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42、帰国

 「で?キースはまたいつもよりくっつきが酷いようだけど。」

 王都で王太子殿下へ報告です。苦笑いで私達を見ます。そうですね。私もそう思います。旅行の帰りからキース様が離れなくて困りました。

 民衆の暴動は僅か一日で収束に向かいました。暴動は起こってしまいましたが、ギリギリのところで被害は抑えられたと思います。

「レポート提出して、明日から授業参加?」

「だからだよ。明日からエリーナもモーアだし、今日までなんだよ」

 そう言いながら膝上に抱っこされて、私の頬に自分の頬を近づけます。殿下は苦笑いを浮かべながら、私へ聞きます。

「どうだい?モーア、進出するかい?」

「前向きに検討させていただきます」

「たくましい。我が国のさらなる発展を期待している」


 王太子殿下のロイヤルスマイル、久々にみました。

 こんなにかっこよくできたら、猫被れたら貴族社会も生きやすいでしょうね。そういえば、連邦国は身分制度もないし、生きやすそうだったわね。猫被る必要ないし。

「君は離さないよ、キースが。モーアも国家が離さない。」

 あれ?また顔に出てました?すみません。


「あと、今回の件で王城に召喚がある。ついでにエリーナ嬢を王太子妃に推すものがいるんだ。」

「…ありえない。」

「今はエリーナ嬢がメリットしかないんだ。派閥も含めて中立派や、ルナタル側の陣営以外から勧められている。今回の件で更に美化されて、な。結婚を公表してくれ。」

「分かった。」


 ありえないです。王太子妃なんて。

「…私もありえないよ。エリーナ嬢。安心してくれ。」


 殿下にありえないって言われると、私が振られた人みたいで、なんだか負けた気がして悔しいんですが。


 王城への呼び出しはすぐでした。

「―――して、件の暴動の原因となる者を捕獲し果敢にも現場へ飛び込んだのは真か?」

「真でございます。」

 正確には関係者を偶然見つけて、カクさん、『通称・隠密のロク』が連れて行ったのに付いていっただけなんですけどね。


「連邦政府よりも感謝の意が示された。褒美を与えたいが何がよいかの?」

「カスティナス・ルートン男爵家の叙爵を」

 もらうなら爵位でしょう。予定より早まるくらいですしね。

「承知した」

「感謝いたします」

「一部、王家への輿入れを望むものがいるようだが、本人の希望も一応聞いておこう」

「もったいなきお言葉でございます。しかしながら、私には心に決めたお方がすでにおりますので」

 猿芝居になっていないかしら。心配です。

「心変わらぬか?」

「変わりません」

 咳払いをして宰相閣下が続けます。

「倅のキースがこの娘に溺愛なのはすでに周知の事実でしょう。実は、すでに我がマナサルト伯爵家へ嫁がせております。お互いの意志で」


 ざわつく謁見の場。

「真か?」

「真でございます」


 成婚式はキース様の卒業後などと具体的な話となり、私の王太子妃の話は有耶無耶にされました。良かったです。あとはルナタル様頑張ってくださいね。


 帰国後は思い立ったデザインをどんどん仕上げていきます。が、私の成婚式まで初夜の囁きは封印されました。売上げの戦略的保留です。

 西の連邦国へも出店を決めました。再び西の連邦国へ行き、ナムさんの南州、北の工場の立ち並ぶ地域も旅行してきました。創作意欲がわきます。タイナーさんは私の専属侍女ですぐにスケッチブックを渡す優秀なモーアメンバーになりました。オープンの記念にスペシャル限定商品を販売します。

 特色のある州同士ですので、モーア、ロックス州バージョンなどそれぞれの州の下着デザインしてみました。100セットの限定販売です。州同士のわだかまりがある分、それぞれの州への思いが強いと感じていたので、大成功となりました。


 来年は、キース様が卒業です。いよいよ初夜の囁き、発売です。






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