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幕間 当たり年
ねえ、お兄さん。
そう、あんただよ。
……なんだい、その顔。
いいさ、笑ってな。みんな、はじめはそうだよ。
そこ、風の通り道なんだ。寒いだろ。
ほら、こっち。うちの灯りは赤い。赤いのは、そういう通りだからさ。
……ああ、ごめんよ。髪、当たったね。
名前は訊かないよ。ここ、そういう決まりだから。
値かい。
……値はね、通りじゃ言わないんだ。
耳、貸しな。
――安宿ひと晩より、安いよ。
ふふ。
その袖、そろそろ離してほしいのかい。
毎年こうじゃないんだ。当たり年ってのがあってね。あたしは長いから、値を見りゃ分かる。今年が、それさ。
早い年で半月。遅くても、ひと月。
どこかで何かが崩れると、それくらいで、この通りに落ちてくる。何が崩れたかは知らないよ。魔物だって言う人もいるし、水だって言う人もいる。三人に訊けば、三つ返ってくるんだ。どれが本当だろうと、うちの商売には関わりない。
日数だけはね、外れたことがない。
……香油、分かるかい。店ごとに違うんだよ。三軒も歩けば、鼻がきかなくなる。
今月来た女はね、つけすぎててさ。つけすぎだって言ってやったんだけど。
……ああいうのが好きなお客も、いるだろう?
あたしの手かい。
白粉の下は、見ないでおくれ。
さ。どれにする?
――ある夜の通りで、客を引く女




