3話「出発への支度」③
儂は魔力を測る装置の前に立っていた。
「使い方はわかるか?」
凛が聞いてくる。
もちろんわかるに決まっておるのじゃ。
だって、儂が作ったものだからな。
…だが、こんなにもユーモアあふれる形じゃったか?
「もちろんじゃよ」
儂は装置の口に手を当てる。
すると、装置が淡く光りだした。
ふふ、見るがよい…
儂の魔力を!
「えっと、白寄りの青。前衛職としては平均値ですね」
うむ、完璧じゃな!
「ルアナは職業になんて書いたんだ?」
凛が心配そうに聞いてくる。
だから、儂は自信満々に答える。
「魔法職じゃよ」
「ルアナ、この魔力量で魔法職はやめた方がいい」
…確かに儂は魔法職じゃなく、前衛職の平均で制限をかけた。
これはちと、魔法職は厳しいか。
頑張ればいけると思ったのじゃがな。
「ん、わかったのじゃ。変えるかの」
まあ、前衛職も得意だから良いか。
「では次に薬草試験を受けてもらいます」
そう言って、受付嬢は儂らをテーブルまで案内する。
「ルアナ様にはこれから薬草名の10問テストを受けてもらいます。ですが、結果が悪くとも冒険者にはなれるのでご安心を」
受付嬢は儂の前に紙を1枚出す。
「では、なぜ試験をするのじゃ?」
儂はペンを回しながら聞いてみた。
「この試験が冒険者の安全に繋がりますから」
ふむ、そうなのかの?
儂は、早速試験に取り掛かる。
問題は10個しかないが、どれも冒険の基本となる薬草ばかりじゃ。
確かにこれの試験は重要じゃ。
「終わったのじゃ」
だが、儂は魔法使い。
薬草は見慣れているのじゃよ。
迷う余地すらないのじゃ。
「では、結果を確認しますね」
受付嬢は儂から紙を受け取り、答えを照らし合わせていく。
「ルアナ、さっきの薬草名全て旧名で書いてるぞ」
答え合わせ中、凛が儂にそう伝える。
「旧名?どういうことじゃ?」
「つい50年前ほどに薬草名に改訂が入った。私はお祖母様から教えてもらったから知っていたが、彼女は知らないんじゃないか?」
…初耳なんじゃが。
確かに、薬草名は長く、似通っていてわかりづらかったから、変わってもおかしくはないのじゃ。
が、それがつい最近にあったとは…
…もしかして、終わった、か?
「はい、終わりました。結果は満点。ですが、次からは今の薬草名で答えてくださいね」
たっ、耐えたのじゃー。
ありがとじゃ、受付嬢。
いつか絶対締めるぞ、改訂者。
「では、これにて筆記試験は終了です。次は実技試験になります。こちらにどうぞ」
受付嬢は儂を次の試験会場へ案内する。
だが、その前に凛が儂に伝える。
「すまないルアナ、私はギルドマスターと話をしてくる。先に行っててくれ、すぐ終わらす」
そう言って、凛は悔しそうに儂と別れた。
儂も儂の実力を見せれないのは悔しいがな。
しょうがないのじゃ。
そうして凛と別れた儂は、実技試験会場にやってきたのであった。




