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2話「第10条?」①

「よっと」

うむ、成功じゃ。

儂は魔法都市フォルエルングのメインストリートから少し離れた路地裏に転移をした。

転移は運が悪いとイッタイするかもしれぬからな。

だから、儂はいつも人通りの少ない場所に転移するのじゃ。

ただ1つのリスクを除いてじゃが…


「さてと、転移したはいいものの…ちゃんと、大通りに出れるかの?儂、方向音痴じゃぞ…?」

儂の場合、城まで逆戻りかもしれぬ…

だが、時間はたっぷりあるのじゃ。

いずれは出られるじゃろう。


「さあ、腹も空いたし、さくっと歩くか」

美味しい屋台や面白い雑貨を求め、メインストリートを目指すかの。

じゃから、祈るぞ。

方向音痴よ、今日だけは発動せんでくれ…!

昼飯抜きは御免じゃ!


「しかし、暇じゃな」

ただ歩くだけじゃ、味気がないのじゃ。

ならば、異界の書でも読むとするかの。


「〈ライブラリ〉ブック」

そう唱えると、手元に「隠居のススメ」が現れる。


「して、隠居は何をやるんじゃ?」

隠居って、要はスローライフってやつじゃ。

…遅い生活とは一体何じゃ?

儂はペラペラと隠居のススメをめくる。


「ふむふむ、田舎の一軒家がおすすめなんじゃな」

田舎といえば、辺境にいい街があったはずじゃ。

そこに行くのも良さげじゃな。


「自分の力で生きる…ん?魔法に頼ってはならぬじゃと!?」

正確には、必要な時以外らしいが…


「うーん…これは、生きづらくないのか?」

不便じゃぞ?

いや、この不便さも隠居の1つなのかの。

…だが、今まで積み上げたものを捨てたくないのじゃ。


「これは儂にはできん。後回しじゃな」

隠居のススメをパタンと閉じた。

いつの間にか、街の音が近くなってきたのじゃ。

大きくなる賑やかな街の音が儂の心をくすぐる。

濃くなるパンの香ばしい匂いが儂の心を誘う。


「ふふっ…そろそろじゃな!迷わずに済んで良かったのじゃ」

久しぶりの街は楽しみじゃな。

儂はそれに釣られるように段々と足を早めて路地裏を抜けていった。


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