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西日本特別諜報班 NST 影の特命  作者: スパイク


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407/415

落札番号ゼロは、死人の荷物を売る ――加東・巨大保管庫オークション、「持ち主のいない倉庫」に眠る黒鷹の密約

加東の夜は、神戸ほど明るくない。


だが。


暗いわけでもない。


高速道路の灯。


工業団地の照明。


倉庫街を走るトラック。


遠くには山の黒い稜線。


加古川の流れ。


田畑。


そして。


昼間なら。


観光客が訪れる東条湖。


播磨中央公園。


古くから続く播州針。


酒米の王様と呼ばれる山田錦。


兵庫県加東市は。


派手ではない。


だが。


妙に強い。


農業。


工業。


物流。


交通。


全部。


持っている。


神戸から。


遠すぎない。


姫路からも。


遠すぎない。


中国道。


幹線道路。


北播磨の中継点。


人。


物。


情報。


集める。


そして。


散らす。


黒鷹が。


そこへ。


目をつけない理由はなかった。


加東市郊外。


工業団地の外れ。


巨大な敷地。


高いフェンス。


何棟もの保管庫。


看板。


播磨セントラル・ストレージ。


個人。


会社。


廃業店舗。


古物商。


引越し業者。


いろいろな人間が。


いろいろな理由で。


物を預ける。


家具。


家電。


工具。


衣類。


本。


スポーツ用品。


楽器。


骨董。


玩具。


何が入っているか。


外からは。


分からない。


そして。


この会社では。


長期滞納。


契約者死亡。


所在不明。


所有権放棄。


そういう荷物を。


法的な整理を経て。


定期的に。


倉庫一室。


丸ごと。


競売へ。


出していた。


ストレージ・オークション。


シャッター。


上がる。


数分。


中。


見る。


箱。


開けられない。


奥。


入れない。


見えるもの。


だけ。


判断。


金額。


決める。


当たり。


外れ。


全部。


自己責任。


人間の欲。


よく出る。


「あの箱の中に何かあるかもしれない」


その。


「かもしれない」。


それだけで。


札。


上がる。


黒鷹は。


そこへ。


自分たちの荷物を。


紛れ込ませた。


今回。


県警が。


見つけたのは。


一つ。


番号。


一般競売。


101。


102。


103。


続く。


なのに。


内部システム。


一件。


だけ。


LOT-000。


落札番号。


ゼロ。


公開リスト。


なし。


競売参加者。


知らない。


所有者。


空欄。


倉庫位置。


非公開。


ただ。


関係者の一部だけ。


言う。


ゼロ番。


県警本部。


一枚の資料。


岡本玲奈。


机。


置く。


「黒鷹は、この倉庫を受け渡し場所として使っています」


ヒロ室西日本分室。


大型モニター。


美咲。


画面。


見る。


あかり。


腕。


組む。


麻衣。


資料。


読む。


玲奈。


「盗まれた次世代産業機械の試作制御モジュール。暗号媒体。企業機密」


ページ。


変える。


「それを、家具や中古家電、古本、スポーツ用品へ紛れ込ませる」


あかり。


「自分で取りに来るん?」


「来ません」


「ほな?」


美咲。


先。


分かる。


「競売ですね」


玲奈。


「そうです」


黒鷹。


偽名。


倉庫。


契約。


荷物。


入れる。


わざと。


滞納。


失踪。


法的整理。


競売。


黒鷹系列の古物業者。


普通の参加者。


札。


上げる。


落札。


受け取る。


帳簿。


見れば。


ただの。


古物取引。


麻衣。


「めんどくさいこと考えますね」


玲奈。


「面倒だから追いにくいんです」


あかり。


「私は直接渡した方が早い思うけど」


麻衣。


「黒鷹に効率化アドバイスせんでええよ」


