2-8 初めての魔獣素材入手
夜になると、魔獣達は狂暴になり人の気配に敏感になる。僕たちは静かに木の上で食事をしながら、寝床を作る準備を開始した。
「こんな所で一泊することになるとは思わなかった…」
「ジェイド―が遅いからでしょ?」
「ここまで遠いとは思わなかった。この木の上は安全なのか?」
「分からない、地上よりも安全なんじゃないのかなー。気配を消して、朝までじっとしていよう」
「分かった、じっとしてる…魔獣に喰われたら死んでも死にきれねぇ」
二人は一つ木の上寝床を共にして一夜を過ごした。
朝二人は抱き合って目を覚ます。
「眠っている間に森狼達が集まって来たみたいだね」
「ここから狙撃して倒すか?」
「森狼の特徴はその集団行動にあるんだ。一匹を倒してしまったら、もう逃げられない。何処までも追ってくるよ…ここは逃げてしまったほうがいい」
「俺は木の上を走るなんて芸当できねぇんだが…」
「じゃあ、僕が抱きかかえて帰るしかないね。準備はいい?」
【魔法腕】を使いシェイドーを確りと腕の中に挟み込む。何時もの様に、木々を掴み隠密行動をしながら飛び跳ねていく。僕たちはそれほど時間を掛けず、朝食までには領館に帰ることができた。
「ちょ、いい加減降ろしてくれよ!いつまでこの状態でいるつもりだっ」
「この方が早かったから…それに朝食にも間に合ったでしょ」
「お帰りなさいませ。『深き森』には到達できましたか」
「うん、お陰様で…魔獣に集まられて大変だったけど、何とか戦闘をせずに帰ってこられたよ」
「ジェイド―様も満足できましたか?」
「ま、まぁな…悪い旅じゃなかったよ」
「朝食の準備が整っております。御急ぎくださいませ。母様がお待ちです」
僕は少し自らの力不足を感じていた。確かに僕は魔獣から隠れることができる。そして山麓まで踏破することに成功した。けれど僕は全く『討伐』していないし、素材を収集できてもいない。
「どちらか一方でもできるようになればなぁ…」
「どちらか一方というのは、どの事でしょうか?」
「ううん、ただ魔獣を討伐したいなって。訓練したのに、倒したことがないから。でも倒したとしても素材を持ち帰ることもできないし…」
「倒したとしても素材を持ち帰れない、ですか?貴方の持つポシェットは恐らく伝説級の一品でしょう…その中にならあらゆるものが収納できるのではありませんか?まだ5つの空きがあるでしょう?」
「良く分からないんだ。お婆さんに魔道具の収納の為に貰っただけで、5つの空きが使えるかどうかも試していない」
「ポシェットに袋を入れて、その袋にどれだけの物が入るか試してみてください。きっと、予想以上の物が収納できるでしょう…そういう風に作られているというは既に解析済みです」
「これは、すごい。幾らでも物が入るよ!これなら、魔獣の素材を持ち帰ることができそう!!魔獣の使えそうな部位が何処なのか、書いてある書籍は無いかな?」
ティミィの目が光り、魔獣図鑑の頁が映し出される。森狼の素材部位は、肉(食用)皮(防具)骨(肥料)尻尾頭部(飾り)とどの部位も利用できると書かれている。
「出来るだけ傷つけずに倒して持ち帰るよ。森に出現しそうな他の魔獣についても知りたいんだけど」
ティミィが映し出すディスプレイに次に表示されたのは、ゴブリンだ。ゴブリンは何処にでもいる魔獣で、役に立つ素材部位はない。そしてスライム。スライムは何処にでもいる種族だが、その体はスライムゼリーとして役に立つ。
「確かにゴブリンは役に立つ部位はありませんが、どの魔獣も持っている魔石は魔道具に利用されています。注意してください」
「魔法陣を刻んで使われるっていうあれ?」
「ええ、今魔道具店で売られているものは魔石を利用したものばかりです」
書斎に戻り、魔獣図鑑を眺めながら夜を過ごす。森狼を一頭倒すのは容易い。こっそりと近づいて【雷撃】で活動停止させてしまえばいい。問題はその後、どうすればいいのかだ。直ぐにポシェットに収納し、木の上に隠れる。その後気を使って移動して街まで帰る。森狼より早く移動して逃げ切れば、問題ない。
「日課の訓練に行ってくるよ!」
『シャシャ流近接格闘術』SCCの動きをイメージしながら木々の間を駆け抜けていく。体幹がしっかりとしたお陰で、移動速度が何割か上昇した。すぐに『深き森』に到着した僕は、早速【魔力探知】で動いている魔獣を探す。
「この辺りに森狼がいる筈。深い霧に覆われていて魔獣の姿形が良く見えないけれど…あれかなぁ…」
ひっそりと近くの木の上に近づき、後ろから必殺の【雷撃】を食らわせる。
「よし、ポッシェに収納して直ぐに帰還だ」
どうやら近くい居る仲間に気付かれることなく、何とか対処できたようだ。今日は焼肉が食べられそうだ!
