27、モーアのミクリさん
ミクリさんと他、主なお針子隊を引き連れて、モーア専門店、大繁盛のようです。
まだまだ、いろいろな《かわいい》を見つけていただけたらと思います。
かわいいものは人を元気にさせますよね。
前世では、お金はないけど時間はある時に、かわいいもの探しのウインドウショッピングをよくしてました。
これを活かさない手はありません。
専門店は、防犯も考えて、一等地の建物を改築して、オープンしました。
前はアクセサリーや宝石、文具などの雑貨も扱うお店だったそうです。改修は、工場だったところをお針子部隊の場所にして、お客様の打合せ場所に、大きな鏡を用意したところでしょうか。
あと、こだわったのは店の顔である、看板ですね。
いくつか案がありましたが、看板だけなら他店にかわいいがいくらでもありました。
よって、ドアを薄いピンク色にして、そこに看板をつけることで、かわいいを表現してみました。
白い壁にピンクのドアです。
全力でかわいいものが売ってますよーというアピールができております。
…男性はむしろ入るのに勇気がいるかもしれません。
流行に合わせて薄紫や水色など、色あせたら塗替えていくのもいいですね。
「いらっしゃいませー」
売り子さんが明るく対応してます。最近見ない娘ですね。
新人さんかしら。
「お客様、今日は何をお求めで?」
「そうねぇ。町娘のようなお忍びスタイルはありますか。」
「それでしたら、こちらへどうぞ」
うむ。なかなか楽しくなってきました。
「エリーナ様、おつかれさまです」
案内の途中で、私に気づいた顔見知りの売り子さんが駆けてきました。
「エリーナ様!!あなたが!あの!大変失礼いたしました!」
【あの】って、何かしら?
せっかくだから彼女のおすすめを聞いてみましょう。
「こちらの大きめリボンが後ろについた、この紺のワンピースは目立たない茶系上着とセットでよく売れてます」
なるほど。
思ったよりシンプルなほうが人気なんですね。
私のイメージでは、町娘のような、それでいておしゃれしたいというものだから、
もっとかわいいが分かりやすいものが売れ行きかと思いました。例えば、袖口にフリルとか、胸元にレースとか。
これは、変装がメインなのでしょう。
おしゃれと変装、奥が深いですね。
街のぶらりショッピング、誘拐事件から、行かせてもらってません。
キース様を誘っていきましょう。
「エリーナ様、頬が緩みすぎです。猫、ちょっとは被っていただかないと、デザイナーの貫禄感ゼロです」
いきなりつっこんできましたのはモーアの店長、ミクリさんです。
王妃様のところから私の貴族の猫かぶりがあまりにも下手で、
オーダーメイドのお得意様へお出かけするたびに「猫、被り忘れてますよ」と指摘してくれます。
最近は突っ込み要員となってます。
「いきなり来てごめんなさい。ミクリさんに相談があって」
奥の部屋で打合せしていきます。
婚約の記念での、プレゼントです。
「指輪ですか。あまり、メジャーではないですね。髪飾りやネックレスなどが多いです」
髪飾りやネックレスね。貴方を繋ぎ止めます。か。所有権の主張ですね。いつも共に。
「指輪のお揃いは?」
「今まで聞いたことありませんね。…イイかもです」
前世では、結婚指輪ですが、
今回は貴方といつも繋がりたい、一緒にいたいという気持ちで婚約するわけですし、運命の指輪をお揃いで二人、付けていくので、記念にするのもいいかもしれないですね。
「男性もつけるから、シンプルなもので。でも、合わせ付けができるようなデザイン…」
どんどんイメージが湧いてきました。
工房に予約を入れて、早速検討始めます。