あかり。


「してへんに」


玲奈。


資料。


閉じる。


「今回はLOT-000の中身と、受け取り側の実行犯を同時に押さえます」


麻衣。


「潜入は?」


玲奈。


「三人」


あかり。


美咲。


麻衣。


見る。


「現場キャップは麻衣」


麻衣。


一瞬。


だけ。


玲奈。


見る。


以前。


なら。


「私ですか?」


言った。


今。


違う。


「はい」


それだけ。


玲奈。


ほんの。


僅か。


目。


柔らかくなる。


麻衣。


成長。


している。


そして。


彩香。


今回も。


いない。


理由。


誰も。


言わない。


だが。


麻衣。


もう。


それを。


穴。


だとは。


思っていない。


自分。


やる。


ただ。


それだけ。


そこへ。


波田顧問。


入る。


「おう!」


三人。


見る。


嫌な予感。


「また紀伊ハンターの出番じゃねぇか!」


麻衣。


「波田さん、それまだ言うんです?」


「当たりめぇだろ! てやんでぇ!」


あかり。


「元ネタ知らんに」


美咲。


「今回も調べていません」


波田。


「おめぇらほんとに見ねぇな!」


麻衣。


「だって昔すぎますもん」


「昔だから何だってんだ! 名作は古くならねぇんだよ!」


玲奈。


静か。


「波田顧問」


「なんでぇ」


「作戦会議です」


「へいへい」


紀伊ハンター。


波田。


一人。


呼ぶ。


本人たち。


今も。


よく分からない。


ただ。


否定。


するのも。


面倒。


それくらい。


潜入。


始まる。


まず。


あかり。


残置物整理。


搬出。


倉庫整理。


作業員。


完全。


体力仕事。


初日。


主任。


「あかりちゃん、この赤札は廃棄な」


「はい!」


五分後。


主任。


「ちょ、待て!」


あかり。


箱。


抱える。


「何?」


「それ青!」


「あ」


通信。


麻衣。


『あかり』


「はい」


『今何した?』


「間違えた」


『何色言われた?』


「赤」


『何色持っとる?』


「青」


『……』


「ごめん」


麻衣。


深い。


ため息。


『次から絶対確認して』


「分かったに」


十分後。


一般客。


「すみません、これ持てなくて」


あかり。


「あ、持つに!」


通信。


麻衣。


『あかり!』


「何?」


『それオークション品ちゃう?』


「でも困っとるに」


『あなた施設の親切お姉さんちゃうんよ!』


「困ってる人おったら手伝うやろ」


麻衣。


頭。


抱える。


「早くも疲れてきた……」


さらに。


競売会場。


スタッフ。


「誰か番号札持って!」


あかり。


「はい!」


札。


上げる。


競売人。


「四万八千!」


別。


「五万!」


競売人。


「五万円!」


あかり。


何となく。


札。


そのまま。


「五万五千!」


あかり。


「え?」


麻衣。


通信。


『札下ろして!』


「何で?」


『それ入札してる!』


あかり。


慌てる。


「え!?」


競売人。


「六万円!」


別。


札。


上がる。


あかり。


助かる。


対象。


古い。


西洋甲冑。


麻衣。


『何で潜入捜査で甲冑買いそうになってるんよ!』


あかり。


『格好良かったに』


『格好良さで六万円出さんといて!』


「自腹ならええ?」


『そういう問題ちゃう!』


この辺り。


もう。


麻衣。


言葉。


変わり始めている。


以前。


もっと。


柔らかかった。


今。


どこか。


聞き覚え。


ある。


播州弁。


火力。


そこまで。


ではない。


だが。


方向。


同じ。


美咲。


静かに。


気づく。


「麻衣さん、彩香さんに似てきましたね」


麻衣。


「似てへんよ!」


あかり。


「今の言い方そっくりやに」


「仕事して!」


二人。


黙る。


数秒。


美咲。


小声。


「やはり似ています」


