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タークスの日常  作者: @kohe75438489
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3-6 頂上に到達!

 よく眠った僕は朝起きると頭が冴えたので、溶岩対策に簡単な解決方法を思いついた。それを早速実行する為に、ベーコンレタスハムサンドを食べてから、溶岩地帯へと向かう。


「僕が使える魔術は数種類しかない。その中に答えがあるというのなら、全て使ってみれば分かる筈。まずは【炎撃】からだ!」


 予想通り【炎撃】では何の防壁にもならない。次に【風撃】を試す。


「やはり風でも断熱にはならないみたい。という事は【雷撃】しか残ってないなぁ」


 雷撃を足場にして断熱効果があるか試す。確かにこれなら充分熱を遮断できている様だ。


「そ、そうか…僕も忘れていたけど【雷撃】を使う時の魔法障壁の中はほぼ真空(・・)になっているんだった…熱を通さない格好の魔法だった」


 二重断熱層を作り、マグマの上を歩く。魔法障壁自体は断熱効果はないので、下の層の魔法障壁が完全に熱せられる前に内側から更に新しい【雷撃】層を作り出す事で常温を保つ。【風撃】膜や【炎撃】膜ではこうして内側から膜を作る余地もなく完全に蒸発しているところだ。


「この儘何事もなくここを通り抜けられればいいんだけど…【雷撃】!そうは、行かないよね…ここには隠れる場所なんて(殆ど溶けてしまって)ないし【雷連撃】」


 あまりに熱いので真面に相手にしていられない。【雷撃】で断熱しつつ攻撃を加えるしか有効な方法はなさそうだ。溶岩蛇(マグマスネーク)を吹き飛ばしつつ山頂を目指す。


「登れば登る程、溶岩蛇が大きくなっていく。火蜥蜴ももう既に人間サイズの大きさだ。蛇に至っては全長10Mをすでに超えている」


 火蜥蜴の頭を吹き飛ばしつつ、溶岩蛇に【雷連撃】で衝撃を与えていく。溶岩蛇はまるで泥男の様だ。倒しても倒しても切りがない。溶岩から幾らでも復活してくる。そして体のどこを潰しても魔石が存在しない。冒険者泣かせの厄介なだけの魔獣だ。

 辺りは高温ガスが吹き荒れている。気を緩めて【雷(撃魔法障)壁】を解いてしまえば、僕の生命は終わる。酸素だけを通す魔法障壁が、僕の命を辛うじて繋いていた。


「この辺りがどうやら頂上みたいだ…完全にマグマしかない…戦うには最悪の土地だ…だが魔獣達は待ってくれそうにない様だな」


 マグマ溜まりの中央、今まで見たことものない様な巨体の山の様に蜷局を巻いた蛇の魔獣が鎮座している。この沼地を通る為には必ず相手にしなければならない。既に僕のことにも気が付いている様だ。


「先手必勝、全て吹き飛ばしてやる【風連撃】乱射VER.」


 魔法障壁に覆われた儘の風撃を【風撃】で弾丸上に突き飛ばす。巨大溶岩蛇は少しノックバックし原形を留めていない。


「あの蛇もスワンプマンと同じく魔石が無く何度でも甦るタイプの魔獣か…手に負えそうにない」


 どう対処していいか分からない…。倒しても倒しても復活する霧は風で吹き飛ばすしかないのと同じことだ。この魔獣は風で吹き飛ばしてもこちらへ又向かってくるから尚質が悪い。


「【魔力探知】…駄目だ。辺り一帯に強い魔力が充満していて魔力が強い場所なんて見つからない。もうこうなったら、飛んで逃げるしかない…!」


 僕は翼を大きく広げ、相手が起こす爆風を利用して吹き飛ばされる。この風に乗ってここよりも更なる上空に行けば、この山の向こう側に行けるかもしれないと思いつき【風連撃】で更に上昇して溶岩地帯を飛び越えようとする。

 火山中央からは物凄く強い魔力が噴出していて、魔力酔いで物凄く気分が悪い。何とか風を作り向こう側に行こうとするが、空から奇襲を受ける。この辺りは火竜(ファフニール)の縄張りの様だ。飛んでくる【火球】を正面から何発か真面に食らい、僕は引き返さざるを得なかった。


