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西日本特別諜報班 NST 影の特命  作者: スパイク


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赤い電波は誰のものだ

神戸の夜は、海風よりも電波が冷たい。


ヒロ室西日本分室の会議卓に置かれた一枚の内部資料。

スポンサー圧力、編集改竄、意図的な世論誘導。

元県知事一派と繋がる資金の流れが、神戸放送の編成幹部の名前と結びついていた。


「撃つのは銃やない。電波や」


彩香は静かに言う。


銃撃戦は派手だ。

だが、世論を撃つ弾はもっと深く刺さる。


神戸放送本社ビルは、湾岸を望むガラス張りの建物だ。

昼間は笑顔と情報が行き交うが、夜は別の顔を持つ。


NSTは影で動く。


美咲が内部サーバーのアクセスログを解析。

澄香と澪香が広告代理店経由の裏契約を追う。

あかりが警備導線を洗い出す。


彩香はひとり、編成幹部の行動パターンを読み続ける。


幹部は、テレビの顔ではない。

だが番組を動かす男だ。


特定候補の失言を編集で誇張し、

敵対勢力の発言を切り貼りする。


「正義は編集できる」と公言していたという。


その夜、生放送の報道特番が予定されていた。


テーマは“県政の混乱”。


元県知事に有利な構成。

批判勢力は“危険分子”として扱われる筋書き。


彩香は黒いキャップを深くかぶる。


「やるで」


NSTは放送局内部に分散潜入。


清掃員、外部業者、機材点検スタッフ。


誰も気づかない。


編成幹部は副調整室で腕を組み、モニターを見つめている。


「編集は完璧か?」


「はい。問題ありません」


彼は満足げに頷く。


番組が始まる。


アンカーが原稿を読む。


だが、予定と違う映像が流れた。


改竄前の元データ。


幹部の指示音声。


「そこ切れ。印象悪くなるから繋げろ」


「この部分は削れ。スポンサーが怒る」


スタジオが凍る。


幹部が立ち上がる。


「止めろ!切り替えろ!」


だが操作は効かない。


彩香が副調整室の暗がりから現れる。


姿は一瞬だけ。


「電波は、あんたの私物やない」


幹部が振り返る。


「誰だ!」


その瞬間、全モニターに別映像。


裏契約書。

不正送金記録。

海外口座の明細。


視聴者数は伸びる。


SNSは炎上。


スポンサーは一斉に問い合わせ。


幹部は汗を流し、言葉を失う。


スタジオのアンカーが震える声で言う。


「……ただいま予期せぬ映像が」


彩香は影に戻る。


NSTは誰も姿を晒さない。


数時間後。


幹部は記者会見に立たされる。


フラッシュの嵐。


「説明責任を果たせ!」


彼は崩れ落ちる。


ザ・ハングマン的な結末。


法の裁きはこれからだが、社会的には終わりだ。


その頃、局の別フロア。


美月とさつきが収録中だった。


「今日は神戸スイーツ特集やで~!」


明るい声が響く。


廊下で彩香とすれ違う。


美月が気づく。


「あれ?彩香?なんでここにおるん?」


彩香は肩をすくめる。


「用事や」


さつきは不思議そうに微笑む。


「今日は局が騒がしいですね」


遠くでスタッフが慌ただしく走る。


美月は首をかしげる。


「なんか事件みたいやな。でもロケ優先や!」


何も知らない。


スタジオに戻る。


数時間後、夕方のニュースは大混乱。


編成幹部の不正がトップニュース。


美月はモニターを見て目を丸くする。


「え、なにこれ!?今日おった人やん!」


さつきが静かに言う。


「真実は、時々予定外に流れるものですね」


ヒロ室西日本分室。


彩香はテレビを消す。


「電波は誰のもんでもない」


あかりが頷く。


「市民のもんや」


玲奈の名は出なかった。


だが、不正の資金ルートは一つ潰れた。


夜の神戸。


電波塔の赤い灯が点滅する。


赤い電波は、誰のものでもない。


守るべきもののために流れる。


戦いは、まだ続く。

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