麻衣。


「聞こえてるよ!」


だが。


あかり。


やらかす。


それでも。


仕事。


強い。


家具。


運ぶ。


箱。


何十。


棚。


解体。


台車。


押す。


休まない。


人当たり。


いい。


ベテラン。


「あかりちゃん、よう働くな」


「そう?」


「今日、お前おらんかったら倍時間かかるぞ」


あかり。


顔。


明るくなる。


「ほんま?」


「ほんま」


麻衣。


通信。


『褒められたからって調子乗らんといて』


「まだ何もしてへん」


『これからやらかしそうやから先に言うてる』


「麻衣、怖いに」


『誰のせいよ』


さらに。


休憩。


古参。


「あかりちゃん」


「何?」


「地下、行くなよ」


「地下?」


「ゼロ番あるから」


あかり。


少し。


反応。


押さえる。


「ゼロ?」


「俺もよう知らん。偉いさんしか触らん」


「へえ」


「競売にも出ん」


「変なの」


それ以上。


聞かない。


数分後。


通信。


『麻衣』


「何?」


『ゼロ番、地下やって』


麻衣。


声。


即。


変わる。


「ありがとう」


今度は。


本気。


あかり。


分かる。


美咲。


一方。


競売管理事務。


静か。


完全に。


溶ける。


バーコード。


落札記録。


契約。


滞納。


古物商。


入金。


搬出。


「春日さん、これ確認お願い」


「はい」


「この落札者、支払い済み?」


「午前十一時十八分に入金されています」


「もう見たの?」


「はい」


「早いね」


「ありがとうございます」


淡々。


黒鷹協力者。


隣。


話す。


「ゼロ番、予定通りか」


「明日」


「帳簿は?」


「残すな」


美咲。


キーボード。


打つ。


顔。


上げない。


視線。


画面。


そのまま。


数分後。


通信。


『麻衣さん』


「何?」


『LOT-000確認しました』


麻衣。


姿勢。


変わる。


「場所は?」


『地下保管区画』


「中身」


『登録なしです。ただ』


「何?」


『重量データだけあります』


「どれぐらい?」


『見えている家具類の総重量では説明できません』


麻衣。


小さく。


笑う。


「当たりやね」


美咲。


『はい』


麻衣。


今度は。


安心。


一人。


やらかす。


一人。


完璧。


自分。


真ん中。


バランス。


取る。


本当に。


現場キャップ。


らしく。


なっていた。


そして。


最悪。


ではない。


だが。


最悪に近い。


存在。


来る。


播磨セントラル・ストレージ。


併設。


巨大リユースマーケット。


中古。


家具。


古着。


雑貨。


在庫処分。


掘り出し物。


そこへ。


女子大生。


数人。


元気。


騒がしい。


中央。


赤嶺美月。


私服。


ツインテール。


紙袋。


スマホ。


完全。


休日。


テレビ。


違う。


仕事。


違う。


ただ。


安い物。


探しに。


加東市まで。


来た。


麻衣。


監視画面。


見る。


止まる。


美咲。


通信。


『麻衣さん?』


麻衣。


無言。


『どうしました?』


「……帰りたい」


『はい?』


「和歌山帰りたい……」


美咲。


少し。


間。


『美月さんですね』


「……うん」


画面。


美月。


仲間。


前。


演説。


「ええかみんな!」


「何?」


「新品五千円のもん五千円で買うんは普通や」


「うん」


「千円で買うんが大学生の知恵や!」


仲間。


「ただのケチやん」


「節約家言うて!」


入口。


割引券。


見せる。


「これ一会計一枚?」


スタッフ。


「はい」


「五回に分けて会計したら五回使える?」


スタッフ。


困る。


「……規定上は」


仲間。


「やめて恥ずかしい!」


美月。


「使えるもんは使う!」


袋。


五円。


「袋五円!?」


仲間。


「五円やで」


