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2話「第10条?」④

ラヴェルと別れた儂はレストランで夕飯を食べ、ホテルでふかふかのベットを楽しんでいた。

ちなみに、異空間にあったお金が古すぎて一悶着あったのは、また別のお話じゃ。


「そろそろ汚れを落とさんとな…」

体に力が入らないのじゃ。

めんどくさいし、魔法でいいかの?


「ん?」

そのとき、ガサっと手に何かが当たった。

それはラヴェルから貰った紙袋じゃった。


「ラヴェルからの紙袋か。開けてみるかの。」

一体何が入っているのじゃ?

儂は紙袋から中身を出していく。


「ふむ、服、石鹸、謎の瓶数個、そして手紙じゃな」

儂は早速、封を開けてみた。


『ラヴェルよ。ルアナ、貴方のことだからまた魔法を使おうとしているでしょ?そんな貴方のために私から入浴とスキンケアセットをあげるわ!使い方は2枚目に書いておいたから。美容はしてなんぼよ。魔法に逃げずに頑張りなさい。そして、これを機に自分の手を動かす素晴らしさに気づいてくれると嬉しいわ。でも、この紙袋は魔道具なんだけどね。やっぱ魔法も捨て難いわ。あと、後で貴方の住所教えなさい。定期的に美容用品送ってあげるわ。貴方はフゼーリアのモデルなんだから。よろしくね。』


「…っ!?」

バレたのじゃ。

何故じゃ?


「さて、これが説明書で…これが、洗顔料、保湿剤?」

念を押されたらやるしかないのじゃ。

儂は早速説明を眺める。

…わからないのじゃ。


「ええい、実戦あるのみじゃ!」

そうして、儂は備え付けの風呂場へ向かったのじゃった。


――


「うーん。難しかったのじゃ」

儂はドライヤーで一生懸命に乾かすが、なかなか乾かなかったのじゃ。


「魔法なら一瞬じゃぞ…」

効率が悪いし、ラヴェルのようにはいかないのじゃ。

一体、どうすればいいのじゃ?


「魔法を使わなければ、答えが見つかるのかの?」

儂は嘆きながら、ベットにダイブをした。

儂は左腕を高く上げる。

3つの鮮やかな赤色の宝石と1つの透明な宝石がはまったブレスレットを眺めた。

儂は宝石に反射する光の具合を変えながら、考える。


「確かに、ラヴェル達は凄かったのお…」

魔力を使わなくても十分生きれるのじゃ。

じゃが、魔法を捨てることは今までの人生を捨てることと同じじゃ。

しかも、便利さをも捨てることにならぬのか?


「あ゛ぁ、答えがまとまらん!」

儂はベットからガバッ、と起き上がる。

そのとき、ふと思った。


「隠居のススメにも同じことなかったか?」

儂は隠居のススメを手元に取り出す。


「えっと…第10ヶ条『力に頼りすぎるな。必要なときだけ使え。』か」

儂は更に読み進める。


『電気に頼り過ぎるなよ?万が一、電気がなくなったら君たちはどう生きるのだ?だが、第5条でも言ったが、一切電気を使わないのか?電気を使わないから電気製品も使わないのか?それはただの馬鹿だ。隠居は原始時代を生きるものじゃない!自分の最大限を最小限でこなすことが隠居には大事なのだ。そして、隠居は試行錯誤の連続だということも忘れるな』


「なるほど。異世界人は面白いことを考えるの。最小労力の最大結果が大事なのか」

限りある中で精一杯動く、ということかの。

魔法を捨てるわけじゃないな。

最小限の魔法で生きろというわけか…


「なら、魔力を平均まで落とすかの」

与えられた世界でしか見れないものがあるのじゃ。

なら、新しい世界を知るとするかの。


「簡易制限――」

儂がそう唱えると、左手のブレスレットが淡い赤色に光る。

その瞬間、全身の力が抜ける。


「ん…成功じゃ」

儂はブレスレットの宝石を見る。

そこには4つの赤い美しい宝石があった。


「さて、新たなる門出かの」

少し気だるいのじゃ。

しかし、少しソワソワもするのじゃ。

儂はフラつきながら窓際の席へ座る。


「いい景色じゃな…」

窓から街を一望する。


窓からは、昼の喧騒とは違う夜の魔法都市フォルエルングが広がっていた。

魔道具で作られたランプが街を照らし、人々は歌い踊る。

それでも、やがて街全体が寝静まるときがやってくる。

街は常に胎動し続けている。

黎明の開拓者として、王立魔法研究機構所長として、ルアナ・アーヴァントとして。

あの激動の日々の中で思い描いていた世界がここには広がっていた。


「ふっ、こんな夜にはワインが一番じゃ」

こんなにも美しい夜景には年代物の高級ワインが1番合うのじゃ。

そう思い、異空間を開こうとした。


「…あれ?」

じゃが、開かない。 

何度試しても開かないのじゃ。


「…あぁ!今の魔力じゃ無理なのじゃ!」

魔力を制限したことをすっかり忘れておった。

これじゃあ、ワインが飲めないのじゃ…


「そんな、ご無体なぁぁぁ」

煌びやかに輝く夜景を横目に、儂は深く絶望したのじゃった。

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