2話「第10条?」②
「おぉー!」
儂は路地から足を踏み出した。
路地裏も綺麗だったが、マーツ第一通りは別格じゃな。
遥か先まで伸びる石畳の道を囲むように、多くの店が、屋台が、ズラリと立ち並んでおった。
「おぉーー!」
儂は顔をグッと上げた。
目線の先には他の街よりすこし高い建物たちが連なっておった。
「おっと、すまぬな」
よそ見しながら歩くと、ぶつかりそうじゃな。
しかし、儂はこの活気に溢れ、人々が笑い合う雰囲気に酔わずにはいられんかったのじゃ。
「うぅ…お腹が空いたのお」
…いい匂いがするのじゃ。
時間はお昼時、最高のご飯タイムじゃ。
…昼は戦争なのじゃよ。
絶対に負けられないのじゃ!
「あのー、大丈夫ですか?」
びっくりして、儂は声のした方へバッと向く。
そこには、立派な鎧に身を包み、剣を腰に携える若い男が立っておった。
…つまり、警備員ってやつじゃ。
「あっ、だっ、大丈夫じゃ!」
焦る気持ちを隠そうとするが、動揺が滲み出る。
だって、いっ、いきなり話しかけて来たのじゃぞ!?
言葉は出んわい!
しかも、相手は警備員じゃぞ!?
下手すれば捕まるわ!
儂はまだ食事という崇高な使命があるんじゃ!
「他の人の迷惑になるので、周りには気を付けてください。あと、慌てなくても普通に喋っていただいていいですよ。お願いします」
相手は焦る儂を置いて丁寧に説明をする。
「あっ…はい…」
ここは従順にいくとするかの。
儂の将来の安寧のためじゃ。
「ご協力ありがとうございます。何かあればアードルー騎士団フォルエルング支部にご連絡ください。では、良い1日を!」
そうして、彼は街の警備に戻って行った。
ふぅ…捕まらなくて良かったのじゃ。
一瞬で空腹が飛んでったぞ。
だが、儂は止まらないのじゃ!
「よし!気を取り直して、屋台を探すかの」
儂は徐々に戻ってきた空腹が自然と歩みを早くする。
通りには老若男女、色んな種族がいるのじゃ。
儂は人の流れに身を任せて、昼飯を探していった。
「な、何じゃこれは…!?」
そして、儂は最高の出会いをしたのじゃ。
「ジューシーな肉を、ふわふわのパンに挟むじゃと…絶対美味しいに決まっておる!」
よだれが止まらぬ。
こんなの犯罪級じゃ。
こんなの食べないという選択肢はないのじゃ!
「お!嬢ちゃん!食べてくか?最高に美味いぞ?」
屋台のおじちゃんが甘辛い誘惑をしてくる。
もう逃げられぬ。
「もちろんじゃ!」
今日の昼飯は決まりじゃな!
そして、儂はポッケからお金を探す。
…見つからないのじゃ。
あっ、あれっ?どこにしまったかの?
その時だった。
「もしかして嬢ちゃん、金ないのか?」
「っ…!」
まさか、バレるとは…
「そっ、そうじゃ…なぜ、わかったのじゃ?」
儂は表情など出しておらぬ。
なんでじゃ…?
「あっははは!それはな、嬢ちゃんの感情が顔に出やすいからだよ。今だって、不思議そうな顔しているからな!」
「なっ、何じゃと!?」
儂のポーカーフェイスは完璧なはずじゃったのに…
じゃが、これでは買えぬではないか。
「…仕方ねえな嬢ちゃん。可愛さに免じて1個やるよ!」
…!?
儂は下げた目線を勢いよく上に上げる。
目の前には美味しそうなサンドがあった。
「本当か!?ありがとなのじゃ!」
神が、神がここにおる!
…髪は、ないのじゃがな。
儂は最高の昼食を手に入れたのじゃった。
「ふっ、嬢ちゃんの美味しそうな顔を見るだけで十分よ!今度もまた、来てくれよな!」
儂は気前のいい店主と別れた。
そして、儂は道の脇へ向かった。
「では、いただきます!」
儂は早速、サンドに齧り付く。
肉汁たっぷりの肉と柔らかいパンの相性がたまらない。
少し甘めの味付け美味しさを底上げしておる。
「美味すぎるのじゃ」
育毛の魔法を教えるとするか。
…1本だけじゃ無駄かの?
儂はおかしなことを考えながら、もう一口頬張った。