「五円を笑う者は五円に泣く!」


マイバッグ。


四枚。


出す。


麻衣。


額。


「準備良すぎるのも腹立つわ……」


美咲。


『そこですか?』


「美咲ちゃん、今ツッコまんといて」


そして。


美月。


見る。


倉庫側。


荷物。


運ぶ。


あかり。


「あれ?」


麻衣。


「……終わった」


美月。


目。


輝く。


「あかりやん!」


通信。


麻衣。


『あかり』


「何?」


『顔伏せて』


遅い。


美月。


大声。


「あかりぃ〜!」


麻衣。


両手。


頭。


「もう嫌や……」


あかり。


一応。


無視。


美月。


「あかり!」


無視。


「あかりぃ!」


無視。


「聞こえてるやろ!」


無視。


「あかりちゃん!」


五秒。


あかり。


振り向く。


「あ、美月さん」


麻衣。


「五秒しか持たんかった……」


美月。


仲間。


ぞろぞろ。


来る。


「あかり! 何してん?」


「仕事やに」


「また仕事?」


「またって何やに」


美月。


仲間。


見る。


「この子なぁ」


麻衣。


嫌な予感。


「四日市の子で」


あかり。


少し。


照れる。


「四日市の突貫娘言うてな」


サークル仲間。


「へえ!」


美月。


どんどん。


行く。


「素直で勇敢で、ほんまええ後輩なんよ」


あかり。


顔。


明るく。


なる。


「そう?」


「そうや!」


美月。


さらに。


「たまにな」


姿勢。


変える。


眉。


寄せる。


口。


への字。


明らかに。


彩香。


物真似。


「『あかりぃ! 何しとんねん! 任務中やぞ!』」


仲間。


爆笑。


あかり。


吹き出す。


麻衣。


通信。


「彩香さんまで巻き込まんといて……」


美月。


「こういう怖いオバハンに叱られるけどな」


あかり。


「美月さん、彩香さんに聞かれたら怒られるに」


「聞かれてへんからええねん」


遠隔地。


彩香。


知らない。


美月。


続ける。


「でもこの子な、絶対逃げへん。根性ある。何回転んでも立ち上がる」


あかり。


完全。


嬉しい。


「そこまでちゃうに」


「いやいや」


肩。


叩く。


「次世代のスーパースターや!」


あかり。


目。


ちょっと。


輝く。


サークル仲間。


「すごーい!」


「四日市なん?」


「力強いん?」


あかり。


「まあ力仕事は得意やに」


「今度チアの荷物運んで!」


「ええよ」


麻衣。


即。


『約束増やさんといて!』


あかり。


小声。


『困っとるんやろ』


『まだ困ってへん!』


美月。


「あかり、これ見て」


棚。


「千二百円」


「安いんちゃう?」


「千円にしてくれへんかな」


「二百円やん」


「二百円は大きい!」


あかり。


「そうなん?」


「二百円あったら自販機で一本買える!」


仲間。


「今百六十円とかやで」


美月。


「差額四十円残る!」


麻衣。


「細かっ……!」


さらに。


一般客。


「あれ? 戦隊ヒロインの方ですか?」


美月。


「どうも!」


あかり。


「あ」


「写真いいですか?」


美月。


「もちろん!」


あかり。


「私も?」


「お願いします!」


あかり。


「ええよ」


麻衣。


『あかり!』


「今写真だけ!」


『持ち場戻って!』


「すぐ終わるに」


一般客。


「もう一枚いいですか?」


「はい」


麻衣。


「すぐ終わらんやん!」


別。


「あかりさんも!」


「はい」


麻衣。


とうとう。


低く。


「……誰が即席撮影会開け言うたんよ」


美咲。


通信。


『麻衣さん』


「何?」


『声、彩香さんに似てきました』


「今それ言わんといて!」


黒鷹。


笑わない。


地下。


監視。


新人。


作業員。


戦隊ヒロイン。


呼ばれる。


有名。


複数。


知人。


写真。


撮られる。


普通。


ではない。


さらに。


事務側。


仕事。


異様に。


正確な。


女。


