31、カバン
「あんなに素敵なセンスを持って、愛されてるのに自分に自信がなさそうで。」
いや、そんな。恥ずかしいです。
「私たち、貴方とお知り合い、良ければ友人になりたいと思っていたのよ。」
私もぜひお友達になりたいです。
「夜会の時の素敵なドレスはモーア製品が多くて、どうしたらそんな素敵なデザインを思いつくのか聞いてみたいと思っていたのよ。」
それは前世の知識です。
ルナタル様に紹介いただきました、ご令嬢の皆さん、これから始まる実習もこのメンバーでするみたいです。先生の判断でしょうか。チームの団結力があがり、相乗効果を狙っているようですね。
装飾に関しての授業は途中から男性と女性が別々になります。
「―――装飾するにあたり、最近ですと、下着でしょうか。ブランド、モーアが出てから下着の装飾に関して一気に発展していきます。矯正下着の概念や夜着のデザインにも大きく変化がでました。下着を装飾する概念を生んだのは下着に関する歴史の中では大きな転換期となったのでしょう。」
嬉しいですね。もしかしたら、前世の私のようにかわいいものを見て、触れて、たまに身につけてちょっとだけ元気を出して、つらくても頑張っている人がいるのかもしれません。そうであってほしいです。今も昔もかわいいは元気を作ります。
「―――さて、授業のあとに、いよいよ実習が始まります。課題は『オリジナルを1つ作る』ことです。装飾して世界に一つだけの装飾を作りましょう。ということです。ただし、名前や文を入れてのオリジナルは却下いたします。チームで一つでも良いですし、チームで一人ずつでも構いません。昨年の例ですと、ガラス工房で面妖なペンを作り、色違いで提出した班もありました。過去には箱に宝石を付けて、宝石箱をオリジナルの宝石付の箱にした班もありました。そこから派生して、アクセサリーの箱に小さな宝石がついたものも発売されたこともあります。今回は現在活躍中のデザイナーさんもいますので、期待してます。」
先生がチラッと私を見ます。ご令嬢の皆さんもチラッと見ます。
気になりますか。ええ、いくつか思いついてますよ。にこやかに微笑みます。ニヤリになったようです。
「…相変わらず猫被りが下手ね。」
ルナタル様に指摘されてしまいました。
*****
「それで?何かデザインがありまして?」
水色髪が爽やかな印象のご令嬢、アリーナ様がわくわくとした目で見つめます。現在、グループごとに、作戦会議です。
「そうですね。カバンはどうでしょう?」
「オリジナルにするなら、レースにしたり、造花を付けたりするのかしら?」
「かわいいですわね。」
「あら、そんな簡単に思いつくものはすでに先輩方がやっているでしょう。何のカバンかしら?」
ルナタル様がカバンはカバンでもきっと今までと違う!と確信していらっしゃるのでしょう。皆さんの期待の目が眩しいです。
「…カバンに入れる予備のカバンですね。」
「?・・・小さなカバン?ということかしら?」
小さなカバンだと化粧ポーチ的なものですね。もちろん考えたのですが、製作に時間が掛かりそうですし、侍女のプロフェッショナルな意見を聞きながらやらないと良いものにならないと感じましたので、今回はなしです。
「普段はカバンの中に小さく入れておいて、必要なときに使うカバンです。荷物が多くて入らない時の予備なカバンです。」
「それはお出かけの際には荷物が多い時は侍女に持ってもらうから不要ではないかしら?」
「あら、学園にはいないですもの。図書館の本を借りた時は困ったわ。キツキツに詰めたもの。侍女にプレゼントもいいですし。」
私も一年生の時に教科書が急に配られて困りました。私がイメージしたのは折り畳めるエコバッグです。
自分の好きなデザイン布で、ワンポイントの刺繍を入れて、まるめて止めるところは可愛いボタンでしょう。できる限り軽い素材をそれぞれ選んで、製図以外はオーダーメイドですね。
可愛いものができたら、普段のカバンに紐で結んでしまっても良いです。カバンに装飾できるカバンですね。
エコバッグのプレゼンテーションをしていきます。
図を使って選ぶ素材などそれぞれ案を出していきます。
「モーアのデザイナーの生図案よ!!大事にするわ!」
ファンです!と最初から食い気味のブロンズヘアのご令嬢はカスリン様でしたね。
「それで!このカバンは何という名前にするの?」
「さっき、ンコバッグ?ニコバッグ?って、言ってたわね。それでいいんじゃない?」
は!プレゼンテーションに熱が入りすぎてエコバッグと言ってしまっていたのね。しまった。
「…ほほほ。ニコバッグと勝手に私のなかで付けてました。」
誤魔化しが下手ですいません。まぁ、さすがにンコバッグは無しです。○ンコバッグ、残念な想像をしてしまうので、やめておきます。
それぞれのオーダーメイドができそうですね。楽しみです。




