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岩肌小鳥

■ 本作について

本作は 世界観設定・アイディア構築・プロット立案をすべて著者自身が行っており、執筆の補助ツールとしてAIを活用しています。


■ 活用の具体的な範囲

自己規範にのっとり制作という一面はありつつも執筆であることは放棄しない方針です。

興味があればこちらをご覧ください→ChatGPT活用の具体的なイメージ[https://note.com/makenaiwanwan/n/nc92cf6121eb3]

■公開済エピソートのプロットを公開中

「主体性・創造性・発展性・連続性」を確保している事の査証が目的です。

https://editor.note.com/notes/n52fb6ef97d70/edit/


■ AI活用の目的とスタンス

本作は 「AIをどこまで活用できるか?」を模索する試み でもあります。

ただし、創作の主体はあくまで自分 であり、物語の本質やキャラクターの感情表現にはこだわりを持っています。

また、すべてを自身の手で執筆される方々を心から尊敬しており、競合するつもりはありません。

「なーおい、こんな奴いたか?」

「しらねーよ、はじめて見たぞこんなガキ」

「第八学園に女なんてめったにいねーし、見りゃわかるはずだよな?」


 第八特別区第八学園。

 そこは“掃き溜め”と呼ばれる場所だった。

 無法に近い変異島のなかでも、札付きの不良が集まる、最底辺の学園。

 一応は共学だが、女子の姿はほとんどない。

 いや、在籍はしていても、入学初日で不登校になるのが常だった。

 理由は明白。盛りのついた猿の(おり)

 そこに裸で放り込まれるような環境。正気で登校する女子がいるわけがない。


「あわ……あわあわ……!」


 第八学園の制服を、乱すこともなくきちんと着こなした少女がひとり。

 同じ制服を雑に着崩した不良たちに、取り囲まれていた。

 高校生としてはかなり小柄な彼女。

 その姿は、まるで野犬の群れに放り込まれた仔犬(こいぬ)のようだった。

 プルプルと震える体は、どこかチワワのようにも見える。


「なぁ? こいつ、どうすんべ?」

「はっ? それどころじゃねーし、放っておけば?」


 きっかけは些細なことだった。

 少女はコンビニを飛び出した勢いのまま、路地を右に曲がった。

 その拍子に、たむろしていたギャングのひとりにぶつかってしまった。

 世羅を尾行するために潜んでいた男だった。

 ただ、それだけのことだった。

 問題だったのは、その“ぶつかった男”が、派手に吹き飛び壁に叩きつけられ失神したという点にある。


「だけどよ、こんなことしといて、無事に済ませるのヤバくねぇ?」


 ギャングのひとりが、失神した男を指差して言った。

 倒れているのは、グループ内でも比較的大柄な男だった。

 変異体は、総じて身体能力がたかい。

 見た目がか弱くとも、一般人のトップアスリートを超える力を秘めていることなど珍しくない。

 だが、吹き飛ばされたこの男もまた、変異体だったのだ。


「わ、わざとじゃないし……そ、そもそも……そんなところに立ってるキミたちが……わ、わ、悪いっていうか……」


 少女は男たちと目を合わせることなく、まるで独り言のようにぼそぼそと(つぶや)く。


「ぐちぐち何言ってんだぁ!? 聞こえねーぞコラァ!」

「ひぃっ!?」


 その態度が、ギャングたちの神経をさらに逆撫(さかな)でしたらしい。


「おまえ、ちょっとこっちに来いや!」

「!?」


 ギャングのひとりが少女の手首を乱暴に掴み、思いきり引っ張る。

 人気のない路地裏にでも連れ込むつもりだったのだろう――だが。


(うぐっ!? なんだコイツ……重てぇ! 岩!?)


 少女の体はピクリとも動かなかった。


「や、やめっ……! ボクにっ、気安く、さ、さわんなバカッ!」


 ボサボサの前髪に隠れて表情は読みづらいが、少女の(ほほ)は真っ赤に染まっていた。

 怒っているというより、どこか照れているような雰囲気だ。

 しかも、発声方向が明後日なため、ギャングにはその抗議の声もほとんど届いていない。

 その直後だった。少女が軽く手を引いた。

 ただそれだけの動きなのに、男の体はぐらりと揺れた。


「うぉ、なんだコイツ……力、つよっ!?」

「おい、なにやってんだ!? 陰キャのクソ女に負けてんのかよ、ダッセ~!」

「ぎゃはははっ!」


 周囲のギャングたちは茶化すように笑っているが、

 手を掴んだ男は顔を真っ赤にしていた。

 少女が赤面していたのは、単に人慣れしていないからだったが、男のほうは違う。

 いまにも振りほどかれそうな腕を、必死で掴み続けていたのだ。


「おまえらごときが、ぼ、ボクに触るなんて……せ、せ、千年はやいんだからっ! 離せよ、低脳バカッ!」


 その台詞、とくに後半の“バカ”呼ばわりが、ギャングたちの耳にしっかり届いたようだった。

 ふざけた空気で見物していた周囲にも、ぴりりとした緊張がはしる。

 少女の手を掴んでいた男は、言葉の矛先をまともにくらった張本人だ。

 彼女の抵抗を抑えきれない現実が“非力な自分をバカにされた”と感じたのだろう

 プライドを傷つけられた彼は、露骨に逆上した。


「てめぇ……この野郎っ!」


 男は、少女の手を掴んでいない方の腕を振りかぶる。

 拳を握ったまま、殴る気満々の構え。人目など気にしない。

 そもそもこの路地には、最初から誰もいない。

 そして変異島において、暴力をとがめる人間もまた存在しない。

 ギャングにとって大切なのは、“面子”だ。

 相手が女だろうと関係ない。殴ると決めたら殴る。それが、いつものやり方だった。


 ガシィッ!