運営補助。


小柄な。


女。


三人。


繋がっている。


可能性。


高い。


黒鷹。


判断。


「ゼロ番を動かせ」


「今?」


「今だ」


「予定は明日だぞ」


「待てない」


地下。


シャッター。


開く。


LOT-000。


動く。


美咲。


画面。


気づく。


通信。


『麻衣さん』


「何?」


『ゼロ番が動きました』


麻衣。


止まる。


監視画面。


美月。


あかり。


サークル仲間。


棚。


写真。


全部。


見える。


本気。


頭。


痛い。


「……逃げたいわ」


美咲。


『麻衣さん』


玲奈。


通信。


黙って。


聞いている。


麻衣。


目。


閉じる。


一秒。


二秒。


そして。


開く。


「でも」


声。


変わる。


「逃げへんよ」


現場キャップ。


戻る。


「美咲、ゼロ番の搬出経路」


『地下西側サービス通路です』


「ゲート閉められる?」


『はい』


「一般客を先に別区画へ」


『了解です』


「県警へ車両情報送って」


『送ります』


次。


麻衣。


深く。


息。


『あかり』


美月。


まだ。


「これ二百円に負けてくれへんかな?」


あかり。


「店員さんに聞いたら?」


麻衣。


声。


強い。


『あかり!』


あかり。


顔。


一瞬。


変わる。


「はい!」


『持ち場戻って!』


「分かった!」


美月。


「何?」


あかり。


「ごめん美月さん。仕事や!」


走る。


美月。


「さっきまでのは!?」


「それも仕事!」


麻衣。


小声。


「やっと戻った……」


だが。


任務。


ここから。


本番。


地下。


保管区画。


LOT-000。


大型カート。


工作員。


四人。


出口。


向かう。


あかり。


走る。


角。


曲がる。


真正面。


「止まるに!」


男。


「どけ!」


あかり。


立つ。


「嫌やに!」


一人。


突進。


あかり。


受ける。


一歩。


下がる。


昔。


なら。


そのまま。


力比べ。


今。


違う。


後ろ。


家具。


右。


台車。


左。


空きスペース。


瞬間。


見る。


身体。


ずらす。


男の勢い。


流す。


空き区画。


そこ。


肩。


入れる。


「今日はな」


一歩。


「いっぱいやらかして」


さらに。


「麻衣に怒られとるんやに!」


男。


「知らん!」


あかり。


目。


鋭くなる。


「せやから――」


一気。


前。


「ここから取り返す!」


四日市の突貫娘。


爆発。


一人。


二人。


真正面。


崩す。


黒鷹の隊形。


壊れる。


麻衣。


通信。


聞く。


少し。


笑う。


『その調子やよ、あかり』


「任せて!」


失敗。


しても。


そこ。


終わり。


ではない。


そこから。


巻き返す。


それが。


あかり。


事務室。


美咲。


場。


整える。


搬出シャッター。


停止。


西側ゲート。


閉鎖。


東。


一般客。


退避。


スタッフ。


誘導。


県警。


逃走車両情報。


送信。


黒鷹協力者。


入る。


「お前か!」


美咲。


振り返る。


事務服。


静か。


「何がです?」


「ゲート開けろ!」


「できません」


「どけ!」


男。


来る。


美咲。


一歩。


外。


手首。


取る。


肩。


返す。


床。


もう一人。


入る。


美咲。


今度。


待たない。


一歩。


前。


拳。


外す。


腕。


取る。


重心。


崩す。


二人目。


床。


静か。


強い。


奈良の静かに燃える女。


美咲。


派手。


ではない。


でも。


混乱。


正す。


一般客。


守る。


逃走路。


消す。


一つ。


一つ。


正しい位置。


戻す。


気づけば。


黒鷹。


逃げる場所。


ほぼ。


ない。


