表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/45

19、デート、ではありません。

「着いたよ。ようこそ、マナサルト伯爵が領地タコミナスへ」


 さて、本日、キースさまの領地の視察へやってきました。


 デートではありません。


 距離を置かなきゃと思ってる矢先にこの打合せです。

 仕事とはいえ、今はつらいです。


 近くにいたら、絆されてしまいます。

 ズブズブに甘やかされ、気を許してしまいそうです。



「ルートン領地での成人前の試験の権利の売買の話、他領でやるならうちはどうでしょうか?そのまま婚約してくださいませんか?」


 と言われておりましたので、行くしかなかったんです。

 婚約、もちろんしませんけど。


 制度が馴染むように領地を見ないとね。ということで。

 

 むむむ。納得させられてしまいます。確かに、現地で気づくこともありますし。


 権利の売買に関しては慈善事業として薄利でも、可とします。

 問題はどれだけマイナスのイメージをつけずに他領へ売り込むか。

 ここが最初のビジネスプランです。

 気合いが入ります。



 *****


 キース様の領地は王都から1日でいける距離にあります。


 よって、状況は王都とほとんど変わりません。

 特徴があるとすれば、その交通網と水の豊かさでしょうか。


 我が領地と違い、整備された道路、王都土産の買い忘れや旅の必要品の買い物でで商店も賑やかです。

 移動するときに通りたくなる街並みです。



 孤児院の前に、領主へご挨拶です。


 貴族のルールですものね。


 領主の館も案内されます。


「ここが私の執務室、父からの業務も少しずつだけれど、手伝いしてる」


 ほへー。

 立派な執務机に、結構な資料の山。


 実践的に任されているんですね。尊敬します。

 同時に次期宰相と言われる姿、夜会でのキース様を思い出し、私とは住む世界が違うと、切なくなります。


 客間へ移動し、制度の説明をしていきましょう。本日、私は仕事にきたんです。宰相閣下はもちろん不在で、領主代行の方がいらっしゃるんですよね、、、





 宰相閣下は毎日、王城に勤務して、、、








 、、、してない!

 え?今日休み!?



 なんでいるんですか?宰相閣下!



「いやー、カスティナス男爵令嬢?エリーナちゃんと呼んでいいかな」


 しかもなんか軽いです。

 デビュタントで会ったときと雰囲気が違います。


「お初にお目にかかります、カスティナス男爵家が娘、エリーナ・カスティナス・ルートンでございます」


 カーテシーをしようとしましたが、止められました。

 主にキース様に。


「親父今日休みって言ってた?」


 いきなりぶちこむ親子の会話です。

 こんな話し方するんですね。


「ないしょで休みをとった!」


 赤くなったり青くなったりするキース様、どうしたのでしょう。

「奥方様もご存知です」


 グレーのスーツと眼鏡が似合う執事らしき方が追加説明。


「ようこそ、我が家へ」


 宰相の言葉に天を仰ぐキース様。


「…今日は領地の視察です。交通網の発達した街並みで、かなり人通りが多いように感じました。ここで、成人前の試験の実施をすると、

 溢れてしまうのではないでしょうか?」



「…デートじゃない」

 キース様がつぶやきます。

 はい。デートではありません。


 うちであれだけ集まってしまったのだもの。王都に近いですし、飽和状態になってしまうと、同じ孤児院の経営圧迫が懸念されるのではないでしょうか。


「それだけの労働力を確保できるなら、問題ないよ。水道工事含めて人材はいくらあっても足りないからね。真面目な子がほしいから、試験を受ける子は優先させたいし。王都に近いから、住むところや仕事は選ばなければあるだろうしね」


「教室は、開きますか?実はこの教室がかなり赤字経営なんです」


「なしだね。試験だけにしていく。学ぶところで経済を生ませる」

 学習塾ですね。


 あとはインターン制度についても質問です。


「職場体験ね。どれだけの善意で動いてくれるかってところだな。」


「動いてくれなかったんです。スタートは私財で払いました。優秀な人材を先に見つけるメリットもあったみたいで、活用してくれる人もいます。今、注目されてますけれど、あまり伸びてません。デメリットのほうがやはり大きいのでしょうか?」


「…そうだね。ゆとりのある時はいいけれど、教えるのも金がかかるからな。"時は金なり"だ。あとは、王都にスラム街があるから、孤児院から出た子はそっちで稼いでる子もいるからな」


 なるほど。

 領地では状況がわからないまま、自分が前世の知識を勢いのみでやっていたと気づきます。


「…エリーナ様、女神様、惚れます」


 なんだか変なつぶやきが聞こえます。


「エリーナちゃんはどうやってその制度を思いついたのかな?発想も独特だけど、こんなにいい案がどんどん浮かんでくれたら、会議進みそうだよね」


 すみません。前世の知識です。


「ひみつです。すみません。私、矢継ぎ早に質問してしまって。多くの質問に答えていただきありがとうございます。キース様にも領地のことで沢山ご相談させていただきました。」


「こちらこそ、息子キースが世話になったね。それで、うちに嫁にくる話だけど、、、」



「親父!ちょっと待ってくれ。この話はまた後で」


 えぇ。待ってください。私、猫被りも下手ですし、貴族社会では男漁りの噂をたてられたハジキ者です。なんでも卒なくこなすキース様とは釣り合いませんよ。


 話はそのまま有耶無耶になって、孤児院をみたあと王都のタウンハウスへ、帰宅しました。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