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僕の世界  作者: 0u0
第一章
5/30

幕間 治る値段

祈りは、タダなんですよ

ご存知でした?

朝でも夜中でも、聖堂の扉は開いていて

誰でも、何時間でも、祈っていいんです


あの子を授かったのは

聖堂に通って、三年目の春でした

だからあたし、届くものだと思ってたんです

ずっと、届いてきたんだと思ってたんです


石段で、転んだだけなんです

膝の傷がんで

三日目には、部屋で燃えてました

熱くて、熱くて

水で冷やすしか、してやれることがなくて


薬師さんは、首を振りました

ここから先は、聖療師さまのお仕事です

深い傷は、大銀貨二枚からですって


鍋も、冬の外套がいとうも、指輪も売りました

一枚と、銅貨が少し

あと半分

たった、あと半分だったんです


だから、祈ったんです

石の床で、三晩、膝が紫になるまで

だって

届いたことが、あるんだもの


……ねえ

あの三晩で、働きに出ていれば

祈ってないで、売りに歩いていれば


いまでも夜になると、数えてしまうんです

何を売れば足りたのか

指を折って、折って

気づいたら、朝になっていて


あの子の靴だけ

まだ、売れずにいます



――ある母親の声

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