地下サービス通路。


麻衣。


走る。


前。


工作員。


三人。


鉄柱。


シャッター。


収納庫。


狭い。


男。


「終わりだ!」


麻衣。


止まる。


目。


静か。


「終わりなんは、そっちやよ」


一人目。


拳。


麻衣。


半歩。


横。


空。


二人目。


挟む。


身体。


沈む。


二人の間。


抜ける。


三人目。


進路。


塞ぐ。


麻衣。


鉄柱。


中心。


一歩。


二歩。


三歩。


華麗。


ステップ。


追う男。


互い。


邪魔。


麻衣。


止まる。


一人。


飛び込む。


腕。


取る。


流す。


二人目。


進路。


塞ぐ。


男同士。


ぶつかる。


麻衣。


その横。


抜ける。


紀州の舞姫。


そして。


舞いながら。


指示。


『あかり、対象後ろへ回った!』


『了解!』


『美咲、南シャッターお願い!』


『閉めます!』


昔。


麻衣。


一人。


踊る。


それで。


よかった。


今。


違う。


全体。


見る。


仲間。


動かす。


自分。


一番危険。


場所。


入る。


それでも。


投げない。


逃げない。


彩香。


いない。


だから。


自分。


やる。


そして。


どこか。


彩香。


みたいに。


なっていく。


通信。


あかり。


『麻衣、右二人!』


麻衣。


振り向く。


「見えとる!」


一瞬。


自分で。


気づく。


その言い方。


完全。


彩香。


ぽい。


「……嫌やなぁ」


それでも。


一人。


足。


崩す。


もう一人。


壁。


方向。


押す。


「任務中やよ! 大人しくして!」


美咲。


通信。


一瞬。


沈黙。


あかり。


『麻衣』


「何!」


『彩香さんみたいやに』


「今それ言う!?」


最終保管庫。


黒鷹責任者。


LOT-000。


ケース。


開く。


中。


試作制御モジュール。


暗号媒体。


逃げる。


前。


あかり。


「そっち無理やに」


右。


美咲。


「ゲートは閉鎖しました」


左。


麻衣。


ゆっくり。


歩く。


三人。


揃う。


責任者。


「何なんだ、お前ら!」


あかり。


「また聞かれた」


美咲。


「どう答えます?」


麻衣。


少し。


嫌そう。


「……言わなあかん?」


あかり。


「波田さん喜ぶに」


麻衣。


ため息。


「紀伊ハンター、らしいわ」


美咲。


「波田顧問しか呼んでいませんけど」


麻衣。


「毎回補足せんでええ!」


責任者。


「ふざけるな!」


工作員。


動く。


三人。


同時。


真正面。


あかり。


流れを変える。


一人。


受ける。


押し返す。


二人目。


足。


止める。


力。


勇気。


根性。


突貫。


横。


美咲。


場を整える。


逃走方向。


潰す。


ケース。


守る。


一般客。


入れない。


敵。


危険方向。


出さない。


中央。


麻衣。


舞う。


華麗。


一人。


外す。


二人。


交差。


手。


伸びる。


掴めない。


一歩。


二歩。


三歩。


まるで。


古い。


スパイ・アクションドラマ。


波田顧問しか。


知らない。


あの時代。


精鋭チーム。


そんな。


動き。


あかり。


一人。


押す。


「そっち行かせへんに!」


美咲。


反対。


「こちらも無理です」


麻衣。


中央。


「ほな、どこ行く?」


責任者。


一瞬。


迷う。


そこ。


麻衣。


入る。


腕。


肩。


足。


流れる。


男。


崩れる。


ケース。


滑る。


美咲。


止める。


あかり。


男。


押さえる。


三人。


完全。


噛み合う。


その瞬間。


外。


サイレン。


県警特殊部隊。


一斉。


突入。


先頭。


岡本玲奈。


「そこまでです」


全出入口。


封鎖。


