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月の娘、太陽の王妃  作者: 如月 四季
新しい側室
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第17話

ちゃんと話繋がってますかね?

久しぶりすぎて、なんかドキドキする(汗

陛下は、しばらくの間顔を覆ったまま動かなかった。





それを、苦痛から解放された光の精霊が見つめている。


少しの時間しか魔法を使わなかったから、この子の魔力はそんなに消費されなかったようで少し安堵する。光の精霊は心配気に陛下の周りを飛んでいるが、もちろん精霊の見えない陛下は気付かない。






「陛下。」






私は、言いながら光の精霊に向かって手を差し出した。光の精霊が私の意図を読んで嬉しそうに飛んでくる。陛下の視線が私の手を捉えたのを確認してから、私は魔力を解放した。

解放したと言っても、先程の陛下ほどだ。それでも、光の精霊が消費した魔力を補い、先程と同じぐらいの光の球を出すのには十分だった。光の精霊は私の魔力に触れ、嬉しくなったのか、しきりに光を大きくしようか聞いて来る。その顔は笑顔だ。私の魔力は精霊にとってとても魅力的らしい。それに、好いている人の役に立てて嬉しいのは何も人間だけではない。他人の前で魔法をあまり使うことの無い私だけど、この笑顔はとても好きだ。


私の魔力の何処に魅力があるのかは未だになぞだが…。







「嬉しそうだな。」






陛下は光の精霊を見ながら言った。

私の魔力によって、また光の精霊が見えるようになっているからだろう。







「ええ。人の役に立てて嬉しくない人はいないと思います。」



「……貴方は、精霊も人言うのだな。」










気が付けば、陛下は私を見ていた。私と陛下の視線が交差する。












「私の周りには常に精霊がいました。精霊の友達もいます。人間だとは私も思ってはおりません。でも、精霊という人の種族の一つだと、私は思っています。」




「そうか…。」










思うところがあるのか、陛下の視線が下がる。今まで、陛下をはじめ多くの人間は、そんなことを考えたこともないだろう。自分と違うもの、同じ人間である月光の民ですら忌み、避け続けてきたのだから。














「では、俺もそう思う事にする。」







長い沈黙の後、視線を私と再度合わせ、陛下は言った。









「俺にとって、精霊とは、言い方は悪いが得体の知れない物だった。だが、姿を見た今、そうは思えない。確かに今、俺には知り合いと言えるような精霊もいないが、貴方のように、友と呼べるような精霊を俺も欲しいと思う。」

















言葉が出ない。



その(・・)言葉をくれたのは、陛下で二人目。














「それは、国のためですか?」






「…そうだな、政治的要因がないとも言い切れない。俺はこの国の皇帝だから、どうしてもこの国の事を考えてしまう。だが、それを抜きにしても、精霊が人と同じなら、俺の国にいる精霊は俺の国の民だろう?民に苦痛ばかり与える王に、俺はなりたくない。」



「それに、新しい友人が増えるのは嬉しいことだと思わないか?」














そう付け足すように言った陛下の言葉に、胸が震えた。





昔、同じことを妹が言った。

「おねえちゃんみたいに、精霊さんとおともだちになりたい!!」

それまであまり妹のことを良く思っていなかったけど、その言葉がきっかけで、一変した。

大切な、大切な妹になった。




その言葉を、また。













「・・・・泣いているのか?」





いつのまにか俯いていた私の頬に、陛下の指が触れる。


頬を、涙が濡らしていた。


















精霊を知ろうとしてくれる人が現れたことへの喜び


未来への少し明るい希望


もう少し早くこんな人に出会いたかったという悲しみ







そして、この人が大切な人になってしまうのではないかという恐怖



複雑な思いが涙となって流れていた











いつの間にか陛下に抱き込まれ、寝てしまうまで

最後だけちょっと甘い。

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