃんと返してよね?」
「ギャングを倒せば総取りだ。私の借金を返しても“お釣り”がくる」
「まさか、それが狙い?」
「そうかもな? コッチから仕掛けるつもりだったからな」
さらりと言ってのける世羅に、ソフィアは目を細めた。
冗談とも本気ともつかない口ぶりだったが、いまは深く追及するつもりはなかった。
「……じゃあ、決闘をしかけてこなかった場合は? 準備も無駄になるけど?」
「体で返す」
ソフィアは顔を真っ赤にして、すぐに言い返した。
「したいのはあなたでしょ!? 私が望んでるみたいに言わないでくれる!?」
「なんのことだ? 働いて返すって意味だが?」
あまりにも無邪気に……いや、どこかオヤジ臭い冗談めかしさで返す世羅に、ソフィアはぐぬぬと唸った。
(高校生のくせに……いや、高校生だからこそ、こんな親父みたいな台詞が自然にでるの!?)
気づきたくなかったが、世羅の言動にはときおり、年齢不相応な“古さ”が滲む。
それを今さら思い知らされ、ソフィアはちいさく震えた。
「もう! すぐに返せないなら、返すまで私にマスター権限、渡してもらうからねっ!」
怒りに任せ、ソフィアはソファーの上にあったクッションを手に取る。
ぼふっ!
遠慮なしに世羅へ投げつけた。
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