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向日葵のお姫様!  作者: 日向 藍衣


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8/10

学校ってどんなところ?

バーゲンの日から数日後。

彩羽は朝食のキャベツ炒めを食べながらニュースを見ていた。

ヒマリはその向かいでパンを齧っている。

「ねぇ彩羽」

「ん?」

「学校って楽しい?」

彩羽は一瞬きょとんとした。

「急にどうしたの」

「気になった」

「へぇ」

ヒマリが学校に興味を持つのは少し意外だった。

どちらかと言えば勉強から逃げそうなタイプである。

いや、仕事から逃げてる時点で十分逃げていた。

「まぁ楽しいよ」

「何するの?」

「勉強したり友達と話したり」

「勉強」

ヒマリの顔が曇る。

分かりやすかった。

「そこ嫌そうな顔するんだ」

「だって勉強じゃん」

「姫でも勉強するでしょ」

「するよ」

「ほら」

「寝てたけど」

「駄目じゃん」

◇◇◇

学校へ向かう時間になった。

彩羽はバッグを持って玄関へ向かう。

「じゃあ行ってくるね」

「いってら〜」

「留守番よろしく」

「多分」

「その返事やめてって」

いつものやり取りだった。

彩羽はため息を吐いて家を出る。

ヒマリはソファへ寝転がった。

そして五分後。

「暇」

十分後。

「暇」

十五分後。

「暇ぁぁぁぁぁ」

いつも通りだった。

◇◇◇

天井を見つめながら考える。

学校。

彩羽が毎日行く場所。

そんなに面白いのだろうか。

「気になる」

そう思ってしまった。

気になった時点で負けである。

ヒマリは立ち上がった。

「ちょっと見るくらいならいいよね」

良くない。

◇◇◇

数十分後。

ヒマリは彩羽の通う高校の前に立っていた。

「でか」

率直な感想だった。

校庭。

校舎。

体育館。

どれも向日葵の星の建物とは全然違う。

「へぇ〜」

興味津々だった。

そんな時。

ちょうど休み時間だったらしい。

数人の生徒が廊下から見えた。

楽しそうに話している。

「彩羽もあんな感じなのかな」

何となく見ていると。

校門から入ってくる人物がいた。

先生だった。

ヒマリは反射的に近くの塀へ隠れる。

「危なっ」

別に怒られる訳でもないのに隠れた。

なんかそんな気がしたからである。

◇◇◇

その頃。

彩羽は授業中だった。

「ここテストに出すぞー」

教師の声が響く。

だが彩羽は嫌な予感を抱いていた。

「何だろ……」

胸騒ぎがする。

非常に嫌な予感が。

「まさかね……」

そう呟きながら窓を見る。

校門付近。

何か金髪が見えた気がした。

「え」

目を凝らす。

「え???」

金髪だった。

見覚えしかない。

◇◇◇

昼休み。

彩羽は全力で校門へ向かった。

すると。

「おっ」

いた。

ヒマリである。

「ヒマリぃぃぃぃぃ!?」

「やほ〜」

「なんでいるの!?」

「学校見学」

「誰に許可貰ったの!?」

「誰にも」

「帰りなさい!!」

周囲の生徒が何事かと見る。

ヒマリは少し不満そうだった。

「だって気になったんだもん」

「気になるだけで来ないの!」

「向日葵の星ではやる」

「絶対やらないでしょ」

◇◇◇

するとヒマリが校舎を見上げる。

「彩羽ってここで勉強してるんだ」

「そうだよ」

「大変そう」

「まぁね」

「眠くならない?」

「なる」

「寝ないの?」

「寝ない」

「偉い」

「当たり前なのよ」

ヒマリは少しだけ感心した顔をした。

姫の家庭教師時代を思い出したのである。

十回中九回は寝ていた。

◇◇◇

その時だった。

購買帰りの生徒がパンを食べていた。

ヒマリはそれを見る。

「あれ何?」

「パン」

「学校でも売ってるの?」

「売ってるよ」

「へぇ〜」

少し羨ましそうだった。

彩羽は嫌な予感がする。

「ヒマリ?」

「なに?」

「向日葵の種出そうとしてない?」

ヒマリはそっとポケットから手を離した。

「なんで分かったの」

「一週間一緒に暮らしてるからよ!」

「成長したね」

「その成長いらない」

◇◇◇

結局ヒマリは校門の外から学校を見るだけで帰ることになった。

帰り道。

ヒマリは言う。

「学校って思ったより楽しそうだった」

「そう?」

「ちょっと行ってみたいかも」

彩羽は足を止めた。

嫌な予感しかしない。

とてつもなく嫌な予感しかしない。

「ヒマリ」

「なに?」

「変なこと考えてないよね?」

「多分」

「その返事やめて」

次回、何かが起こりそうな予感だけを残して、二人は家へ帰るのだった。

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