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18、夜会

 モーアにて、ルナタル様とまさかのおそろいのドレスを購入しました。本当に良いのでしょうか。

「私のバックがあります。仲良しです。ということで、牽制することもできるのよ。うまく使いなさい」



 ―――ついていきます。


 ちなみに、私のデビュタント時のあのピンクにイエローの挿し色ドレスについて思い切って聞いてみました。

 

 もともと婚約者筆頭として、すぐにでも悪役令嬢に結びついてしまうそうで、柔らかく見えるドレスで悪役令嬢のイメージを払拭させるつもりだったそうです。

 

 私のデビュタントのドレスには訳があったんですね。


「結局、ふっくら見えたみたいで、体型も維持できないとか不名誉なことになって、情けない結果になったわ」


 確かに一重でスッキリとした顔立ちは悪役令嬢になりそうですが、私のイメージですと、"悪役令嬢なんて及ばないわ。みな、私に跪け"くらいの美しい女王タイプなのです。


 *****


 さて、本日の夜会は西の砦を兼ねている伯爵家だそうです。


 こちらの次男が今年デビュタントされて、そのお祝いを兼ねているそうです。


 私はルナタル様の友人として一緒にいきます。


 キース様は陛下の側近として出席します。


 屋敷は私の王都にあるタウンハウスの3倍くらいでしょうか。

 ホールだけでも3つあるそうです。


 大ホールへ行き、早速ホストへご挨拶です。


 王妃様のマーメイドドレスがそこそこ流行りだしたようです。僥倖です。


 私達のドレスは一度見て、もう一度視るでしょう。


 大柄な花をいっぱいに散りばめた何色?いえ、虹色です。というデザインのドレスです。


 お姉様は青を基調に、私はオレンジを基調に鮮やかに大輪の花をいれました。

 Aラインのシンプルな形ですが、上半身はシンプルに絞りました。肩にクロスさせた紐の最後にリボンを施し、

 下半身に全力のボリュームです。

 プリントのような鮮やかな色使いで自分達の顔の2倍はある花達を青、赤、黄色、オレンジ、紫と刺繍しました。緑と、薄い黄緑で葉を散りばめて七色のドレスです。

 前世でみたことのある、大柄な人が似合うプリント花柄ドレスです。

 刺繍ですので、非常に重いのが難点です。

 自分用ではなかったのですが、試作はしていました。

 お揃いを追加で頼んでしまい、モーアの皆さんには別途特別料金で対応いただきました。


 ぱっと見て青色ドレスそれでいて、様々な色合いが目に入ります。よく見てみたくて思わず二度見してしまうのです。お針子さんたちの努力が感じられる一品です。


 ホストへご挨拶。私とお揃いとすぐにわかりますので、一緒に紹介受けまして、ご挨拶いたします。沢山の好奇の目に晒されます。


 私の噂を聞いている分、ヒソヒソとした声が、批判されているようで鬱になっていきます。

 

 下を向きそうになります。


「前を見て、微笑むのよ。ほら、来たわよ。あなたの王子様」


 扇を持ちながら優雅に微笑みます。


 素晴らしいです。ルナタル様、私も猫被ってがんばります。


 キース様がこちらに気づき、駆け寄ってくださいます。


「カスティナス男爵令嬢、お慕いしております。今宵のエスコートをさせていただいても?」


 領地ではエリーナ様と呼んでくださっていたのに、白々しいです。


「謹んでお受けいたします」


 彼に感じる周りの視線。期待されている眼差し。

 

 私に対する侮蔑的な視線。


 私はどんなに着飾っても、媚びを売ってるとしからみられませんね。


 ああ、住む世界が違う人なんだと。

 囲まれた人たちや、取り巻きの令嬢の姿も当たり前のようにさらっと流す、その慣れた仕草に自分がここにいてはふさわしくないと感じました。

 今更ですが、キース様は次期宰相として約束されるほどのホープです。


 今日の彼は私の近くでヘナヘナ笑って愛を囁く人とは別人です。

 私なんかより素敵なご令嬢が周りにいらっしゃるではないですか。


 領地にて、毎日のように話ができて、別世界の人だということを忘れていたようです。

 

 浮かれてましたね。絆されて好きになってしまうところでした。

 気を引き締めねばなりません。


「疲れた?飲み物でもどう?」

「…結構です」


 これ以上、優しくされたら、もう取り返しがつかなくなります。


 距離を置きたいのです。


 そこから寂しそうなキース様でしたが、目を合わせることはできませんでした。


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