幕間 返してもいい
板の隙間から、光が一本だけ差している。埃が、その中で上がったり下がったりしている。乾いた草の匂いがしている。壁際の棚は、空いている仕切りのほうが多い。
女がふたり、向かい合って座っている。ひとりは光を背にしていて、顔が見えない。
顔の見えないほうが短く言う。もうひとりが、それを繰り返す。声が、途中で切れる。
もう一度、と言う声がする。
三日、同じところで切れた。
四日目に、切れなかった。
もうひとりが、顔を上げた。
口の端だけが、動いていた。
その顎の下へ手が上がって、埃を払った。
「どれだけ祈ったら、授かるもんなんだい」
声が返るまでに、少しあった。
「祈って授かるものではない」
「……」
「選ばれなかったわけでもない」
返事はない。
包みの解ける音がした。板の上に、細いものが三つ並べられた。そのうちの一つが、脇へ寄せられた。
寄せた手の側から、声がした。
「嫌なら、置いていかない」
どちらも動かない。
顔の見えないほうの手が、残りの二つを先に寄せはじめた。
埃が、光の筋を横に切って落ちた。
もうひとりの手が、伸びた。
その手が触れる前に、声がした。
「返してもいい」
どこへ返すのかは、訊かれなかった。
残りが包みへ戻されて、結び目の締まる音がした。
戸が開いて、閉まった。開いているあいだだけ、外で板を打つ音がした。
光の中の埃が、大きく乱れて、また元の動きに戻った。
板の上には、脇へ寄せられた一つだけが残っていた。
残ったほうが立って、干してある草を裏返した。
手は、そのまま止まらなかった。
――ある村の、草を干した家で