意気揚々と帰ると、ティミィが出迎えてくれた。
「お帰りなさいませ、狩りの方がいかがでしたか?」
「うん、上手くいったよ。素材もばっちりだよ」
「今日の昼食は、折角大量に持ち運べるようになったので沢山のサンドイッチをお作りしました」
僕は午後の訓練を終えてから再び中庭へ戻ってきた。
「森狼の解体の仕方って分かるかな?」
「いいえ、そういった内容は具体的には記載されていませんでした。明日ギルドに持ち込むのが宜しいでしょう」
「うん、わかった。今日は少し早いけどもう寝ることにするよ」
次の日は朝早くに置きて、日課を卒なく熟す。その分空いた時間でギルドに向かい、素材の解体について聞く。
「ギルドに登録されていない方の解体依頼は20%増しになりますが宜しいですか?誰かギルド登録なさっている方に代理で来てもらえばお安くなりますよ」
「構わないです。解体の現場を見に行っても構いませんか」
「ええどうぞ。又のご利用をお待ちしておりますね」
ギルドの解体倉庫に向かう途中、訓練場で物凄く大きな爆発音が聞こえる。倉庫に入っても鳴りやむことは無い。
「一体何の音ですか?何時もここはこんなに、うるさいのですか?」
「ソーメイが訓練場で暴れてるといつもこんなだ。何たってこのギルドで一番強い魔法剣士だからな。解体して欲しい獲物は何だ?ここに出してみなっ」
ポッシェから出した獲物が大きな落下音を引き起こす。
「こいつぁすげぇ…こいつ何処で倒してきたんだ?おっといけねぇ、鮮度が落ちちまう。早速解体に取り掛かるからよく見ときなよ」
僕は静かに頷く。
「まずはこの目玉だ。こいつは専用の瓶に入れて保存するんだ。錬金術の素材として使えるから結構高値で売れる。それからこいつの肝だ。こいつは滋養強壮にいいとかで専用の瓶で保管する。他の内臓は使える部位だけ同じように保管して、後は食う事の出来る肉だけを残す」
目にも止まらない早業で解体が終了していく。流石プロ、という所だろうか?
「ほらよ、これで終了だ。もう持って帰るか?」
「うん、そうする。訓練場へはどう行けばいい?」
「倉庫を出て左にいって突き当りを右だ。ただ見てぇだけならギルド入り口に戻りな。そこに閲覧場への扉があるからよ」
「ありがと」
訓練場では全身鎧をして長髪で顔を隠した戦士が大暴れしていた。剣戟と共に派手に爆発して辺りに爆風が起こる。炎の剣での立ち回りも確かに一流だ。
「だけど、(キトに比べたら月と鼈)大したことないな」
小さな声で呟いたつもりだったが、僕の声は妙に訓練場に響いた。当然、ソーメイの耳にも聞こえたようで、こちらを睨まれた。
「それは聞き過ごせない発言だな…そこの君、子供とはいえ私と勝負してもらおう!」
どうやら僕は踏んではいけない轍を踏んでしまった様だ…。
【何卒、下記をどうかお願い致します】
・面白くなかった
・続きは見たくない
という方は、ブックマークはブラウザーのお気に入りページに追加することを推奨します!
評価はページの下にある【☆☆☆☆☆】を【★☆☆☆☆】(最低)
にすると 作者が喜びます。




