3-0 雲の上に照り輝く太陽
「依頼主ならあそこに座っていらっしゃいますよ。依頼内容は本人からお聞き下さいませ」
「あんたが私に依頼をした領主の息子かい?」
「はい、そうです。今日は一日よろしくお願いします」
「なかなか礼儀正しい子だねぇ。ちょいと好感が持てるよ。それでどんな依頼内容なんだい?」
僕の依頼を受けてくれたのはSSS級冒険者ラージクーエルという少し筋肉質のお姉さんだった。こんな健康美女にしか見えないお姉さんが本当に強いのか疑問だったが、ギルドの紹介を信じてみることにした。
「まずは、初心者の丘に一緒に来てもらえますか?そこで説明します。特別に必要なものはありません」
「分かった。大人しく付いて行ってあげよう。大船に乗った気でいな!どんな依頼でもこなして見せる、これでも冒険者として長いんだ」
僕は凧改を絵画を持つように片手に持って、クーエルと移動する。周囲の好奇心に晒されながらもやって来た初心者丘に上りクーエルに紐の先端を持ってもらう。
「お姉さんは強いんでしょ?じゃあ、この紐を絶対離さずに持っていて欲しいんだ。僕が離してもいいというまでね。それが、今回の任務。できる?」
「簡単だ。頼まれた以上、完璧に成し遂げて見せよう!」
僕は早速、凧に乗り風を起こして空に舞い上がる。今度は一度目と違い、回転せずに浮上し続けることに成功した。低空飛行を続けていると、クーエルが紐を引っ張る提案をしてくる。
「この縄を引っ張って走ってもいいかなー?そうすれば空高く飛べるよー」
「空に浮かずに縄を引っ張り続けていられるなら(依頼を達成できるなら)、どうしてくれても構わないよ!」
僕は姉と揚げて貰った時と同じ高度に到達する。風が強く吹き通常の人間なら到底縄を持っていられないだろう。だがクーエルは【身体強化】し凧の速度に付いてくる。風が更に吹きタークスの高度が上がったことにより、更に上へと力が加わりこのままではクーエルは空へ舞い上がってしまう。これを防ぐ為に【風魔法】を上に向けて放ち力の均衡を保つことに従事する。
雲の中を通り抜け、雨に濡れつつも更に上昇し、雲の上にまで舞い上がることに成功する。空の向こうに照り輝く太陽がそしてその周りにうっすらと星々が見える。
「どうやらこれ以上上れないところまで来たみたい。縄紐の長さが足りないし、これ以上高く昇ったら呼吸ができなくなるかもしれない」
僕は一二時間程雲の上の遊泳を楽しんだ。ここから下の世界の様子が手に取るように見える。様々な魔獣が空を飛び交っている。竜らしき姿が群れになって移動しているであろう様子も確認できる。それ以外の魔獣達も空を各々遊泳している。
その時タークスの更に上空から監視していた存在がいた。その存在は彼に興味を持ったようだ。この高度まで生命体が上がってくることは稀なのだ。
空の上の遊泳を十分楽しんだので、下降を始める。上昇した時と反対の手順で地上へとゆっくり降りていく。雲の中を通り、縄を手繰り寄せて無事地上へと帰還する。
「簡単な仕事だったな。空の遊泳は楽しかったか?」
「うん、それなりに楽しめたよ…命綱が頼りにならないと物凄く不安なんだ。だから、簡単でも良かったんだ。もう、離してよいよ」
「その珍妙な道具で、良く空に挑戦しようなんて考えたね。あんた一歩間違えれば今頃昇天してるよ?空にだって魔獣はいるんだから、縄が噛み切られることを想定していなかったのかい?今回は倒してあげたけど」
「そっか、全く気付かなかった」
「あんな簡単な道具で、良く空を飛ぼうなんて考えたねぇ。あんたの発想かい?それに、年齢の割にあんた相当鍛えてるね?将来はSSSランクになるつもりかい?」
「そんなことまだ全然考えてないよ」