黒鷹工作員。


内部協力者。


責任者。


確保。


LOT-000。


制御装置。


暗号媒体。


過去。


落札記録。


系列古物商。


名義。


別倉庫。


全部。


繋がる。


黒鷹。


数年。


使った。


ストレージ受け渡し網。


摘発。


任務。


想定以上。


成果。


玲奈。


三人。


見る。


「あかり」


「はい」


「途中経過は」


あかり。


顔。


引きつる。


「……はい」


玲奈。


「麻衣から聞きます」


あかり。


麻衣。


見る。


麻衣。


笑顔。


怖い。


「いっぱいあるよ」


あかり。


「……帰りたいに」


美咲。


静か。


「先ほど麻衣さんも同じことを言っていました」


麻衣。


「美咲ちゃん!」


玲奈。


口元。


ほんの。


少し。


緩む。


後日。


ヒロ室西日本分室。


任務。


成功。


県警。


高評価。


黒鷹。


倉庫網。


潰れる。


だが。


一人。


怒る。


白浜麻衣。


前。


あかり。


座る。


麻衣。


両手。


腰。


「あかり、何遍言えば分かるの?」


あかり。


「……」


「任務中に美月さんに声かけられても、無視! 絶対無視!」


「でも」


「でもちゃう!」


「めっちゃ褒めてくれたに」


「そこ!」


「次世代のスーパースターって」


「嬉しそうにせんの!」


「素直で勇敢って」


「全部受け取らんでええ!」


「怖いオバハンに叱られるって」


麻衣。


止まる。


「そこは誰のモノマネやった?」


あかり。


「彩香さん」


麻衣。


「分かっとる!」


美咲。


横。


コーヒー。


飲む。


あかり。


麻衣。


見る。


そして。


ぽつり。


「麻衣」


「何よ!」


「彩香さんそっくりやに」


麻衣。


固まる。


一秒。


二秒。


美咲。


静か。


「確かに」


麻衣。


「美咲ちゃんまで!」


あかり。


「『絶対無視!』の言い方とか」


美咲。


「『任務中やよ!』も少し似ていました」


麻衣。


「似せてへん!」


あかり。


「似とる」


「似てへん!」


美咲。


「今の『似てへん!』も」


麻衣。


「もうええ!」


一同。


笑う。


麻衣。


深い。


ため息。


椅子。


座る。


「……でもな」


あかり。


「何?」


麻衣。


ぼそり。


「彩香さんの気持ち、よう分かるわ」


あかり。


「やっぱり」


麻衣。


「最近な」


全員。


見る。


「明るい色のツインテール見ると、腹立つようになってきたわ……」


あかり。


「重症やに」


美咲。


「条件反射ですね」


「誰のせいよ!」


あかり。


「美月さん?」


麻衣。


「その通り!」


さらに。


「ほんま……」


額。


押さえる。


「美月さん、ええ加減にしてほしいわ」


美咲。


「今回は完全に私用でしたけど」


「分かってる!」


あかり。


「安いもん探しに来ただけやに」


「分かってる!」


美咲。


「百円引き券を五回使おうとしていました」


麻衣。


「そこも腹立つんよ!」


あかり。


「節約家やに」


「五円の袋代惜しんでマイバッグ四枚持って来る人初めて見たわ!」


美咲。


「準備がいいとも言えます」


「褒めんといて!」


麻衣。


段々。


本当に。


彩香。


みたい。


語気。


強い。


手。


動く。


ツッコミ。


早い。


玲奈。


遠く。


報告書。


読む。


口元。


緩む。


麻衣。


まだ。


止まらない。


「決めたわ」


美咲。


「来ましたね」


あかり。


「何?」


麻衣。


「次、加東市の任務邪魔したらな」


少し。


考える。


指。


立てる。


「播州針の未開封パッケージ一万袋並べて、ルーペで一本ずつ『針先の向き全部同じか』確認させたるわ!」


あかり。


「細かっ」


麻衣。


「美月さん細かい金好きやろ! ちょうどええ!」


美咲。


真顔。


「麻衣」


「何?」


「それって意味あるん?」


麻衣。


