勝負下着
■ 本作について
本作は 世界観設定・アイディア構築・プロット立案をすべて著者自身が行っており、執筆の補助ツールとしてAIを活用しています。
■ 活用の具体的な範囲
自己規範にのっとり制作という一面はありつつも執筆であることは放棄しない方針です。
興味があればこちらをご覧ください→ChatGPT活用の具体的なイメージ[https://note.com/makenaiwanwan/n/nc92cf6121eb3]
■公開済エピソートのプロットを公開中
「主体性・創造性・発展性・連続性」を確保している事の査証が目的です。
https://editor.note.com/notes/n52fb6ef97d70/edit/
■ AI活用の目的とスタンス
本作は 「AIをどこまで活用できるか?」を模索する試み でもあります。
ただし、創作の主体はあくまで自分 であり、物語の本質やキャラクターの感情表現にはこだわりを持っています。
また、すべてを自身の手で執筆される方々を心から尊敬しており、競合するつもりはありません。
「ありがとうございました~」
気の抜けた声で世羅が客を送る。
ヤミ子を家まで送り届けたあと、シフトに入ってから二時間が経過している。
いま出て行ったのが、本日最初の来客だった。
このコンビニは第三学園の学区内ギリギリに位置する、人気のない寂れた店だ。
家から近く、接客も最小限で済むという理由で世羅が選んだバイト先だが、店内に自分以外の人間がいることの方が珍しい。
本来なら採算の取れない赤字店舗として閉鎖されるはずだが、MONOLITHがオーナーを務めるインフラ施設や商店にとっては、“そこに存在する”こと自体が重要なのだ。
客足に見合わず、生鮮食品や弁当が普通に入荷され、ホットスナックも陳列されている。
読み手のない雑誌、誰も開けない飲料水。
たとえ一年間ひとりの来店がなくても、供給は途絶えない。
もっとも、MONOLITHが供給する“生モノ”は謎の技術により、異常なまでに長い消費期限を誇る。
そのため、実際に廃棄処分となる数は多くはない。
とはいえ、もし廃棄品を持ち帰れるなら、財政難の世羅にとっては願ってもない話だが、それは許されない。
“もったいない”という感情は、MONOLITHには通用しない。
何かを得るにはスコアを支払う――それが変異島の絶対的なルールであり、そこに慈悲も例外もない。
『いらっしゃいませ』
自動ドアが開くと同時に、無機質な機械音声が店内に響く。
世羅が何気なく視線を向けると、ボサボサの髪で顔の上半分を隠した少女が、そそくさと入店してきた。
(今日も来たのか)
もはやその感情すら薄れかけている。
世羅のシフト中、必ず一度は現れる常連だからだ。
ただひとつ問題がある。
彼女は毎回、店内を無意味にうろつきながら、世羅をチラチラと見てくるのだ。
男物の商品を手に取ったり、明らかに未成年だがアルコール棚を物色したり、。
しかし、買う気はまったく感じられない。商品を見ずに横目で世羅の動向ばかりを気にしている。
万引きかと思いきや、そうでもない。
オートマートの監視はドローンによる厳重なものだが、警報が鳴ったことは一度もない。
要するに“変な客”だ。
世羅もそれを理解してからは、気づかれない程度に見張る癖がついていた。
ボサボサの髪に隠れているが、よくみると顔立ちはかなり整っている。
化粧っ気はまるでないが、素材だけでいえば世羅のクランメンバーたちに引けを取っていない。
だが、いかんせん“暗い”。
猫背気味の姿勢と、陰気を纏うような雰囲気がすべてを台なしにしている。
そのせいもあってか、美少女に対する嗅覚が鋭い世羅ですら、彼女の美貌に気づいたのは最近だった。
ピッ……ピッ……。
彼女は毎回、きっちり十五分ほど店内を“物色”する。
まるで時間を測っているかのように。
最終的に買うのは、決まって二点でエナジードリンクの“ゴッドブル”と、ラムネ菓子だけ。
奇行の域ではあるが、トラブルを起こすわけでもない。
いつも同じ流れなので世羅はもう慣れた。
「合計で五百スコアになります」
毎回同じ商品で同じ金額。いうまでもない常連対応だったが、世羅はマニュアル通りに口にする。
レジのまえでも彼女の視線がチラチラと世羅に向くのも、いつものことだった。
「それ、好きなんですか?」
世羅は何気なく訊ねた。
主語を抜いたのは無意識だったが、指していたのはもちろん、レジ袋に入れられたゴッドブルとラムネ菓子のこと。
だが、しかし――
「すき!? はっ、はっ、はいぃっ!? えっ、え、な、なんで!? ぼっ、ぼぼぼっ……ボクぅぅ!? 別に好きじゃねーしっ! ち、ちがうっ、そうじゃなくて! これは、そういうイベントは想定してない……まだ、準備か……う、う、うああ!!」
彼女はテンパり支離滅裂な言葉を叫ぶ。
そのままレジ袋を奪い取ると顔を真っ赤にして踵を返す。
逃げるように走り出すと、商品棚に二度ぶつかり、自動ドアのまえで盛大に転んだ。
「だ、大丈夫ですか?」
世羅が声をかけると、少女は顔をしかめて、ゆっくりと身を起こしかけた。
「いたたた……」
少女は肘を擦ったようで、手をさすりながら身を起こす。
だが、世羅の視線が一瞬だけ自分の“下”に向けられているのに気づき、動きがピタリと止まる。
一瞬の間、思考が停止する。自分でも視線を落とす。そして、理解する。
スカートが捲れ上がり、可愛いレースの下着が丸見えだった。
まるで性格に似合わない、陰キャ系の見た目からも予想できない――“勝負下着”だ。
「~~~~~~~~っっっ!?」
彼女の顔が耳まで染まった。
「ちがっ……ちがうの! ちがうからっ! そ、そういう意味じゃなくてっ! べ、べつに勝負しようとか思ってたわけじゃなくてっ! たまたまっていうかっ、気合入れたとかじゃなくてっ……!」
少女は真っ赤になって叫びながら、ばっと体を起こす。
だが世羅は下着のことなど気にしていなかった、彼女が派手にコケたことを純粋に心配しているだけだった。
「??」
その無反応が、少女の羞恥にさらに火をつける。
「うあああー!!」
ゴンッ!
「うぎゃあっ!!」
少女は自動ドアに思い切り頭をぶつけ、悲鳴とともに逃げるように走り去っていった。
「一体、何なんだよ……」
世羅は眉をひそめた。
訳がわからない。挙動不審にも程度というものがある。
とはいえ、彼女の行動は“ライン越え”には至っていないのだろう。
少なくとも、店内を巡回する防犯ドローンはそう判断している。
彼女の奇行にドローンが視線を向けることはあっても、
これまで一度も“排除”という明確な指示が下されたことはない――だが。
ピーピーピー。
突然、防犯ドローンが機械音を鳴らし、青白いスポットライトを床に照射する。
「ん? なんだ……おいおい、アイツ……」
世羅は少女が転んだあたりに目をやった。
そこには握りしめられ、くしゃくしゃになったレジ袋がひとつ、ぽつんと落ちていた。
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