「もう少しで向こう側に行けそうだったのに…あの火竜はどうしても僕を向こう側に行かせたくないらしい」


 翼で飛ぶことになれてきた僕は領館へと滑空して帰ることが可能になった。


「お帰りなさいませ、どうやら翼の扱いが随分上達したようですね」

「うん、毎日使っていると慣れたよ…今日は頂上まで到達できたんだけど、火竜に阻まれて帰って来たんだ」

「人類では討伐不可能と言われている程の強敵です。逃げ帰ることができただけでも僥倖(ぎょうこう)でしょう。ところで、タークスにお客様が来ておりますよ?外の詰め所で待たせてあります」

「誰だろう…?僕に用がある人なんていたっけ?」


 玄関門詰め所に行くと、どこかで見たような顔の冒険者が部屋の中に監禁されている。


「沼地の悪魔の正体が、領主の息子だったとはな!よく化けたものだ。さあ、私をここから出して正々堂々勝負しろ!!」

「だから僕は沼の悪魔じゃないって、何度言えば分かるのさ?」


 ジュディスの思い込みは留まることを知らない。何度言っても僕が沼の悪魔だと信じて疑わない姿に僕も脱帽せざるを得ない。


「仕方がない…勝負ならいつでも受けるよ。ただ、今のままじゃあ勝負にもならないから君に先生を付けるよ。キトとポドとシャシャの三人から良いところを好きなだけ学んで強くなったら、その時改めて試合をしよう。それでいいかい?」

「望むところよ。次こそ叩きのめしてやるんだから。首を洗って待ってなさい」


 僕は余りに疲れていたので、足を延ばして椅子に凭れ掛かる様に座る。何かいい方法を考えないと、あの山は越えられない。そんなことを頭の隅で考えながら、読書の続きを読み耽る。


「上を通ることができないなら、下を通るしかないかなぁ…でも山脈の中央にはマグマが通っていて掘っても通れないかもしれない…その場合は山を回り込むようにぐるっと一周するしかなさそうだ」

「あの山の頂上が溶岩で満ちていたのは自然現象ではなく魔獣の所為でしょう?それなら山の中腹からトンネルを掘れば通れるようにはなるでしょう」

「10km程穴を楽に掘る魔術は無いかな?」

「タークスが自ら昨日書いたこの設計図のこの器具を作ってみてはどうでしょう?」

「うーん…そうなるとできるだけいい金属で作ってみたいんだけど…そんなお金ないし…何か代替品は無いかな…」

「魔獣由来の素材を調達なさるのが一番安上がりで確実でしょう」

「それなら頭を吹き飛ばしたアルマジロの皮を沢山持ってるよ。ポッシェに何かに使えるかと思って入れておいたんだ。倒しても倒しても切りがないほど襲ってくるから、数えきれないほどあるよ」


 その日の内にアルマジロの皮は熱に因って溶かされて削岩器具の部品として加工されることになった。


「タークス、本日も恋愛小説ですか?」

「今日は冒険ジャンルがいいんだけど…」

「本を書く人も稀です、そのようなジャンルの本は現在伝記位の物でしょう。歴史、技術、魔法、これら以外の書物はほとんど存在しません」

「王都でも書かれていないなら、ここに僕の読みたい本が届くことは無いんだよね…」

「いいえ、そういう事はありませんよ。この地で作品を書かせればよいのです」

「この地で?一から作家が育つ環境を作れって?…でも、確かにできないことじゃないかも…資金も伝手も何もかもが足りてないけどね」

「ご自身で書いてみようとは思わないのですか?」

「僕はそういうの向いてないよ…読み専だから」

「ですが、この街で臨むべき作品が書かれるようになれば素敵ではありませんか?その為になら多少の犠牲を払ってもよいと思えるでしょう?」

「うーん…確かに悪くないかも…暇を見て街を探索して才能をどうやって育てればいいのか一度考えてみるよ…その前に、アルマジロの皮をできるだけ採取して資金でも集めるよ」


 僕は未来の小説を読む夢を見ながら眠りについた。



【何卒、下記をどうかお願い致します】




・面白くなかった




・続きは見たくない




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