「今日は良いものが見れたよ!また何かあったら今度は指名依頼で出しておくれ。私クーエルに」
僕は随分疲弊した凧を家まで持って帰った。確かに空に上がっている間魔獣に切られることなんて全く考えていなかった。もっと頑丈な縄にするかもう一人に空の魔獣に対処してもらうしかないのかなぁ…。
僕はマイペースに歩きながら領館へ帰って来た。もう辺りはすっかり夕方で、今日も終わりが近づいている。
「簡単な仕事だったな。空の遊泳は楽しかったか?」
「うん、それなりに楽しめたよ…命綱が頼りにならないと物凄く不安なんだ。だから、簡単でも良かったんだ。もう、離してよいよ」
「その珍妙な道具で、良く空に挑戦しようなんて考えたね。あんた一歩間違えれば今頃昇天してるよ?空にだって魔獣はいるんだから、縄が噛み切られることを想定していなかったのかい?今回は倒してあげたけど」
「そっか、全く気付かなかった」
「あんな簡単な道具で、良く空を飛ぼうなんて考えたねぇ。あんたの発想かい?それに、年齢の割にあんた相当鍛えてるね?将来はSSSランクになるつもりかい?」
「そんなことまだ全然考えてないよ」
「今日は良いものが見れたよ!また何かあったら今度は指名依頼で出しておくれ。私クーエルに」
僕は随分疲弊した凧を家まで持って帰った。確かに空に上がっている間魔獣に切られることなんて全く考えていなかった。もっと頑丈な縄にするかもう一人に空の魔獣に対処してもらうしかないのかなぁ…。
僕はマイペースに歩きながら領館へ帰って来た。もう辺りはすっかり夕方で、今日も終わりが近づいている。
「その様子だと、上手く行った様ですね?何か問題点でも見つかりましたか?」
「うん、縄が魔獣に切られてしまう事を忘れてた…今日は何とかなったけどね!」
「それは宜しうございましたね。今度は道具なしで挑戦してみてはいかがでしょう?そうすれば、魔獣に『縄』を切られてしまう心配なんてないでしょう?」
「風で何処知れず流されてしまいそうだけど…何とかやってみる」
アクリル板を背負って飛ぶような感じだろうか…魔法障壁を鳥のような形にすればもっと飛びやすいかもしれない。でもその実験はまた今度だ。今日はもう遅い。
僕は食事を終えた後、書斎へと戻り窓を開ける。小鳥達が餌を求めて集まってくる。灰鳳も何故か混ざってやって来る。見た目はあまり変わらず、少しサイズが大きい位なので仲間だと勘違いしているのかもしれない。灰鳳はこれからどんどんと大きくなり、通常の鳥たちの100倍程度にまで成長する。その時には小鳥達を仲間だとは思えなくなるだろうな。
「ほらグオウ、お前には今日も特別製の餌をやるぞ。日本の味を再現したカロリーたっぷりのジャンクフードだ。沢山食ってぶくぶく太るんだぞ!」
グオウは必死に餌に食らいついている。その内、体重が増えすぎて空に飛びあがれなくなるのか、魔獣は【風魔法】を使って飛びあがることができるのか、どういう結果になるのか興味が湧いていた。
「グオウが太っても空を飛べるようなら、それを真似すれば効率よく空を飛べるかも…その頃には僕に愛想をつかして何処かへ飛んで行ってしまった後かも知れないけど」
僕は窓を閉め、鳥たちが飛び立つ様を眺める。書籍に挟んでおいた栞を目印に昨日の続きの書籍に目を通す。
「明日は街の北の方を散策してみようかな…上手く飛べるようになったら、海への到達も一歩近づきそう」
日が暮れてきたので、火の魔法で灯りを作りながら読書を継続する。光を出す魔道具を使ってもいいのだが、魔法の熟練度を高めるために火魔法を使い続ける。
「日課を翼を展開しながら行う、そんなところから始めてみようかな」
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