「なにぃっ!?」


 振り下ろされたはずの拳が、空中で止まった。

 少女の体と同じように、拳も腕もぴくりとも動かない。


「せ、せらくん!?」


 少女が驚いたように声を上げた。

 その声は一段と上ずっており、(ほほ)の赤みが一気に広がる。

 視線の先――そこには、コンビニの制服姿のまま、無言でギャングの腕をつかむ男の姿があった。

 制服の胸元には“世羅”と書かれたネームプレートが光っている。

 突然現れたその姿に、ギャングたちは一瞬、呆気(あっけ)に取られる。


「お客様……ここで何をされているんですか?」


 穏やかな口調。

 だがその声音には、場の空気を一変させる圧力があった。


「うっ……おい、こいつって……」

「くそっ……おい、どうすんべ?」


 ギャングたちは顔を見合わせた。

 焦りと戸惑い、そのまま“動揺”が表情に(にじ)み出ていた。


「ちっ……! くそ、どうしようもねーよ!」


 ギャングたちはアイアンメイデンのクランマスターである、三メートルの“ビッグボス”の命を受けてここにいる。

 世羅を遠巻きに監視し、戦力を割り出せとの指示を受けているのだ。

 そのターゲットが目の前にいる。尾行する者にとって、あってはならない状況だろう。


決闘(デュエル)までは手を出すなってボスに言われてるだろ……」


 ギャングのひとりがぼそりと漏らすように言った。

 “決闘(デュエル)”――その単語が耳に届いた瞬間、世羅の眉がピクリと反応した。


「……お客様。いまなんて――」


 世羅が静かに問い詰めようとした、その瞬間だった。

 場の空気がわずかに張り詰めた、ほんの刹那。

 少女の足が、男の足の甲をぐりりと踏みつけた。

 無表情のまま、ただ小さく動かしただけのように見えるその動作。

 だが、それはまるで世羅の追及を“かき消す”かのような、絶妙なタイミングだった。


「ぎゃあ! いっ! いてぇ! この女ぁ!!」


 男が悲鳴を上げた。

 少女に腕を掴まれたまま、反対の腕は世羅に押さえられており、逃げ場はなかった。

 そして、その状態で、足を踏まれていたのだ。

 踏んでいたのは、他ならぬ少女。

 小中学生と見紛うような、非力そうなその体躯(たいく)からは想像もつかないような、深々とした足跡が、男とアスファルトに残されていた。


「ぶっころ――」


 男は逆上し、少女の腕を握っていた方の手を振り上げた。

 世羅に捕まえられているのとは逆の腕で、再度の攻撃を試みる。


 ドンッ!


 世羅の蹴りが男の鳩尾(みぞおち)を的確にとらえた。

 無駄な動作もなければ、怒りもない。ただ純粋に沈めるための一撃だった。

 男の拳は空を切り、体は宙へと跳ね上がる。

 三メートル近くまで浮かび上がり、静かに地面へと墜ちた。


 ドサッ……。


 アスファルトに仰向けになった男は、それきり動かなくなった。


「て、てめぇ! こらぁ!?」


 ギャングの罵声が飛ぶ。

 だが世羅は動じることなく、蹴り上げた片脚をそのままに残していた。

 来るならば同じ目にあう――そう警告しているような武道における“残心”の構えであった。


「おい、やめろっ!」

「離せよ! 舐められたまま終われるかよ!」

「手を出すなってボスに言われてるだろーが!? オメー、ボスに殺されてーのかよ? 死ぬならひとりで死ねよな!?」

「ちっ!? くそったれ……!!」


 ギャングたちは不満げな顔を隠しもせず、「覚えてろよ」と捨て台詞を残して去っていった。

 その背中を見送りながら、世羅はわずかに眉をひそめる。

 あまりにも行動に一貫性がない。だが、それ以上に気になる点があった。

 尾行に気づいたのは、もう五時間前のことだ。

 それにも関わらず、ここまで手を出してこなかった。

 我慢が効かないからこそギャングなどをやっている連中が、これだけの時間、ただ張り付いていただけ。

 その様子には違和感があった。


(……多湖の差し金にしては、やけに統率が取れていた)


 世羅は思考を巡らせる。


賞金(バウンティ)持ちのギャングを狩っていた報復……その線はある。だが……決闘(デュエル)……聞き間違いではないよな?)


