【おまけ】パジャマパーティー
おまけです。卒業後のニコバックメンバーをお楽しみいただければ幸いです。
「それで、指輪の裏には何が彫られていたのかしら?」
本日、念願の卒業前に約束していたパジャマパーティーです。
婚約式を控えたルナタル様の私室はベージュとチャコールグレーの大人っぽい部屋です。アクセントにピンクで、大人っぽい雰囲気の中に可愛らしさがあります。
指輪の発注に追われ、人妻になり、やっと落ち着くであろう日程を伝えていました。ニコバックメンバーと調整し、この日は死守していました。
まさかこれから視察、新婚旅行、モーアの発展のために隣国へ行く予定が入るとは思わなかったのですが。
隣国へいく準備の合間をぬって、パジャマパーティーです。
とても楽しみにしていたので、卒業前から張り切り、デザインさせていただきました。
お揃いと見せかけて少しずつ違うタイプのものです。
生地はサラリとした上質な綿生地、色は全員白。膝上ワンピースに、膝下の七分丈パンツ。裾が上がらないようにフリルのように絞りを加えました。裾にリボンは忘れずに。あとは胸元のワンポイント刺繍、襟元カットがそれぞれ異なります。
恥ずかしそうに指輪を外して見せてくださるのは王太子妃ルナタル様。フリル絞のUネックから豊満なお胸が素敵です。
「『共に生きるールナタル愛している』ですって!!」
水色の髪をセクシーに横に流してVネックのパジャマを格好良く着こなすアリーナ様が確認し、伝えます。
「「きゃあ!」」
同時にフリル丸襟のフローリア様は茶色い瞳を大きくさせて、角襟のリボンが揺れるほど飛び上がったカスリン様と一緒に見つめあい、きゃあきゃあと盛り上がります。
シンプルですけど、奥が深い言葉ですね。私も刻む言葉を考えましょう。
「エリーナ様はもう指輪は作りましたの?」
「それが、人気すぎて、私の予約もまだ先になりそうなんですよね」
「発案者本人がまだってなんだかおかしいわね。私はもう予約してますわよ」
卒業パーティーで勇気を出して告白しました、フローリア様が幸せそうに話します。
「告白、うまくいって良かったわね。あの時は私も勇気をもらったわ」
ルナタル様もご自身のことで精一杯でしたので、フローリア様の告白からの先を話すのは初めてです。
「ありがとうございます。殿方に好きを伝えるって緊張するものですわね。まぁ、殿下はルナタル様の告白を遮ってプロポーズですけれど」
「エリーナ様は王太子殿下がプロポーズするのを知っていらっしゃったんでしょう?」
カスリン様が確認します。
「ええ、サプライズで頼まれてましたのよ」
今だから話せることです。
「告白へ向かう私を見ながら、にやにやしてたのでしょう?私達を見て」
「ええ、サプライズにサプライズでルナタル様から告白したら王太子殿下がどうするか気になってたので、楽しみでしたわ。でも実際、王太子殿下が告白前に遮ったのはさすがに焦りましたけれど」
懐かしいですね。
「あの卒業パーティーは伝説になるかもしれないわね」
はい。アリーナ様、指輪も売りに売れてありがたい限りです。
「卒業パーティーで大々的に告白できたのは、やはり、ドレスアップの戦闘服だったからかしら」
モーアの大ファン、カスリン様が呟いています。卒業パーティーを思い出しているのでしょう。もしかすると、カスリン様にも想い人がいらっしゃるのかもしれません。私たち、目配せして、興味深くカスリン様の続きを聞き出すことにします。
夜は長いですからね。
「カスリン様、もしかして、気になる殿方がいらっしゃるの?」
「ええ、実は卒業パーティーで、ルナタル様のお兄様に助けていただくことがあって」
カスリン様にこやかに話すカスリン様の後ろには、薄いピンクの小さな花がいっぱい見える気がします。
「え、お兄様?」
ルナタル様の表情が険しくなります。
確か、コーデリ伯爵家、ルナタル様のお兄様といえば、赤熊の異名を持つほどの怪力の持ち主で、騎士団へ入った後はめきめきと昇格していくエリートです。が、強面すぎて婚約者もいないという噂を聞いております。
「ええ、みなさんが話すほど、怖いとは思わなかったのです。確かに大きくて威圧感はあったのですが。あ、初めて会ったのはルナタル様に招待いただいた時のお茶会ですわ」
「あの鍛錬の帰りの汗臭い姿で現れた時よね」
思い出しながら、眉間にしわを寄せて手で揉み込む仕草をしているルナタル様。思い出すだけでお疲れのようです。
「あの時からルナタル様が叱っている姿と苦笑いしながら謝るルームス様を見ていたからか、怖くなくて」
クスクス話すカスリン様。困り顔のルナタル様。どうやら手のかかるお兄様のようです。そして、最初の出会いが強烈すぎて、噂にある怪力、強面も全く気にしていないようです。私は卒業パーティーで初めてお会いしましたが、ルナタル様と並ぶと美女と野獣をイメージさせられ、ルナタル様のお兄様は強面、怪力、赤熊、という噂がピッタリの方でした。
「私は噂通りの人ではないと知っておりますし、見ていたら仕草が可愛らしいところがあって。殿方に可愛いとはおかしいかもしれませんが」
恋する乙女のツボはわかりません。
「卒業パーティーでダンスの申込みを断れずに、休憩したくもつらい時、助けてくださったのです。強面が役に立ったと笑って声かけいただいて」
素敵ですね。このままお二人がお付き合いとなれば、ルナタル様のお義姉様ですか。
身分差がありそうですが、ルナタル様のお兄様は適齢期でありながら、そのような話が皆無らしいので、きっといい方向に向かうかもしれません。
恋する乙女たちの話は尽きることなく、深夜まで続きます。
ありがとうございました。




