12、ドナドナの先は
王族、王族の親戚に連なるトップの貴族しか使用できない特別な庭と教えられたのは後からでした。
ロイヤルガーデンと呼ばれるその庭には、バラが誇らしげに咲き乱れています。それでいてガゼボの周りは静かな空間を作り出す調和のとれた美の庭です。
紅茶の準備を侍従が行う様子も、ほへーという顔で眺めてました。いや、初めてこんなにきれいな庭を見たのです。そして、侍従の動き、一流に一流か組み合わされ、調和されて素晴らしい空間です。
ちょっと貴族の猫の皮むけててもしょうがないです。すでに入学式とオリエンテーションで借りてきた猫は疲れてたみたいですしね。
その顔をみた王太子殿下はくすっと笑いました。あ、今のは本気の笑いです。先程の鉄仮面の笑みとは違いますね。
「急に呼び出してすまなかったね」
まったくですよ。
「いえ、ただ、直々にお呼びだしいただかなくても」
「そうなると君は逃げるタイプだろうと母上から聞いてね」
…!!
王妃様?なぜわかるのですか。確かにこんな面倒な呼び出し、のらりくらりと躱すでしょう。
もう、ちゃっちゃと要件を聞いて帰りましょう。猫はもう被れませんからね。
「……用件をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
いきなり不敬で訴えられるくらいの直球です。もちろん、まだ紅茶も冷めてません。ちょっと驚いたようで、瞳が大きくなりましたが、すぐに持ち直されました。ロイヤルな方は顔もしっかりコントロールできるようです。
さすがです。
「いや、母上から聞いていて、気になってたから話してみたいと思っていただけだよ。」
あー。今後ともよしなに。ってことですね。
「孤児院の試験や、インターン制度?私はそちらも気になるのだが、科はどちらの選択を?」
「商科です。」
「なるほど。家政科も受ける予定はないか?」
「特には。領主は弟ですし、支えるのは弟の選んだ未来の奥様に任せますので。」
「君自身は嫁ぐことは考えてないんだね。」
「…ええ。」
即答したけど、なんだなんだ!嫁になれって!いや、ここでの意味は王妃!?ありえません。断固拒否です。
「・・・実は君に会いたいと言っている、君のファンがいるんだけど、会ってもらえるかな?」
是、としか言えない、言わせない。
そんな笑みです。
「かしこまりました。」
「・・・ありがとう。私の友人なんだ。今度招待するからよろしく頼むね。」
あ、こんどは少しはにかみが少年の自然の笑みだわ。
見目麗しい王太子殿下とお茶してたのが明日には学園全体に
広まっているんでしょうね。
「母上とはいつ?」
「四日後とお知らせいただきました。」
入学してから授業のあとの初めてのお休みの日です。
とても立派な猫を被っていきます。
王妃様のドレス、気になる方は次へどうぞ。




