表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/12

3話「出発への支度」②

冒険者ギルドは、朝から既に活気で溢れておった。


「ようこそ、冒険者ギルドへ。私も途中までいるから、サクッと終わらせるぞ」

…かっこいいのじゃ。

儂は凛に導かれた。

窓口ではピシッとした制服に身を包む、少しふわふわしてそうな女性が待っていた。


「おはようございます。本日はどうなされましたか?」


「うむ、おはよう。今日は冒険者カードを作りたくての」

流石に凛に任せっきりは良くないのじゃ。

だから、儂から要件をサクッという。


「冒険者カードの発行ですね。少々お待ちください」

そうして受付嬢はカウンターの奥へと潜っていった。


「私がやると言ったがいいのか?」

スラっとした身長の凛は、儂を見下ろす形で不思議そうに聞いてくる。


「頼りっぱなしは儂の性じゃないのじゃよ」

儂は堂々とそう答える。

そうして、儂と凛は少しの沈黙を共有したのじゃった。


「お待たせしました」

間も無くしてカウンターの奥からさっきの受付嬢が出てくる。

手には一枚の紙を持っていた。


「ではまず、こちらに記入して下さい。終わりましたら、軽い試験をします」

そういって、一枚の紙とペンを渡してくる。


「えっーと…名前と役職などを書くのか」

儂は受付嬢から受け取り、早速空欄を埋めていく。

じゃが、思った以上に難しいのじゃ。

なかなかペンが走らぬ。


「本籍なんて…どこにあるかわからんぞ」


「埋められるところだけでいいからな、ルアナ」

凛が横から助け舟を出す。


「だが、冒険者カードは身分証みたいなものじゃろう?適当でいいのか?」

そうでなければ、衛所で使えないじゃないかの。


「ああ、私がいるからな。だから、最低限だけ書けばいい」

凛がなんとはなしに言う。

…こやつ、誤魔化したな。

儂は凛に言われた通りに軽く書いた。


「本当にこれだけでいいのか?」

儂は凛を信用して、受付嬢に用紙を渡す。


「はい。大丈夫です」

本当にいいのか…


「でも、どうしてじゃ?」


「それは暮羽様がSランク冒険者だからです」


「Sランク冒険者?」

儂は聞きなれない言葉に首を傾げる。


「えっと、ルアナさんですね。もしかして、冒険者ギルドについて詳しくないのですか?」


「依頼しか知らぬな…」

すると受付嬢は軽く説明をしてくれた。


「わかりました、説明しますね。冒険者はS、A、B、C、D、E、F、Gの8段階にランクが分かれています」


「ほう、冒険者をランクで分けているのか。」


「そして、ランクで受けられる依頼の内容が変わります」


「なるほど、冒険者の安全のために定めているのんじゃな」


「…凛は本当にSランクなのか?」

儂は少し怪訝な声で凛に聞く。

本当にそうなら、あれは…職権乱用じゃ?


「ああ、そうだが?」

凛は威張るわけでもなく淡々と言う。

…大丈夫かの、この組織。


「更にその上に評議会というものがあります」

評議会。聞き馴染みのない言葉じゃ。


「ギルド内で最も強く信頼された10人から構成される意思決定機関です。正式名称は評議会。ですが、多くの人は“白夜の継承者”と呼びます。世界最高位の称号の一つですね」

…なんじゃ、それ?

いきなりスケールがデカくなったぞ。


「…誰がいるのじゃ?」

わからないと思うが、一応聞いてみる。


「この街で有名なのは、かの黎明の開拓者ルアナ・アーヴァント様の1番弟子、フラン・フォウヴァー様があげられますね。あとは…いえ、なんでもありません」


「…」

最近会ってないと思ったら、そんなことしていたのか。

ふふん、鼻が高いのじゃ。


「そう思うとルアナ様はいい名前をしていますね」

受付嬢はまじまじと儂の顔を見てそう答える。


「そうかの?」

儂は満更でもなく答える。


「それはもちろん!だって、あのルアナ・アーヴァント様と同じ名前ですよ?冒険者ギルドは黎明の開拓者に倣って作られた組織ですからね」

おぉう、勢いがすごいのじゃ。

…一つ揶揄ってみるかの。


「もし、儂がルアナ・アーヴァント本人だったらどうするのじゃ?」


「それはあり得ません!ルアナ・アーヴァント様は冷徹な真紅の瞳、そして輝く月のように美しい銀髪をお持ちと言われています。それに比べて、ルアナ様の瞳は淡い青色で髪は灰色ではありませんか」

受付嬢は少し怒ったように言った。


「おっ、おう。すまぬな」

…少しショックじゃ。

そんな否定すること、ないのじゃ。

まあ、揶揄った儂が悪いんじゃけども。


「さて、ルアナ様。魔力測定をお願いします」

儂は少し落ち込んだ感じで魔力測定に向かうのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