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僕の世界  作者: 0u0
第二章
57/64

幕間 返してもいい

板の隙間《すきま》から、光が一本だけ差している。埃《ほこり》が、その中で上がったり下がったりしている。乾いた草の匂《にお》いがしている。壁際の棚は、空いている仕切りのほうが多い。


女がふたり、向かい合って座っている。ひとりは光を背にしていて、顔が見えない。

顔の見えないほうが短く言う。もうひとりが、それを繰り返す。声が、途中で切れる。

もう一度、と言う声がする。


三日、同じところで切れた。

四日目に、切れなかった。


もうひとりが、顔を上げた。

口の端だけが、動いていた。

その顎《あご》の下へ手が上がって、埃を払った。


「どれだけ祈ったら、授かるもんなんだい」


声が返るまでに、少しあった。


「祈って授かるものではない」

「……」

「選ばれなかったわけでもない」


返事はない。


包みの解ける音がした。板の上に、細いものが三つ並べられた。そのうちの一つが、脇へ寄せられた。


寄せた手の側から、声がした。

「嫌なら、置いていかない」


どちらも動かない。

顔の見えないほうの手が、残りの二つを先に寄せはじめた。

埃が、光の筋を横に切って落ちた。


もうひとりの手が、伸びた。

その手が触れる前に、声がした。


「返してもいい」

どこへ返すのかは、訊《き》かれなかった。


残りが包みへ戻されて、結び目の締まる音がした。

戸が開いて、閉まった。開いているあいだだけ、外で板を打つ音がした。

光の中の埃が、大きく乱れて、また元の動きに戻った。


板の上には、脇へ寄せられた一つだけが残っていた。

残ったほうが立って、干してある草を裏返した。

手は、そのまま止まらなかった。


――ある村の、草を干した家で

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