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西日本特別諜報班 NST 影の特命  作者: スパイク


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118/253

瀬戸内スカイチェイス

兵庫県南部の海は、太平洋の荒さとは違う顔をしている。

瀬戸内海。波は穏やかで、大小の島々が点在し、古くから海上交通の大動脈として栄えてきた海だ。播磨灘から淡路島、そして明石海峡へ続く海路は、貨物船、漁船、高速艇が行き交う日本有数の航路でもある。


しかし穏やかな海というのは、裏を返せば逃げ道が多いということでもある。


その夜、NSTが追っていたのは黒鷹の資金運搬ルートだった。

情報によれば、小型の高速艇が瀬戸内海を横断して資金を運ぶ。


地上からでは追いきれない。


そこで投入されたのが、若林あおいの操縦するヘリだった。


——


夜の瀬戸内海上空。


ローターが空気を裂く。

眼下には島影と航路灯が流れていく。


操縦席の若林あおいが言う。


「目標海域到達」


隣では山本あかりが窓に張りついていた。


「うわぁぁ!海すごい!島いっぱい!」


あおいは苦笑する。


「観光じゃない」


あかりは興奮したままだ。


「ヘリってこんな速いんですね!」


無線から玲奈の声が入る。


「……あかり」


「はい!」


「静かにしとき」


「はい!」


三秒後。


「でも夜の海めっちゃ綺麗です!」


あおいは肩をすくめた。


「元気ですね」


玲奈が淡々と言う。


「それがあかりや」


その時、レーダーに動きが出た。


あおいが目を細める。


「高速艇確認」


海面を滑る影。


玲奈の声。


「追跡開始」


あおいは操縦桿を握り直す。


「了解」


ヘリは高度を下げる。


海面ぎりぎり。


高速艇が逃げる。


その時だった。


玲奈が言う。


「距離保て」


あおいは即答する。


「それじゃ逃げます」


玲奈。


「彩香が港で待っとる」


あおいは眉をひそめた。


「今止めれば終わります」


玲奈。


「証拠がいる」


あおい。


「逃げられたら意味ない」


無線越しに緊張が走る。


玲奈は冷静に言う。


「追い込みは地上」


あおいは低い声で言う。


「空を信じてください」


玲奈も引かない。


「現場は私が読む」


しばらく沈黙。


あかりが小声で言う。


「……二人とも怖い」


あおいは深く息を吐く。


「分かりました」


高度を少し上げる。


その瞬間だった。


別の無線が割り込む。


「おーい!」


赤嶺美月の声だった。


玲奈が眉をしかめる。


「なんや」


美月は妙に機嫌が良い。


「さつきとドライブしとるねん!」


後ろで三好さつきが笑う。


「瀬戸内の夜景めっちゃ綺麗!」


玲奈は冷静に言う。


「任務中や」


美月は続ける。


「なんかヘリ飛んどるで!」


さつき。


「動画撮っとこ!」


彩香が無線で呟く。


「やめてくれ……」


だがその数秒後。


あおいが言った。


「目標減速」


高速艇は港へ向かう。


彩香の声。


「捕まえた!」


任務完了だった。


——


ヘリポート。


ローターが止まる。


あおいが降りる。


玲奈が歩み寄る。


少し沈黙。


あおいが言う。


「さっきは失礼しました」


玲奈は首を振る。


「ええ」


海を見ながら言う。


「空からの目、助かった」


あおいも言う。


「地上の読み、完璧でした」


二人は少し笑う。


立場は違う。


警察と自衛隊。


考え方も違う。


だが任務では同じだった。


海の向こうに夜の島影が見える。


瀬戸内の静かな海の上で、

NSTの連携はまた一つ強くなっていた。

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