一拍。


「……ないわ〜」


あかり。


吹き出す。


美咲。


「やはり」


麻衣。


「何っちゃ意味あらへんわ!」


あかり。


「美月さん、一袋検品したら一円くれる? とか言いそうやに」


麻衣。


止まる。


想像。


美月。


目。


輝く。


「一万袋やったら一万円やん!」


麻衣。


「……あかん」


美咲。


「俄然やる気になりますね」


あかり。


「サークル仲間連れて分担するに」


麻衣。


「罰を内職にすんな!」


美咲。


「作業効率を競いそうです」


「大会にすんな!」


あかり。


「優勝者に東条湖のお土産」


麻衣。


「何でまた景品付くんよ!」


美咲。


「美月さんなら参加費無料かどうか最初に確認しますね」


麻衣。


思わず。


「絶対聞くわ!」


全員。


爆笑。


玲奈。


少し離れた机。


口元。


完全。


緩む。


麻衣。


即。


見る。


「玲奈さん」


「はい」


「笑いました?」


「いいえ」


美咲。


「笑っていました」


あかり。


「私も見たに」


玲奈。


「気のせいです」


麻衣。


「絶対ちゃいます!」


玲奈。


資料。


閉じる。


「ただ」


麻衣。


「何です?」


「今回の現場指揮は見事でした」


麻衣。


少し。


止まる。


「……ありがとうございます」


「想定外が重なっても、投げ出さなかった」


麻衣。


静か。


「はい」


「美咲へ的確に指示を出し、あかりの立て直しも待った」


麻衣。


少し。


照れる。


玲奈。


「もう十分、現場キャップを任せられます」


麻衣。


「ありがとうございます」


あかり。


横。


「ボヤキも彩香さん級やに」


麻衣。


「それはいらん!」


分室。


大笑い。


美咲。


さらに。


「最近、声量も少し上がりましたね」


麻衣。


「美咲ちゃん!」


あかり。


「ツッコミも早いに」


「二人とも黙って!」


玲奈。


今度。


隠さない。


ほんの少し。


笑う。


麻衣。


それを。


見る。


「ああもう……」


深い。


ため息。


「彩香さん、はよ戻ってきてぇ……。このままやったら私まで播州の烈火になってまうわ」


あかり。


「紀州の烈火?」


美咲。


「新しい異名ですね」


麻衣。


「増やさんといて!」


また。


大笑い。


加東。


夜。


倉庫街。


シャッター。


上がる。


中。


誰か。


置いていった。


家具。


道具。


本。


玩具。


値段。


人間。


決める。


ある人には。


ごみ。


別の人には。


宝。


そして。


黒鷹は。


その境目へ。


機密。


隠した。


落札番号。


ゼロ。


持ち主。


なし。


存在。


しない。


はずの倉庫。


だが。


そのゼロを。


見つけた。


三人。


一人。


失敗。


しても。


流れ。


変える。


四日市の突貫娘。


一人。


静かに。


場。


整える。


奈良の静かに燃える女。


そして。


一人。


逃げたいと。


思いながら。


逃げず。


仲間。


動かし。


最後。


自分。


前。


出る。


紀州の舞姫。


波田顧問。


だけが。


ずっと。


呼ぶ。


紀伊ハンター。


元ネタ。


三人。


今も。


知らない。


だが。


今回だけは。


少し。


似合っていた。


ただ。


麻衣。


一つ。


大きく。


変わった。


現場キャップ。


成長。


判断。


速く。


声。


強く。


仲間へ。


怒る。


そして。


明るい色のツインテールを見るだけで。


頭。


痛くなる。


それは。


成長なのか。


それとも。


西川彩香化。


なのか。


本人。


一番。


認めたくない。


だが。


ヒロ室西日本分室。


全員。


もう。


気づいていた。


白浜麻衣は。


確実に。


西川彩香へ。


近づいていた。

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