 ギャングのひとりが口走ったその言葉を、世羅は反芻(はんすう)する。

 偶然にしては耳につきすぎるワードだった。

 もし本当に“それ”を狙っていたとすれば、早急な対策が必要――そう思いかけたときだった。


「あっ、あっ、その……えっと……」


 うわずった声が、世羅の思考を遮った。

 声の主は、ギャングに絡まれていた常連の少女だった。

 縮こまったように立ちすくみ、視線を彷徨(さまよ)わせながら、世羅の前で何か言いたげに口を開いていた。


「ん? あ、ああ……大丈夫でしたか?」

「は、はぃ! だっ、大丈夫です!」

「うぉ……」


 世羅は思わずたじろいだ。

 最近になって気づき始めたが、少女は反応のテンションがどこかおかしい。

 軽く返したつもりの会話も、まるでフルスイングで投げ返されるような、噛み合わなさがある。

 コミュ障なのだ。

 世羅自身も口数がおおい方ではなく、人付き合いを好むわけでもない。

 だが、この少女の不器用さはそれ以上だった。


「世羅くん、なぜ助けてくれたの?」


 少女がおそるおそる尋ねてくる。


「えっ? ここはコンビニの敷地内なので、トラブルの対処は店の仕事です」


 世羅は特に深い意味もなく、当然のようにそう答えた。

 あくまで業務の一環という体裁ではあるが、仮に相手がゴリラのような男だったなら、さすがにここまで即座には動かなかっただろう。

 制服を着た小柄な美少女、という点が判断を早めたのは否定できない。


 少女は何か言いかけたが、すぐに口をつぐむ。

 その視線が床をさまよい、指先がそわそわと落ち着かない動きを見せる。

 世羅が首をかしげた。


「あの……なぜ、私の名前を?」

「えっ!? あ、あ、あっ!」


 少女はしどろもどろになりながら、焦ったように世羅の胸元を指さす。


「ネ、ネームプレートっ! その、名札です! つけてたから……それを見て……!」


 世羅は、「なるほど」と納得する。

 だが、名札を見ただけで名前を呼ぶという行為には、どこか妙な違和感も残る。

 どう返すべきか迷い、ひとまず言葉を濁した。


「……え、えーと……」


 世羅がここに来たのは、単に少女の落とし物を届けに来ただけだった。

 それが、まさか自分を尾行していたギャングとひと悶着(もんちゃく)を起こすことになるとは、さすがに想定していなかった。


「ぼ、ボクは小鳥です!」


 いきなりの発言に、世羅は「えっ?」と目をまたたかせた。

 何の話か分からず、一瞬“鳥の話”でも始まるのかと思ってしまった。


「えっ? ことり??」

「はいっ!」

「何が……?」

「えっ……? 何がって……ボクの名前……」

「な、名前?」


 小鳥は世羅の曖昧な反応を「名前がわからず困っているのだ」と早合点したらしい。

 自分の名を名乗るのは当然。そんな思い込みが、あの唐突な自己紹介につながったのだろう。

 会話はかみ合わず、空気はどんどん気まずさを増していく。

 小鳥は自分が何かを誤解しているのではないかと気づきはじめた。


「えっ……ちが、えっ? なに? えっ?」


 混乱と羞恥が爆発する。


「う、うぁあぁああ!」


 彼女は叫び声をあげて、路地裏の舗装道を全力で駆け出した。


 ガンッ!


 縁石に靴の先をぶつけた小鳥の体が、勢いよく宙を舞った。


「ふぎゃっ!?」


 そのままアスファルトに盛大に倒れ込む。

 風に(あお)られるようにスカートがひるがえり、その下から、レースのあしらわれた“勝負下着”が露わになった。


「……またか」


 世羅は小さく(つぶや)いた。

 目を逸らすべきか否か、一瞬迷ったが、もうすでに見えていた。

 小鳥はすぐに体を起こし、両手でスカートを必死に押さえると、顔を真っ赤に染めて叫ぶ。


「ちがっ……ちがうの! ちがうからっ! そ、そういう意味じゃなくてっ! べ、べつに勝負しようとか思ってたわけじゃなくてっ! たまたまっていうかっ、気合入れたとかじゃなくてっ……!」


 全身で言い訳しながら、耳まで真紅に染めてパニックの極致に達していた。


「うああああああああ!!」


 声にならない悲鳴を上げ、再び走り出した。


 ドンッ!


 今度は勢いあまって、一軒家の外壁に激突。

 そのままバランスを取り直すように体勢を整え、文字通り逃げるように走り去っていった。

 取り残された世羅は、ふと手元に目をやる。

 そこには、彼女が落としていったくしゃくしゃのレジ袋が残されていた。

 なかには、ゴッドブルとラムネ菓子。

 何度も見た、いつもの“セット”だった。

 世羅は小さく息を吐き、ぽつりと(つぶや)いた。


「“小鳥”ってのが……名前か? 忘れ物だぞ、小鳥……」

最後までお付き合いいただき、感謝です!


「いいね!」と思っていただけたら、高評価をいただけると嬉しいです!


今後の励みになりますので、もしよろしければ……!

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